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合法自殺幇助  作者: たこりゅう
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第二話 入店

中に入ってみるとそこは薄暗くアロマのような匂いが漂っていた。


ここはマッサージ店かなにかかと思いつつも先に進んでみると、一人、真っ白い顔をした怪しい男が立っていた。


その男は俺を見るに甲高い声で


「いや~~~いらっしゃいませっ!」


と嬉しそうに叫んでいた。


見るからに怪しそうなその男は一見40~50才にも見えるがいまひとつ年齢がわからない。


というのも男であるにも関わらず化粧で顔が真っ白なのだ。よく小さい女の子が母親の真似をして化粧をするとお化けのような顔になるというが、まさしくオバケ(・・・)顔となっていた。


「いや~~~お客様とは久しぶりですよ!しかも若い!何年ぶりかな~!あっ!それより本日はどのようなご用件ですか!?」


「あ~今日は、じs...」


「あ~~~自殺幇助の件ですねっ!かしこまりましたっ!ささっ!どうぞこちらへっ!」


どうにも胡散臭い男だが、察しの良いところから機転の利く奴ということだけは感じ取れた。


案内されたところはただの事務椅子と事務机のある部屋。刑事さんがよく容疑者に対して尋問するところみたいなものだ。


(ああそんなことを考えているとカツ丼が食べたくなってきた。)


「そうしましたらっ!本日お聞きしたいことがあれば是非っ!な~んなりとお申し付け下さいっ!」


「では御言葉に甘えて。まずこちらの事をインターネットの広告で見つけたのですが、一体合法自殺幇助とはどういったものなんですか?」


「はいはい早速ですねっ!お客様はとてもせっかちですってよっ!」


(なんか癖の強い口調だな)


あまりにも口調がうざかったので少し真顔になってしまった。


「ゴホン。ではまずですね、合法自殺幇助と言ってもお客様が死ぬことに代わりありません。つまりお客様は99%死ぬことになります。」


「意味がわからないな。くわしく説明を...。」


「まあっ!お客様ったらせっかちっ!」


「.....」


「失礼しました。ではそもそも人が死んだと判断されるのはどんなときかお客様はご存じですか?」


「ああ・・・。そりゃ心臓の動きが止まったりとか息ができなくなったりとかでしょ。」


「その通りです。従来から『死の三兆候』というもので判断されていました。心拍停止、呼吸停止、瞳孔散大の3つです。」


「合法自殺幇助ってことはやっぱり殺すってことなのか?」


「そうですね。まあ正確には『消す』が正しいですが。」


「消す?」


「はい。」


「じゃあ合法自殺幇助っていうのは・・・。」


「脳に電気を与えてお客様自身の記憶だけを消去することです。」


なるほど。つまり自分のことに関する記憶だけを消すことのようだ。


そのため周りからは一見死んでないように見えるが、実際は自分の記憶だけがなくなるわけだから死ぬことと一緒というわけか。


「なるほど事情はよくわかった。しかしもし記憶を消去してしまったら、そいつは俺の生活を送るわけだろ。その時の記憶はどうするんだ?」


「はい。その時のために生前にお客様自身でお客様のことをこちらの用紙に書いていただきます。」


「死ぬ前に書けば俺の記憶を引き継げるわけか。しかし、都合の良い記憶だけ削除することなど普通の人間にはできないんじゃないか?」


一呼吸し、真剣な表情でピエロ顔が答えた。


「おっしゃるとおり、普通の人間には出来ないことかと存じます。しかしそこは我々脳刺激のエキスパートにおまかせください。必ずや幸せを掴んでいただけるよう尽力いたしますので」


「やり方とか詳しい方法などはやっぱり教えてくれないのか?」


「はい。大変申し訳ありませんが、大事なお客様とは言えど一応商売道具ですのでどうかご理解くださいm(__)m」


方法についてこれ以上詳しく聞いても教えてくれないのだろう。


とりあえずそちらの方は諦めることにした。


「わかった。ちなみに費用はいくらくらいなんだ?」


「はいっ!1回50万円となっております」


「ご、ご、50万っ!!!」


「はい。」


いくらなんでも50万は高いだろ!?と思ったが、まあ葬式代などを考えるとそんなものなのかもしれない。しかし、交渉の余地はある。


「なあ、俺あんまり金ないんだ。どうにかもう少し安くしてくれないか?」


「大事なお客様のお願いとあれば考えなくもありませんが、ちなみにいくらくらいをご希望ですか?」


「できれば半額くらいを・・・。」


「まあっ!お客様大胆ですね~っ!しかし、私個人では申し上げることができないので後日ご報告させていただくような形になってしまうのですが、よろしいですか?」


「ああ。かまわない。一応連絡先の方も教えておくわ。もしわかったら連絡してくれ。」


「承知いたしました。ではよろしくお願いします。<(_ _)>」


「うん。よろしく。どうもありがとう。」


自分の記憶だけを消去し、他の一般的な知識はそのままにするという要するに『自分の記憶だけ削除』というものだ。(まんまやないかーい!)


ちなみに用紙には


・名前

・年齢

・血液型

・住所

・家族構成

・趣味

・友達構成

・その他のパスワード

・自分の過去のことについて


などさまざま事柄が書けるようになっている。


まあ死んだら書き直しできないし、一応自分のことはできる限り書いておいてあげて、次の人にスムーズにバトンタッチできるようにしておきたい。それがせめてもの報いだ。


どうもたこりゅうです(^-^)

だいぶ更新の方が遅れてしまい大変申し訳ありませんでしたm(__)m

約1ヶ月ぶりの更新となりました。

だいたい約2週間に1話更新しようと思っていたのですが、先々週の水曜日、完璧に忘れてまして更新できませんでした。(汗)

ですがこういったゆる~い感じでやっていけたら良いかなと思っておりますので応援のほどよろしくお願いしますm(__)m

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