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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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史が京都に?(4)

洋子は不安になった。

洋子にとっても可愛い史が、従妹の加奈子と姉の由紀から「こら!」とか「アホ!」と叱られ、頭をポカリポカリされ、ムクレて口を「への字」に結んでいるのである。


洋子

「ちょっと聞いてくる」


「え?」

と洋子を見る奈津美や結衣、彩の視線など何も気にしない。

さっとカウンターから出て、史の隣に座ってしまう。

そして洋子が座った途端、加奈子と由紀が史に文句を言い始めた。


加奈子

「最初は源氏の話で気が合ってね、すごく盛り上がったの、それで源氏には古今の和歌がたくさん入っているから、勉強になる京都においでって言ったの、そしたらとんでもないことを言うから」

由紀

「最初は史も加奈子ちゃんも気に入らなかった、同居の姉の私をナイガシロにして勝手に京都の話をしているから、それはないだろうってね、でもね史は本当にアホだ!何を考えているのって!」

ただ、二人とも興奮して文句を言っているばかりで、これでは文句の理由も「ムクレ顔」の理由もさっぱりわからない。


洋子は、それでも大人、やさしく史に聞き出すことにした。

「ねえ、史君、どんな話なの?加奈子ちゃんと由紀ちゃんはどうして怒っているの?」

「私は怒らないから聞いてあげる」

ただ、そんなことを言いながら、史の横に「もうピッタリ」と座る。

内心では「フフン、これも役得さ」のようだ。


そこまで声をかけられ、「ムクレ顔で口がへの字」の史は、ようやく口を開いた。


「だって加奈子ちゃんがいきなり京都に住んでとか、大旦那の考えとか言うしさ」

「姉貴は、何も知らなかったって、突然怒ってくるしさ」

史は、そこで一呼吸した。


そして加奈子と由紀をきゅっと見て

「僕は音楽も源氏も和歌も好きだよ」

「でもね、それで音大とか京都とか、どうして他人の要望に沿わなければならないの?」

「僕の人生だよ、やだ、そんなレールの上なんて」


洋子は「フムフム」と聞いている、「まあ、当たり前だなあ」だし、怒られる理由もないと思うけれど、加奈子と由紀は怒り顔のままである。


洋子は史に聞いてみた。

「じゃあ、史君としては、どうしたいの?」

「ある程度しっかり言わないと、周りも混乱するから、言ったほうがいいよ」


洋子の言葉を、奈津美、結衣、彩も聞いている、そして頷いている。


史は答えた。


「あのね、できれば、この国を出たい」

「古代ローマを研究したくて」

「ローマからはじめてヨーロッパ全体、アメリカには文献もあるかも・・・」

「何年か留学したいなあって思っている」

「一人旅がいいなあって」


洋子は呆れた。

「これじゃあ、京都どころじゃやない・・・」

「話がいきなり飛躍しすぎだ」

「加奈子ちゃんと由紀ちゃんが心配になって、ポカリするのも理解できる」

洋子は腕を組んでしまった。



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