麗しい紅の君には、、、ヘタがついている
まさかな。異世界なのは知ってたが、ここが【過去に囚われたHeavenlyMaiden】の世界、なわけない。
たまたまミーテって名前でたまたまゲームの主人公と同じ顔してるだけ、、、暫く様子を見るか。
俺は毛布から這い出した。
あれ? 俺、綺麗になってる。
ふと自分の体を見ると、昨日、川の水で生臭く泥まみれだった俺の毛が綺麗な毛になっていた。
眠ってた間に誰かが洗ってくれたのか?
前足だけでテトテトと歩く。
ミーテも父親も出掛けているようだ。
俺は家の中を探検することにした。
火の消えた暖炉の右には青い扉がありBathroomと書かれていた。更に右に包丁やまな板が置かれた台所がある。暖炉の左には梯子があった。
暖炉の前には椅子3つと丸テーブルがあり、暖炉の反対の壁と赤い玄関扉の横に窓がある。
梯子はまだ登れそうにない。
ガチャリ
玄関扉が開いた。
夕陽をバックに白銀の髪が照らされ、片手に野菜の入った籠を持ち、、、麦わら帽子を被り、オーバーオールに白シャツ、泥まみれの軍手をしたミーテが立っていた。
お姫様みたいな顔と庶民的な格好がちぐはぐしている。
「ただいま。」
扉の前で長靴を脱ぎ、スリッパに履き替える。ミーテは野菜の籠を台所に置いた後、こちらに来た。
「良かった。起きたのね。」
「ワン。」(おはようございます)
どうやら俺は丸一日眠っていたようだ。
ガチャリ
玄関扉がまた開いた。
先程のミーテと同じ格好をしたミーテの父親がいた。
そして、その足元には白地に茶色の斑が入った巻き毛を持ち、俺の母犬の2倍以上あるプードルがいる。
まさか、すでにペットがいたとは。
しかもまたプードル系に会うとは思ってなかった。
俺、よそにやられるんじゃないだろうか?
デカイプードルはこちらを見た。
「ワン。」(やあ、おちびさんGood Afternoon。よく眠れたかい?)
「ワン。」(よく眠れました。)
ミーテの父親はデカイプードルの足を布で拭いてこちらを見た。
「良かった良かった。ずっと眠っていたから心配していたが、元気そうでなによりだ。マキマキ、後輩ができてよかったな。」
「ワン!」(Yeahhhh!♪嬉しいね。)
マキマキと呼ばれたデカいプードルは嬉しそうに尻尾を振った。
マキマキって名前なのか。
てか、実際のワン! という音に対して、犬語訳で英語がちょいちょい入るのは、なぜだ?
ひとまず即、捨てられることは無さそうだ。
「そうだ!名前付けなきゃ。お父さん、次つける?」
マキマキの名付け親はミーテのようだ。ネーミングセンスはあまりよくなさそうだな。
「ミーテが付けていいよ。」
ちょちょい!? 嫌な予感がする。
ミーテは回りを見渡し台所に向かう。
そして、台所に置かれた野菜籠の中を覗き込み、謡いだした。
「どれにしようかな 天の神様の言う通り ちちちのケムシ♪ トマト、トマトにしよう!」
あれ?
どちらにしようかな 天の神様の言う通り なのなのな 柿の種 猫のしっぽじゃないのか?
てかトマトか。
、、、本日現時刻を持ちまして、俺はトマトになりました。