森
私の名前は柊萌乃! どこにでもいる高校一年生!
中学校の時に転校してここに住んでるんだけど……!
私、気になる人がいるんです!
そう、それはお隣に住む、林田真紀君!!
未来の私の王子様!!
そして今、林田君とどうにかして仲良くなるために、妹さんに話を聞いているところです!
「紗希さん! どうすれば私はお兄さんと付き合えるのでしょうか!?」
「だから何度も言ってるでしょ!? 柊さんはあなたは不釣り合いなレベルで可愛いんだから普通に告ればオーケーなの!」
「しんじられません! 私からしたら彼こそ高嶺の花子さんですよっ!」
「うーん……どうしてこうなるのか」
だって、なんですかあのイケメンっぷり!?
「だってあの人、私がハンカチなくて困ってた時に……」
×××
「あれ、ハンカチがありません……」
「どうしたの? ほら、俺の体育着で拭きなぁよぉ……」
「イケメン……!」
×××
「……なんてことがあったんです! 私のピンチに駆けつけてくれるなんて王子様以外にありえますかこんなこと!?」
「ええ、それが女子トイレじゃなければね!」
「しかも体育着って!? つまり自分も忘れたってことじゃないですか!? それなのに私の薄汚い手を彼は自分の衣服であられる体操着を犠牲に私を助けてくれた……優しいイケメン通り越して菩薩ッ!! 菩薩ァァー!!!」
「あぁ……柊さんはこんなにも可愛いのに、どうしてうちの兄なんか好きになってしまったのかしら……?」
「うちの兄なんか!? とんでもない! むしろ私なんかで本当にいいのでしょうか!!?? あのイケメン君子に私みたいな薄汚いクソ奴隷が釣り合うのでしょうかぁぁぁぁ!!?」
「……もう、この人まずいな、うちの兄とこういうところ似てるのかも」
「そう! 今思い返せば……あの時も!!」
×××
「あっ……水泳用のゴーグル忘れちゃった、でももう着替えちゃったし……」
ガタンッ!!
「ろ、ロッカーから物音が!? 一体……」
「……ン萌乃ちゃん、プレゼェント……」
「これはゴーグル!? イケメン……」
×××
「……」
「私のためにロッカーにいてくださったなんてッ! あぁなんとありがたいありがたいのでしょう!! まさに男版ジャンヌダルクッ! 聖父マリオォオォォ!!……ってあれ? 紗希ちゃん何で泣いてるの?」
「うん、ちょっと我ながら情けないというか……うちの兄がそんなことしてるなんて思わなくて……」
「へー、そっかぁ……学校では本当にかっこいいんだよ林田君は!」
「別の男をお勧めします……」
×××
「ん? どうした妹、元気ないな」
「別に……」
何だこいつ、人を急にゴミを見るような目で見やがって。
おっ、柊さん登校してきた。今日も可愛いなぁ柊さんは。結婚したい林田さんのハンカチをバスタオルにしたい。
「林田、今日の部活なにすんの」
「黙れ光牙、八つ裂きにされてサイコロステーキにされたくなけりゃな」
「えっなにこいつ……!?」
今俺は天使を見てんだ邪魔すんな。この視界を遮ったやつから順に殺すぞ。
「見逃してやって光牙さん、兄は変態なんです」
「……あぁそういう。了解だ。苦労してんな」
ぐふふ、カーワイー。柊さん。
そうだ! 明日朝早く来てこっそり俺の机と彼女の机を交換しよう!
そして授業中、ベロベロ舐めてやるんだ!
ふふふ……興奮するゥ!
×××
「……あれ、なんか萌乃さんの机、結構びちょびちょじゃね? 今日雨じゃないし……なんで?」
×××
「ま、まさか二人とも同じことをするなんて……付き合った方が平和かも」
「く、苦労してんな……幽霊なのに、同情するぜ」
「もう、光牙さんぐらいしか信じられません……」
次回、なんとポケモンマスターへの道が開かれる!?