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黒い馬車で仮面舞踏会へ?

あああ、一件落着だ。

なんかエドワード王子とミーテが良い感じになりかけたけど。でも、エドワード王子には攻略対象うんぬん以前に、先ずは感謝だな。

ジョナサンの腕時計を取り戻して、尚且つルイスにお灸を据えてくれたみたいだし。まさか犯人がルイスを好きなメイドだったとは。道理で結界を通れたわけだ。

裁判所って、ええっと。

ミーテが歴史のレポートを書いていた時に、なんか、聞いたよな。

確か、エマリカ王国の政治的最終決定は国王と学園長と裁判長の3人で行っている、だったかな?

現世での裁判所とは違う所なのか?

其にしても、ミーテが魔法を放ったときは焦ったが、被害が出なくてよかった。

ミーテが俯いていた顔をあげた。

「あの、エドワード王子。ルイス様達はこの後、裁判所でどの様になるのでしょうか?」

「そうですね。私の証言書をウォーゲルに届けさせましたのであの2人の罪状は窃盗で確定するでしょう。」

さっきウォーゲルに渡していたのはそれか。

「ルイスの方は、窃盗、それも人を雇っての窃盗ですから、少なくとも貴族から平民へ降格。そして、ナンへの実で魔法の才能を消されるでしょう。

更に、今度はルイスとあのメイドに等しく禁固刑が3年、懲役刑が5年程課せられるでしょう。」

貴族でも容赦しないんだな。裁判所の権力って結構強い。

ミーテが再び深々とお辞儀をした。

「エドワード王子、このご恩は一生忘れません。」

エドワード王子はそっと微笑んだ。

あの後俺達は一旦女子寮に戻り、身支度をし直して授業に向かった。




ルイスの件から1週間程経った。

あの日からミーテのエドワード王子に対する態度が堅苦しいものから、少し和らいだ雰囲気に変わった。

いや、変わってしまったとでも言うべきか。

ミーテ、まさか秋の空みたいになってはいないだろうな?

最近ある噂が広まっていることにミーテは気付いていない。

犬の耳は良い為、ひそひそ話が丸聞こえなんだが、これがちょっとマズイ内容になっている。

なんでも、ミーテをストーカーしていたルイスをエドワード王子が成敗したって噂だ。ある意味真実なんだが問題はその後で、2人は熱い抱擁と接吻を交わし、互いに暫く見詰めあい、従者が声をかけるまで動かなかった、という最早根も葉も無ければ土もない噂が広まってしまっている。

今のところ、ミーテへの攻撃的な行為は見られないが、心配だ。




そんなこんなで、イスカのリオテューダー子爵家のランタナ風仮面舞踏会の日がやって来た。

ミーテにとっては丁度良い気分転換になるだろう。

俺は絶対に留守番するからな。

絶対に行かないからな!


その夜。

ジタバタジタバタ

前足も後ろ足も動かして抵抗を試みるが、びくともしない。

「ワン! ワン! 」(嫌だ! 行きたくない! )

なぜ、俺はミーテに抱え上げられているのだろう。

「トマトも浮き足立っているのね。」

違う、断じて違う!!

首もブンブン振ってみたが、ガッチリと俺の腰が空で固定されている。

チクショウ。握力が強すぎる。

そのまま向かえとして寄越された黒い馬車に乗り込んだ。

バタンッと扉が閉じられてパカラッ、パカラッと馬車が走り出す。

「あ、あれ?」

ミーテが慌てたように馬車の窓を叩き叫んだ。

「すみません!!私の友達がまだ乗っていないのですが!?」

馭者は馬を走らせながら言った。

「お連れ様は体調を崩されたと伺っております。」

「あ、そうなのですね。」

ミネルバ、体調を崩していたのか。

いやいやいやいや!!!

今朝会ったときは普通だったぞ!? そんな馬鹿な!!

「ワン! ワン! 」(嘘だ! 絶対に嘘だ!)

馬車はスピードを上げた。

きな臭すぎる。絶対、この馬車はおかしい。

「トマト? 」

「ワンワンワンワンわおーん! ワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワッゲホッ、ゲホッ。」(ミーテ、気づいてくれ。)

吠えすぎた。喉が辛い。

ミーテはじっと俺を見詰め、それから視線を窓に移した。

そのまま外を見詰めている。えっと、ミーテ、気づいてくれたのか? それとも気づいてくれていないのか?

どっちだ?


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