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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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史の悩み(1)

史は新聞部に属しているが、最近、カフェ・ルミエールでピアノを弾いたことが評判を呼び、音楽部からしきりに誘われるようになった。

また、姉の由紀は合唱部に属しているが、姉としても「ピアノ弾き」として合唱部にも誘いたい様子である。


「新聞部なんてもったいないって」

「せっかくあれだけ弾けるんだから」

「両方だとできないのかなあ」

「史君ならできるよ」

史自身も、様々、言われることが悩みの種になっている様子である。


その音楽部系の誘いは、他の生徒にも波紋を広げている。

「史君のインタヴューとか受けたいよねえ・・・雰囲気もいいし、上手な記事にしてくれるし、それがすっごく励みになるよねえ・・・でも・・・ねえ・・・」

「うーん・・・ピアノも聴きたいなあ、カフェ・ルミエールだけじゃなくてさ」

「そうだね、大きなステージもいいなあ、スーツ姿の史君も可愛いと思うよ」

「でもさ、あまり外に出すと、ライバル増えるよ」

「そうだねえ、他の学校の女なんかに渡せないよ、もったいない」

よくわからない反応もあるけれど、史自身よりも、周りのほうが悩んでしまっている状態である。


そんな状態も続いたため、担任が史に声をかけた。

「ねえ、史君、音楽部とか合唱部って声もあるんだけど」

「史君自身は、どうしたいの?」

直接聞いた方がいいと思ったらしい。


史自身も、少し悩んでいる様子。

「新聞部に一度入ったので、途中で投げ出すことはしたくないです」

「他の人が期待してくれるのは、ありがたいけれど」

史としては、そのまま新聞部を続ける気持ちらしい。

ただ、確かに他の人の期待も、悩みの種であることも、事実のようだ。


ただ、担任はどうしても納得できないことがあった。

「ところでさ、都内中学音楽コンクール1位の史君が、どうして新聞部に入ったの?」

「受賞の話は、最近まで知らなかったんだけどさ・・・教えてほしいなあ」

少し強めに、史に迫った。


「えーっと・・・新聞部に入りたかったからです」

史の返事は、いたってシンプルなもの。

ただ、少しその顔には、陰りがある。

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