表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
131/760

マスターの歴史好き(2)

マスターの説明が始まった。


「まあ、うわなりというものは、漢字では後妻と書きます」

「『うわなりうち』とは、簡単に言うと、夫に捨てられた前妻が、その腹いせに新しく妻になった『うわなり』 に、女仲間とともに暴行を加える行為です」

「日本社会では、平安時代から江戸時代の初期にかけて、実際に行われていたとか」

取り敢えず、そこまで話して、マスターは水割りを口に含む。


歴史好きの客が、また質問。

「集団暴行して、罪に問われないのですか?」

他の集まった客も、同じように感じたらしい。

マスターの次の言葉を待つ。


「えーっとね、それは」

マスターは、少し苦笑い、また説明を始める。


「ところがね、確かに物騒な行為ではあるけれど」

「当時の日本社会では、決して違法行為とはされず、むしろ前妻の正当な復讐行為として認められていたらしいのです」

「それから、『うわなりうち』は、妻を離縁して五日以内に新しい妻を迎えた場合は、必ず実行されたらしい、中には一月以内もあったようで」

「ルールも決まっていたらしい」

「襲撃には男は不参加」

「親類縁者の女だけで、総勢で二十人から百人」

「襲撃する後妻には、事前に使者を立てて、予告する」

「武器は竹刀か木刀に限定」

「後妻側も、味方の女性を集めて応戦」

「戦闘の舞台は台所が中心で、前妻側は鍋、釜、障子とかの破壊に走ったようです」


歴史好きな客はもちろん、他の客や美幸もマスターの話に引き込まれている。


マスターは、説明を続けた。

「一通りの破壊活動が終わると、仲介者が和解を斡旋したようです」

「仲介者も、事前に決められていたらしいけれど」

マスターは、ここでニヤッと笑う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ