玉鬘講義(9)
由紀が作ってきたのは、「イチジクのタルト」。
洋子が切り分け、美智子がその上に生クリームとミントの葉、史が紅茶を淹れる。
マスターも手伝って、奈津美、結衣、彩、美幸たちが客に配っていく。
なかなか全員手際が良い。
客たちの評判も上々。
「うん、さわやかで、さっぱりして」
「イチジクって、こんなに美味しかっけ」
「生クリームとタルト、ミントもイチジクと一緒になると、本当に幸せの味」
「それと、紅茶の甘味も出ているし・・・」
「さすが、カフェ・ルミエールだなあ」
・・・・・
イチジクのタルトを楽しみながら、玉鬘の話をする人も多い。
「さすが晃教授の話だねえ」
「それにしても、不思議な人生さ、波乱万丈さは源氏の中では最高かなあ」
「お母さんの夕顔があんな死に方をしなかったら、どうなったのかなあとかね」
「九州の話も、まあ、ギリギリでね、やっと逃げてきてさ」
「それから長谷寺か・・・そこでも超偶然でね」
・・・・様々、話が尽きなくなっている。
晃もイチジクのタルトを食べながら話に加わる。
「時間がないので、説明しきれませんでしたけれど」
「頭の中将、玉鬘が都に戻った時点では内大臣ですか、近江の君も柏木が捜し出してきたんですが、父と兄弟から、ほぼコケにされてしまった、そんな様子も玉鬘の耳に入ったとか」・・・
なかなか、話が止まらない。
マスターが一言。
「晃さんの源氏講座とか古文講座も定例でできないかなあ」
洋子は、にこっと笑う。
「私もケーキ講座するかな」
奈津美もニコニコしている。
「他の文化講座もやると面白いかも、晃さんに先生を紹介してもらって」
そんな話で盛り上がっているけれど、史と由紀の様子が少しおかしい。
史
「ちょっと甘すぎ」
由紀
「あのさ、疲れているから、これくらいがいいの」
史
「クリームがイマイチ」
由紀
「うるさい!このアホ!」
史
「でも、美味しいかも、慣れれば」
由紀
「その言い方、直しなさい!本当に性格がねじ曲がっている!」
里奈は、二人のそばでハラハラ。
そんな感じで、玉鬘講義は一旦終わった。
カフェ・ルミエールでは、新しい計画が持ち上がりつつあるようだ。




