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史の合唱部取材(1)
史は新聞部員として、合唱部の取材をすることになった。
取材そのものは、新聞部としての「年間スケジュール」に従っているのだから、当然こなさなければならないのだけど、少し問題がある。
それは、合唱部の部長が、史の姉の由紀ということである。
「やだ、姉貴に取材なんて」
「すぐに怒るし」
「頭、ポカポカするから痛いし」
当日になっても、史は、全く気が乗らない。
姉の由紀も、文句ばかりである。
「こっちこそ、嫌」
「史となんか話したくない、ひ弱で軟弱」
「弟に取材される姉って何?」
そう言って、取材当日の朝だけど「少々険悪な雰囲気」である。
それには、母の美智子もヘキエキ状態。
「あんたたち、いい加減にしなさい」
「同じ顔して喧嘩ばかりして!」
「うるさくて仕方がない」
しかし、二人とも、母の「お叱り」など、何も聞かない。
「同じ顔って言わないで!ああ、恥ずかしい」由紀
「僕だって嫌だ、こんな暴力姉」史
結局、お互いプイと顔をそむけたまま、登校することになる。
史の隣に歩く里奈も、かなり心配顔になっている。




