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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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由紀の悩み

由紀は最近また悩んでいる。

その悩みの原因は史である。


「アホでひ弱な史のくせに」

「やたらピアノとか指揮で評判いいし」

「確かに身分不相応に上手だけどさ」

「群がる女どもが、面倒でしょうがない」

「里奈ちゃんはマジメで可愛いから好きだけど、あの女どもの群がり方だと里奈ちゃんも可哀想だ」

「それに何?母美智子もマスターも洋子さんも、奈津美ちゃんまで史の味覚まかせで」

「キッシュは成功しているけどさ」

「じゃあ、私の存在って何?」

「ただの姉ってだけ?」


史と並んでいると、世間の注目は史にばかり集まる。


「小さい頃は、私のほうが注目された」

「史なんか、アホでひ弱で泣き虫だったから」

「あまり目立たなかったしさ」

「私が史を守ってきたのに」

「それを何?」

「その恩を忘れ、文句まで言ってくる!」


まあ、単なる史への嫉妬だとは思うけれど、悩みではある。


「でもなあ、史って笑うと可愛いしなあ」

「時々やさしいしなあ」

「ついついポカリしちゃうけど、痛いのかなあ」

「でも、史の頭ってポカリすると、いい音するんだ」

「それは、史の頭が空っぽだからに違いない」

「うーーー無性にポカリしたくなってきたぞ」

「何か、史のうっかりミスはないかな」

「まあ、どうせ史のことだ・・・うっかりミスだらけだからっと・・・」

ということで「史の頭ポカリ計画」を胸に秘め、由紀は部屋を出た。


・・・が・・・部屋を出た途端、母美智子が、階段の下から大声でお叱りの声。


「由紀!靴が脱ぎっぱなし!」

「史が黙って全部揃えたんだよ!」

「洗濯物も全部史が取り込んで」

「新聞の整理もあなたの係でしょ?」

「何でやらないの?史が全部やった!」

「あなた、お姉さんでしょ!」

・・・・・・

母美智子も、由紀と同じ。

言い出したら止まらないタイプ。


由紀は、頭を抱えてスゴスゴと自分の部屋に戻ることになった。

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