表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
20/760

史の悩み(6)

翌日、心配された史は、案外素直にカフェ・ルミエールの地下ホールにやって来た。

もちろん、榊原先生も一緒である。

少し遅れて史の担任と学園長も地下ホールに来た。


まず、学園長がマスター、涼子、榊原に頭を下げた後、話を始めた。

「本当に我が学園の音楽部顧問の不適切な指導に端を発したことで、申し訳ありません、この件につきましては、学園を預かる者として、謝罪をいたします」

「しかしながら、マスターや涼子さん、榊原先生のご厚意によりまして、地域オーケストラとしての活動に、当学園の音楽部いや退部しましたので、元音楽部ですが、参加させていただくことになりました」

「この件につきましても、心より感謝申し上げます」

学園長としては、本当に申し訳なく思っているらしい。

頭の下げ方も本当に深い。


榊原が口を開いた。

「ああ、そんなに心配はないさ、こっちはさ、地元オーケストラで学園の生徒さんを主体に、音大生とか、地元の音楽愛好者、俺みたいな元プロを入れてやればいいしさ」

「学園は学園で、その音楽部顧問の問題が片付けば、生徒さんは音楽部として・・・まあ、二重になるけれど、そんなのはスケジュール調整でなんとかなるしさ」

「このオーケストラの目的は、音楽を楽しむってだけさ、それ以外にはない」

本当におおらかな話しぶりである。

何より、その話を聞いている生徒たちの目が輝いている。


史の担任が、史を見た。

「ところで、史君、どうするの?」

本当に直接的な質問である。

それだけに、全員の注目が集まる。


史は、どうやら、こういう場面は苦手らしい。

それでも、顔を真っ赤にしながら

「えーっと・・・学園内では、新聞部します」

「それ以外の時間は、このオーケストラに入ろうかなって・・・」

ようやくの返事である。



榊原が学園長に声をかけた。

「その音楽部顧問の契約を更新しなければいいだろう」

学園長は、少し困った顔。

「いや、理事会でもそういう話が出ています、何より生徒の評判が悪いですし、しかし後任を探すのには時間が・・・」

榊原はそこで笑った。

「そんなの俺がやってもいいし、仲間を紹介してもいいぞ、心配するな」




これで、音楽部顧問の契約更新は無くなった。

史は「新聞部の時間が許す限り」音楽部の練習に付き合うことになった。


史は、高校生としての勉強、新聞部員としての活動、学園の音楽部とカフェ・ルミエール楽団のメンバーも加わり、ますます忙しくなった。

しかし、これで、悩みの一つは消えたのである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ