史と里奈、奈津美、洋子
女子水泳部での取材を終え、史は里奈と一緒に、カフェ・ルミエールに。
もちろん、一緒に奈津美の「特製お饅頭」に関する用事のためである。
「はい、いらっしゃい」洋子
「お待ちしていました」奈津美
ニッコリと迎えられ、史と里奈は仲良くカウンター前の席に。
「それでね、史君」
奈津美は、史に声をかける。
「はい、この前の新作お饅頭と飲み物でしたっけ」
新作お饅頭とは、和洋折衷お菓子として試作した「珈琲クリーム饅頭」で、皮にも珈琲の香を染み込ませ、中に甘めの珈琲クリームを入れた饅頭である。
洋子も史に声をかけた。
「たしかにね、一品だけ、お饅頭だけで考えれば、優秀な作品だと思うの」
「でもね、お菓子には、お茶とか、まあ紅茶、珈琲はつきものでね」
洋子の考えていることが、史にはわかったようだ。
「ああ、つまり、珈琲クリーム饅頭で、緑茶とか紅茶、もちろん珈琲は変だということ?烏龍茶は合わないね、かろうじて、ほうじ茶だけど地味かなあ」
史も、これで、いろいろ考えている。
「そこで、あのお饅頭に合う飲み物は、なんだろうってことなの」
奈津美は腕を組んで考えている。
「確かにそこまで考えないとね」
洋子も、同じように腕を組む。
「・・・となると・・・」
「もともと、珈琲クリーム饅頭は味が濃いのが特徴なので・・・」
そこまで考えて、史がつぶやいた。
洋子と奈津美の両方の顔を見て
「えっとね、サラッと流せるハーブティー系でどうかなあ」
「いろいろ試して見て・・・」
「ミント系がいいと思うけれど・・・」
「レモングラスとかジャスミンは合わない」
史の意見に洋子と奈津美は、即座に反応。
「そうか、ミントか・・・やってみるかな、美味しければ、喫茶のメニューも増えて、お客様が喜ぶ」洋子
「お饅頭も、味付けを少し変えるかな、それはそれで面白い」奈津美
「これでも、研究会できるね」洋子
「もちろんですって!」奈津美
じっと黙っていた里奈が
「そうですねえ、すっごく楽しみです」
「私も参加していいですか?研究会に」
目を輝かしている。
洋子も、里奈の参加が、うれしそうである。
それでも、条件をつけた。
「じゃあね、お饅頭といろんな種類のハーブティーをたくさん作るから、研究会の成果を、柔道部の練習に持っていくこと」
奈津美も条件をつけた。
「それから、後で感想ね!それが条件」
里奈の顔は。そこでまた、パッと輝いた。
「わ!一石二鳥どころじゃないって!三鳥も四鳥もです!」
なんとか、そこで話がまとまり、史と里奈は、「手をつなぎ」ご機嫌で帰っていった。
それを見送った洋子は
「可愛いねえ、二人とも」
奈津美は
「見ていて絵になります、可愛くて」
今日もカフェ・ルミエールは、ほのぼの系である。




