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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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大旦那の怒り

マスターと史は、途中の駅で落ち合った。

そこからは、タクシーで大旦那のお屋敷へ向かった。


マスター

「ああ、史君、大変だな、手首は痛むか?」

「いえ、最初の日からは、動くようになりました、ご心配かけて申し訳ありません」

頭を下げるけれど

マスター

「いや、史君が謝ることはないさ、史君は被害者さ」

「なんか、大事になってしまって、逆に心配なんです」

マスター

「いや・・・それほど史君は大切に思われているってことさ」

「店の昼間のお客さんも、夜のお客さんでも、地元の人には結構知られていてさ」

「ああ、事件のこともね、とにかく、みんなが心配でしょうがないらしいから」

二人が、そんな話をしていると、タクシーは大旦那のお屋敷に到着した。


マスターがチャイムを鳴らし、インタフォンで来訪を告げると、

珍しく大旦那が直々に

「うん、とにかく入ってくれ」

との返事である。


マスター

「どっちかというと、ご機嫌がよろしくない時の声」

「そんなことを言われても」


マスターと史がお屋敷の玄関に入ると、大旦那がここでも直々のお出迎え。


大旦那は

「おお、史!大丈夫か!」

「夜も眠れないほど心配したぞ」

「痛かっただろうなあ、辛かっただろうなあ」

既に涙ぐんでいる。

案外、涙もろいタイプかもしれない。


奥様も出てきた。

「史君!もーーーー」

「いいから、あがって、お話を聞かせて」

「私も心配で心配で」

奥様も、史の両手首の包帯姿に慌てているようだ。


マスターと史が、応接間に入ると、いつものごとく紅茶が出てきた。

ただ、いつものケーキではなく、ビスケットになっている。


大旦那

「ああ、下手に手首を使って、痛みに触ると良くない」

奥様

「本当に痛々しいわねえ・・・」

「泣けてきちゃう」

奥様も結局泣いてしまっている。


大旦那が、重々しく話しだした。

「美智子さんから話を聞いたけれど」

「もう、とんでもないことだ」

「史の前の新聞部の稲葉顧問って男は」

「こともあろうに、我が家を小馬鹿にして、史には多すぎるくらいの作業をさせ」

「その上、混乱に乗じて、自分をかばった史の両手首を踏みつけて、せせら笑うなんて、逮捕でも生ぬるい」

かなり、怒った表情である。


奥様も一つ一つ頷く。

そして

「ねえ、史君、そんな学園はやめなさい」

「京都にもっとしっかりとした学園があるから、そちらで安全に勉強をしたらどう?」

「晃も、美智子さんも、そうさせたいと思っているし」

「私たちも、そう思っている」

「もうね、話を聞くと、何度も怪我でしょ?」

「もう、心配で仕方がない」


史は、困ったような顔をしている。



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