史と里奈の横浜デート(8)
史と里奈は、ブリキのおもちゃ博物館に入った。
まず、売店で「珍しいなあ、昭和のもの?」などとキョロキョロするけれど、「後で見る」となって、そのまま展示室に進んだ。
史
「いろいろ増えているのかな」
里奈
「一つ一つ、思いがこもっているなあ」
史
「子供の喜ぶ顔と、それを喜ぶ親たちの顔かな」
里奈
「案外日本製もある」
史
「輸出して戻ってきたのもあるみたい」
・・・・そんな感じで、興味深くブリキのおもちゃを見る。
里奈
「わ?これ、何?」
史
「ああ、これ半魚人だね」
里奈
「美女が襲われるんだ」
史
「うん、よくはストーリーは知らないけど、絵ではそうなっているね」
里奈
「襲われたら、助けてね」
史
「うん、任せて」
・・・熱々なので、省略。
さて、二人は庭に出た。
するとお目当ての大きな犬がいる。
里奈
「なじみの犬?」
史
「そうだよ、大きいしやさしいし」
と、頭をなでている。
里奈
「史君、動物好きなの?」
史
「うん、飼ってはいないけれど、好きだよ」
里奈は、史の意外な一面を発見した。
それはそれで、うれしいものがある。
その後はブリキのおもちゃ博物館を出て、隣接するクリスマスグッズ専門店に。
史も里奈もいろいろ買い込んでいる。
その店も出て
史
「えっと、元町まで歩こう」
里奈
「うん、お洒落な町だよね。憧れなの」
史
「少し急坂を下るよ」
里奈
「うん、それはかまわないけれど、何かあるの?」
史
「この間、母美智子が坂をのぼって息切れしたんだって」
里奈
「へえ、そんなに?」
そんな話をしながら、元町へ続く坂道をくだる。
里奈
「うん、確かに」
史
「ここでレモンとか転がしたら、大変」
里奈
「プッ!降りるのものぼるのもね」
確かに、急坂である。
それでも、大した距離ではないので、すぐに元町の通りに出た。
里奈
「ほーーーかっこいい!お洒落」
史
「それでも、少し歩いたから、お茶でも」
里奈
「うん、その後はお買い物していい?」
史
「はい、案内します」
と、二人きりの時は、本当に幸せである。




