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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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カフェ・ルミエール楽団演奏会(5)

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第五番「皇帝」は最初からピアノ独奏によるテーマが奏でられる。

そして、史がその独奏を弾き始めると、もう、全員の顔がパッと輝いた。


「うわーーー!かっこいい!」内田

「あの一音一音の響かせ方、リズムの切れとタメの作り方、メロディの歌わせ方、どれをとっても絶品だ」岡村

他の元トップ指揮者たちも大興奮になる。

「いやいや、すっごいねえ・・・どうしてこんなところに?」山岡

「これなら、早速プロデヴューさせないと」尾高

「ねえ、楽団員たちも乗っちゃっているしさ、すっごいねえ」斎藤

超一流音楽家たちが、そこまで興奮するのだから、女子音大生たちは、その比ではない。


「いやーーー超可愛くて、超美形で、音楽もキラキラ?もう・・・ヨダレ・・・」

「うーーん!お持ち帰りしたい!」

「音大に拉致しよう、そして私が独占!」

「だめーーーー!私が愛でて育てる、手取り足取り」

・・・・呆れる反応も多いので、後は省略。


そんな圧倒的な史の演奏が終わった。

史が立ち上がると、途端に、大拍手となる。

もちろん楽団員からも指揮者からも、客席からもである。


「ああ、史君は全く問題ない、素晴らしい」

「後は本番まで、体調管理だけはしっかりね」

指揮者の榊原は指揮台を降り、史の肩をポンと叩く。


そして史は、ちょっとホッとした顔。

それでも、榊原と楽団員にキチンとお辞儀。

「じゃあ、僕はこれで」

つまり、「帰ります」というサインである。


ところが、そうはいかなかった。

客席で聴いていた合唱部の顧問の岡村から史に声がかかったのである。


「ねえ、史君!フィガロの結婚を振ってみて!」


「え?どうして?僕が指揮?」

史は、キョトンとなるけれど

指揮者の榊原は、ニコニコと笑っている。


おまけに楽団員たちからも、拍手が始まってしまった。


「えーーーーマジ?」

史は、本当に困っている。

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