カフェ・ルミエール楽団演奏会(1)
かねてから計画していたカフェ・ルミエール楽団の第一回演奏会の日が一週間後となった。
カフェ・ルミエール楽団は、主として史の学園の音楽部の生徒、地域に住む音楽愛好家、音大生、元プロがメンバー、史はピアニストとして参加している。
指揮者は、史の学園の音楽部の顧問であり、元プロ指揮者の榊原氏であるが、その榊原氏に、これまた超高名なピアニストの内田先生から電話があった。
内田
「ねえ、私も聴きに行っていいかな」
内田に言われては、榊原も断る理由も何もない。
「ああ、どうぞどうぞ、史君はいろいろ悩んで皇帝を弾きます」
歓迎のついでに、内田が興味を持つ史のことまで、伝えるのである。
内田もうれしそう、かつ、興味津々である。
「ありがとう!」
「それから、史君の皇帝?いや、聴きたいねえ」
「実際、練習ではどうなの?」
榊原は答えた。
「うん、まだ、全部、本気は出して弾いていませんが・・・」
少し間があった。
「それでね、時々、すごい集中を見せる時があってね」
「それが凄いんです」
「音楽の華と言いましょうか、パッと物凄い光を見せるんです」
内田は、ますます興味を持ったようだ。
「いや・・・史君は繊細さだけではないのかもしれない」
「もしかすると、凄いパワーがあって・・・」
内田も少し間を置いた。
「ねえ、練習も聴きに行っていい?」
榊原は
「はい、どうか来てください」
「これは、先生にも聴いてもらいたいと思っていました」
ということで、内田先生も、「練習」に来ることになったのである。




