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キモリ もりトカゲポケモン No.252

前回までのあらすじ

整体を潰したことでカラオケ大会に出場できず、魔王に敗北してしまう。だがそこに現れたのはかつての知り合い。それはあまりにも修行にかかるお金が高いから勇者が自主的に弟子をやめてそれ以降あっていない師匠であった……

 今日は光牙と一緒に家でゲーム。


「……ブツブツ」


「な、なんだ今のコンボオイ! 即死コンじゃねーかよキッタネー!」


「黙れ林田、おまえも努力して上手くなってから俺に挑戦するんだな」


「くっそ、今日も全敗かよ、お前人殺すのうまいな!」


「兄さんよっわ」


 うるさい、おまえよりかはマシだからそういう権利はないと思え。


「んじゃあオレんちそろそろ妹帰ってくるからだろうし、飯作んなきゃだから帰るわ」


「おう、またなー」


「またね光牙さん!」


 あいつの家もまた、両親がいない。


 俺みたいに死んだわけではなく、子二人を置いて出て行ったらしい。


 それは、高校進学前だった。自分の分の進学用の金は置いてあったが、妹の分は無かったらしい。


 それからというものの、光牙は頑張った。


 高校入ってすぐにバイトして、お金を貯めて。なんとか生活をやりくりした。大好きだった野球もやめた。


 バイトを始めて一年、周りの人からの協力、光牙の努力のおかげで、なんとか妹の分の進学費が整ったらしい。


 同じ歳だが、あいつのことは尊敬している。


 俺だけじゃない。光牙は周囲の人間からの評価も高い。ルックスもいいし、何より性格もいい超人だ。


「ある一点を除けば、完璧無欠の究極生命体なんだがなぁ……」


「勿体無いよねぇ……」









 ×××









「加奈ァァァァァー!! マイエンジェル加奈ァァァァァー!! 元気にしてたかァー!?」


「うん、今帰ったとこだよお兄ちゃん!」


 あぁ、何度見ても……可愛らしい。


 何かの究極に可愛い生き物、ほんとにこれオレの妹でいいの?


「あ、見て見てお兄ちゃん」


 そうやってお兄ちゃんっていう姿すら可愛い。ニコッと笑ってくれるだけでオレは次の日のバイト16時間は稼働できる。


「ん、どうした?」


 加奈は鼻歌を歌いながら虫かごをオレに見せて来た。ほう、昆虫採集ですか。ボーイッシュな感じもまた可愛い。


「ほら、凄いでしょ!」


「……ん!?」






「カブトムシをパーツごとに仕分けしてみたの!」






「……え?」


 ……え? え?


 なにを、してるのこの子は。


「こんどはね、ほらみてこれ! カナが仕掛けたネズミ取りに引っかかってるネズミの動画! わかるここ! 脳みそふっとんでるんだよ!? 面白いよね!」


「え、えぇ?」


 な、なんだ!? オレのエンジェルになにがあったんだ!?


 これじゃあまるでサイコパスじゃねぇか!?


 冷や汗を流すオレをよそに、加奈は上機嫌のまま、何か台所に転がっている丸太のようなものを持って来た。


 見た瞬間、それが何かわからなかった。赤色がやけに目立つ丸太、のように見えたのだ。


 だが近づくにつれてその正体も明らかになっていく。目の前にたどり着いた時にオレが見たのは、真っ白な服を赤色でそれながら、人の腕を両手に抱えている愛しい妹だった。


「それとねそれとね! はいこれ! さっき来た強盗の左腕だよ!」


「おっ!? !!!!!????」


「ひどいんだよこの腕の持ち主さん! このひと加奈とお兄ちゃんの思い出のアルバムを蹴り飛ばしたの! だから許せなくてスパッとやっちゃったの!」


「……!? 加奈……おまえってやつは」


 ……少し、これには少しばかりオレにも原因がある。


 いや、こうなってしまったのはオレが原因なのだろう。


 オレが、天使を変えてしまったんだ。


「ど、どうしたのお兄ちゃん、こ、怖い……」


 涙目でふるふると体を震わせる。


 そんな飲ませたところでオレの反応は変わらない。やるべきことは、一つだけだ。


 オレは、彼女の頭に手を置いて。







「よくやった! マイエンジェルゥ!」


「褒めてくれるの? 逃しちゃったのに?」


「あぁ、今回は確かに残念だったけど、蹴り飛ばしたって言ったのが実にいい! 正当防衛の理由になるからな!」


「ほんと? やったぁ!」


 あぁ、やっぱり可愛いんだよなぁなにやっても!


 オレにこの天使を怒ることはできない!!


 いゃあしかし驚いたよ、人体への興味を無くしちまったとばかり思っちまった。


 ネズミやカブトムシじゃつまらないよなぁ、やっぱり人間じゃないと。


 将来はお医者さんになりたいんだもんな!


「お兄ちゃん、次どんな人家に来るの?」


「うーん、そうだなぁ……オレの親友なら喜んで切られてくれると思うぜ! なんたって親友だからな!」


「やったあ! お兄ちゃんだーいすき!」


 そう、オレにはこれがあればいい。


 彼女の笑顔がオレの生きる意味。


 世界を壊してでも、オレは彼女を守り切ってみせる。














 ×××








「って言う展開になって欲しいんだよねって言う話したんだよ昨日うちの妹と」


「また夢オチかよ! サイコパスだなぁお前も!」


 そんな恐ろしい話よく思いつくなお前!?


「まぁ半分冗談だよ、悪いな」


「ったく……ん、半分? どっから嘘?」


「……人の腕あたり?」


「え?」








次回、夢が現実に!?

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