史と里奈の横浜デート(9)
史と里奈は、元町の店を様々歩く。
陶器屋、アロマキャンドル店、家具店、宝飾店・・・
多すぎるので省略。
その中で、史がとある、有名ブランドのバッグ店に入った。
その店に入っても、史は知られているようだ。
史は知り合いの店員に
「あの時に買った財布を五年使っています」
と言うと、その店員はニッコリ。
「そうですか、少し見せて」
と言うので、史が見せると
店員
「ほー・・・上手に使っているわね」
「色あいも、革もますますよくなってきた」
と、ますますニッコリしている。
里奈もそんな話を聞きながら、財布やらバッグを見て回っている。
しかし、里奈は「ちょっと高い、手が出ない」と思っているらしい。
そのため、一つ一つのものから、すぐに目を離してしまう。
そんな里奈に、史が声をかけた。
史
「どれか、気に入ったものがあったら、教えてね」
里奈は意味がわからないようだ。
「え?どういうこと?」
キョトンとしている。
そんな里奈に史が耳打ち。
里奈は、真っ赤になって
「え?そんなの悪いって」
「高すぎるし」
腰が引けているけれど
史
「僕の気持ちなんだ」
後には引かない。
里奈
「え・・・・」
とますます、顔を赤くする。
それでも、断りきれないと判断したようだ。
一つのシックな財布を手に取った。
店員
「ほー・・・いいセンスです」
「お嬢様にピッタリです」
里奈は「お嬢様」などと言われて、ますます真っ赤になった。
そして史の手から、財布を受け取った。
里奈は本当にうれしそうだ。
「史君・・・ありがとう」
史もニッコリする。
「ずっと使えるから」
「だから」
里奈は、まだ、足が震えている。
そんな里奈の手を史は、しっかりと握る。
史
「里奈ちゃんには、感謝してもしきれないんだ」
そう言いながら、二人でバッグ店を出た。
そして史
「じゃあ、中華街を通って、ホテルに戻ろう」
里奈
「はい、全ておまかせです」
里奈は、思いっきり史に身体を寄せている。




