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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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マスターの始末

「あなたになんて、もう関心がないの、私は彼の女になったの」

絵里は蔑むように俺を見て、タバコをくゆらす。


「そうか」

俺には、それ以上の言葉はない。


「いろいろ面倒を見てくれたことは、一応感謝しておく」

「お金もたくさんありがとう」

「でもね、あなたより彼のほうが人間として格上で、お金も多い」

「表の男とか裏の男とか、そんなのはどうでもいい」

「いい?私は現実主義者なの」

「まあ、私みたいな、できる女はみんなそうかもしれない、面倒見がいいほうになびく」


俺としては、これ以上絵里の言葉を聞きたくもなく、聞き続ける必要もなかった。

絵里の前から、黙って姿を消した。


それでも辛くて、カフェ・ルミエールに入った。

マスターは長年の馴染みだ、何を話しても聞いてくれる。


マスター

「まあ、絵里が好き勝手を言って、結局は極道の情婦になるってことだろ」



「あんな女に貢いだ俺が馬鹿だった」

「まあ、未練も何もない」


マスター

「ああ、いい潮時さ、気持ちが落ち着いたら、また別の出会いもあるさ」


「ああ、ありがとう、マスターに話して少し落ち着いた」

水割りが、体全体にしみ込むほどに上手い。

まさに「命の水」に感じる。



しばらくして、また「命の水」が飲みたくなり、カフェ・ルミエールに。


マスター

「おい、知っているか?絵里のこと」


「いや、知らないなあ」


マスター

「あのヤクザ者と揉めて、放り出されたらしいな、今日の朝のことだ」


「ほーーー・・・」


マスター

「で、どうする?」


「いや、今さら」


マスター

「ああ、それがいい」


「意味がわからないけれど」


マスター

「結局、海に浮かんでいたらしいな・・・」


「え?」


マスター

「何でもな、ヤクザ者と揉めた時に、お前さんの名前を出したらしい」

「お前さんのほうがよかったとか・・・」


俺は何も言えなかった。

少し身体が震えた。


マスター

「今日はここで一晩飲め、ここで寝ろ」

「俺がいいって言うまで、店を出るな」

「後は俺が始末をつける」



翌日午前八時、そのヤクザ者と一味は殺人と死体遺棄の疑いで逮捕された。

俺の家の周りを日本刀を隠し持ち、数人でうろついていたところを逮捕となった。


「匿名」からの通報があったらしい。

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