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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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由紀の進学(2)

由紀は少し緊張して父晃の部屋のドアをノックする。

「さっきは仲間はずれにされたから、ノックもしないで入っちゃった」

「でも、理由がわかってよかった、史の文句は気に入らないけど」

そんなことを思っていると


「ああ、由紀、おいで」

父晃のやさしい声。


「はい!」

由紀は、うれしくなった。

「私は小さい頃から、父さんが大好きだ」

と思いながら、父晃の部屋に入った。


「ああ、そこに座って」

晃の部屋の椅子に座った。

部屋の中にもテーブルがあり、椅子も四つある。

時々は、ここで家族がお話をすることもある。


由紀が座ると、晃も座った。

その手には、何冊かの大学の大きな封筒を持っている。


父晃が由紀をしっかりと見た。

「由紀、そろそろ進学の時期だね」

「由紀としては、何の勉強をしたいのかな」

やさしく微笑んでいる。


由紀は

「えっと・・・まだ・・・しっかりとは」

「好きな教科はあるけれど]

考えているままをいう。


父晃は

「そうか、あまり無理は言えないけれど」

「母さんに聞いたけれど、成績そのものは、高いレベルにあるようだね」

「あの学園で、そういうレベルにいるというのは、立派だ」

「お父さんも、うれしい」

やさしく由紀を見つめてくる。


由紀は

「え・・・あの母美智子がそんなことを?」

と思うし

「わ!父さんにほめられた」

となり、ホッとして、うれしくて、「ちょっと涙」になる。

いつも母美智子に叱られたり、他人の興味が史にばかりだったので、この上なくうれしく感じる。


父晃は

「それでね、由紀のことを、いくつかの大学の先生に話をしておいたよ」

「みんな興味を持ってくれていてね」

「ああ、お父さんの知り合いだから、文学部系統になるけれど」

そういって、数冊の大学の資料をテーブルの上に置く。


由紀はまたびっくり。

「・・・というと、推薦なの?」

「それに・・・私学で・・・いい大学ばかり」

「行きたいところもあった」

「でも・・・話がウマすぎるなあ」

少し悩んでいる様子。


父晃は

「由紀が通う大学さ、しっかり自分で決めなさい」

「ああ、それぞれの大学で特色があるからね」


由紀は

「いろいろ、ありがとうございます」

大学の資料をしっかり胸に抱えた。

そして

「なるべく早く結論をだします」

と立ち上がる。


父晃は

「由紀は、きれいになった」

「お父さんが心配になるくらいだ」

笑ってみているけれど、由紀は完全にウルウル状態。


自分の部屋に入っても、ずっと泣きどおし。

何より、母と父の自分に対する思いが、うれしかったようだ。

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