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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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悩みこむ史(6)

校長たちは新聞部の部室に入るなり、顔が真っ青になった。

校長

「史君!大丈夫か!」

史はうずくまって手首を抑えている。

その手首は真っ赤に膨れ上がっている。

由紀

「何があったの?史」

そう言いながら、史を抱きかかえる。


里奈は新聞部顧問の稲葉を見た。

「稲葉先生ですか?こんなことをしたのは!」

里奈は、稲葉顧問をきつく見据えている。

どうやら少し情報が入ったようだ。

史の担任は、史の周囲を取り囲んでいる他の新聞部員を見た。

一様に里奈の言葉に頷いている。


校長は稲葉顧問に尋ねた。

「稲葉顧問、事情を説明してくれ」

「少なくとも、史君はひどい怪我だ」

珍しく厳しい口調になっている。


稲葉顧問の顔も赤い。

まだ何か興奮しているのだろうか。

「はい、校長、これには理由があります」

「結果として、そこの史は怪我をしましたけれど、責任は史にあります」

とにかく自分には非がないことを先に言う。


しかし、周囲の新聞部員は、一様に首を横に振る。


史の担任の三輪も尋ねた。

「だから、稲葉顧問に非があるとかないとかの話ではないでしょう」

「まずは事の発端を教えてください」

「少なくとも、この部室での怪我ですので、あなたに全く責任がないと、どうして言い切れるのですか!」

三輪担任の顔も厳しい。


そこまで言われて、稲葉顧問はようやく説明をはじめた。

「ああ、問題は史の作業がまどろっこしいことです」

「大した記事でも無いのに、馬鹿丁寧に記事を書くので」

「こんなことでは、新聞の発行まで間に合わない」

「もっと性根を入れて最初から書き直せと」

「そうして叱ったら・・・」

稲葉顧問は一人の新聞部員の顔を見た。

そして

「あいつが、顧問たる私に向かって抗議をしてきた」

「史にばかり、記事を書かせるなと」

「ロクな記事も書けないくせに、私たちにも書かせろなどと言って」

「私も名誉ある本学園の新聞部顧問です、くだらない記事は一文字たりとも載せたくない、それを言ったら、この新聞部の阿呆どもが全員で・・・」

稲葉担任は新聞部員全員を睨みつけた。


そこで突然、新聞部部長の坂本が話しだした。

どうやら部員からそっと話を聞いていたようだ。

「そこで、稲葉先生と新聞部員が揉み合いになって」

「その中で史君が先生をかばおうとして倒れて・・・」

「稲葉顧問が史君の背中を払うよう押したんですよね」

坂本は厳しく稲葉顧問を睨んだ。


「それから倒れた史君の手首を、先生が思いっきり踏みつけたんですね」

「ドサクサにまぎれて・・・それも両手首を!」


周囲の新聞部員全員が頷いた。


しかし、稲葉顧問は、それを言われても、せせら笑っている。


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