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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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同窓会(3)

顔からハンカチを離し、斎藤は話し続けた。

「その区分所有って言ってもね、値段が異常に安い」

「これなら家賃より安い、俺だって驚いたし、それでは大旦那に申し訳ないって思った」

「そしたら大旦那は・・・」

斎藤の目がまた潤んだ。

「あんな前のオーナーに急に家賃あげられて困るお前なんか見たくない」

「それで、お前が材料費を削るほうが気に入らない」

「お前の店が無くなるほうが辛い」

「くだらない心配するな、美味いケーキを作って世の人に幸せを与えろ」

「しっかりとお前の心と技を受け継ぐ弟子を育てろ、それが俺の本当の条件だってさ」

師匠斎藤の言葉を聞いていたひとみも、泣き出した。


「大旦那らしいねえ、やさしさと厳しさと・・・」マスター

「うーん・・・確かに、考えそうなことだ」美智子

「度量の大きさが別格・・・」ひとみ


涼子は晃を見ている。

「もしかして晃さん?」

しかし、晃は、微笑んでいるだけ。


マスターもクスッと笑った。

「事情」を察したようだ。

すぐに話題を変える。


「最近ね、新しいメニューを考えているんだけどさ」

「和風で、湯葉丼さ」

マスターが言うと、全員が立ち上がった。


「えっと・・・何か作る?」涼子

「卵とじだけだとつまらないよね」美智子

「柚子風味?」ひとみ

「うーん・・・生姜を効かせた餡がいいなあ」斎藤

「思い切ってコンソメ系とかは?」洋子


・・・・どうやら「新メニュー」というと、我慢ができない料理人たちらしい。

湯葉丼は様々につくり、小皿によそって、そのまま品評会。

「湯葉丼は、融通がきくねえ・・・」マスター

「中華風が捨てがたい」涼子

「梅を活かせないかなあ」美智子

「ピリ辛系もいいかな」斎藤

「カレー味は・・・カレーの種類も多いしなあ」ひとみ

「甘みを感じさせる餡が出来ないかな」洋子

・・・・なかなか、まとまらない。


その後は、斎藤パティシエの特製「チョコレートブラウニーケーキ」を食べる。

「さすが、伝統そのもの」マスター

「うん、超懐かしい味」涼子

そこまでは、まあ、マトモな反応だったけれど・・・


「美味しいけれど、チョコレートブラウニーは、カカオ豆を変えるとどうなるのかな?」美智子

「ブレンドにもよるなあ・・・ああ、やってみるかなあ、手伝ってくれる?」斎藤

「うん、やりたいねえ美智子さん、中に入れるもので味がかなり変わる」洋子

「・・・なんてマニアックな師匠連中だ」

ひとみは、呆れている。


そんな品評会の中、晃は微笑を絶やさない。

帰り際、斎藤パティシエは、晃に本当に深く頭を下げた。


その晃と斎藤の姿を見て、マスターがポツリと一言。

「さすがだ・・・俺は大旦那には言いづらかったけれど・・・」


そんなことで、同窓会は、成功裏に終わったようである。

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