史と里奈の御茶ノ水と神保町デート(3)
さて、デートの当日、日曜日になった。
史が玄関から出ようとすると、まず姉の由紀が声をかける。
「ふん!いいな!いいな!史ばっかりデートして!」
「ついて行ってお邪魔虫するかなあ・・・」
由紀は、朝早くから嫌味タップリ、気に入らなくて仕方がない様子。
母の美智子も出てきた。
そしてまず由紀に一言。
「由紀!たまには家事をしなさい!」
「お掃除とお洗濯はキッチリね!」
「昨日の掃除は史がやってた、由紀より上手!」
由紀は口を「への字」にして、スゴスゴとモップを手にしている。
母美智子は、史にも一言。
「史ね、ちゃんとお金持っているの?」
史は
「うん、お小遣いはあるよ」
母美智子は
「ちょっと・・・あのさ・・・」
との顔。
そして
「いい?今まではお姉さんたちとのデートだからいいけどさ」
「絶対に里奈ちゃんに出させないこと」
「怪我した時に、散々お世話になったんだから」
そんなことを言って、史に封筒に入ったおそらくお金を渡す。
史は
「え?いらないって十分に持っているし」
しかし母美智子はひかない。
「いい?これは私から里奈ちゃんへの気持もあるの」
「だから、史がしっかりお店を選んで、美味しいものを食べさせてあげて」
「そのためのお金だよ、無駄に使えとは言っていない」
「有効に使いなさい」
言い切ってしまう。
そう言われると、史も拒めない。
「うん、わかった!母さん!ありがとう!」
本当にうれしそうに笑い、頭を下げる。
美智子は
「あのさ、ついでで悪いけれど、あのお店で、べっこう飴買ってきて」
「少しべっこう飴風味のお菓子を作りたいから」
史は
「うん、わかった!」
「じゃあ!行ってくる!」
玄関を出て行く。
史
「そう言えば、大旦那にも、この間少しもらった」
「姉貴にお土産買うかなあ」
「買わないと、頭ポカリしてくるかなあ」
そんなことを考えていると、里奈がうれしそうに近づいてくる。




