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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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史の音大見学(5)

史の演奏が一応、終わった。

ピアノの前に置かれた楽譜の範囲内という意味ではあるけれど、史は全部弾き終わったので、立ち上がってキチンと高名な音楽家三人に頭を下げる。

このキチンとした頭の下げ方だけは、どこに行っても変わらないようだ。


「うん、やはり、素晴らしい」岡村

「これで毎日練習したら、凄いものになる」榊原

「そうだねえ、うーん・・・それはそうなんだけど」

内田は、少し考え、岡村と榊原に目配せ。

その目配せに応じて、岡村と榊原は、レッスン室のドアを開けている。


「それでは、拙い演奏を聞いていただきまして、ありがとうございます」

史としては、レッスン室のドアが開けられたので、もうピアノは弾かなくてもいいと判断した。

途端にホッとした顔に戻っている。

「じゃあ・・・」と言って、ピアノの前を離れようとすると


「あ・・・ちょと待って、もう少しね」

内田は、もう一冊の楽譜を手にしている。

そして

「これ、やろうよ」

史に見せた楽譜は、モーツァルトの連弾の曲。


「え?僕と・・・まさか?」

史は、またしても、即座にド緊張、尻込み後ずさりをしようとするけれど無理だった。

内田が史の腕を引き、ピアノ前の椅子の座らせてしまったのである。


「じゃあ、始めるよ」

そのうえ、内田は史の焦りド緊張顔など見ない。

いきなり弾き始めてしまった。

そして、そうなると史は拒めない性格、一緒に連弾を弾くことになる。


「ほーーー・・・」岡村

「史君も必死な顔になった」榊原

最初は、史の緊張顔に不安を感じていた二人であったけれど、次第に内田と史の音楽に引き込まれていく。


「ああ、内田先生が上手なのは当たり前で、史君の個性を引き出している」岡村

「何しろ、史君の歯切れがいい、それと音の一粒一粒が美しいなあ」榊原

「内田先生も、乗ってきたね、調子がいい時の顔だ」岡村

「史君も・・・上手に合わせるなあ」榊原

「それでさ、ちょっと・・・」

岡村は、開け放った扉の方に目をやった。

「うん、予想通りさ」

榊原はニヤッと笑う。

何しろ、すごい数の音大生が、内田と史の連弾を聞きに来ているのである。



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