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新しい友達増えたね

教室に戻った俺を待ち受けていたのは、撫で撫でジャングルだった。

「撫でても良い?」

という一人の女子生徒から始まり、オーケーしたあとの怒濤の撫で撫で攻撃。

ワッシャワッシャと撫でられていたら。

「さあ、始めますよ。席に着きなさい。」

という先生の一言で皆席に戻った。

撫で撫でジャングルから出た俺はミーテの机の隣でお座りをして、授業を静かに聞くことにした。

「では、今から禍法と吸魔鬼の関係について見ていきましょう。

そもそも禍法とはかつて魔王が使用していた方法で、他者に魔力を持たせて使わせる魔法の事です。

吸魔鬼が代表例です。

吸魔鬼とは魔王と契約してなるもので、他人の血液から命の魔力を吸いとり自分の物とすることができます。

さて、問題です。吸魔鬼になれるのはどういった者でしょうか?」

一番前に座っていたエドワード王子が手を挙げた。

「魔法を使える才能が無い者達です。」

「はい、正解です。」

先生はにっこり微笑んだ。

「よって、私達の様に初めから魔法を使える才能が有る者は、吸魔鬼にはなれません。

吸魔鬼となった人間は魔力を吸い摂る時のみ犬歯が鋭くなりますが、それ以外は一般的な長さに戻り、一般人と見分けがつきません。

吸魔鬼は魔王の命令に絶対服従となります。

魔王の死後それは解除されましたがその代償に吸魔鬼達は寿命が縮まりました。今のところ生きている吸魔鬼はいないと考えられています。」

ふーん、じゃあ安心、、、じゃないよな。魔王復活してるんだし。

そう言えば魔王の復活って皆にはどう伝わっているんだろう。

まだ知らせていないのかな。

「先生、質問です。」

ミーテが手を挙げた。

「吸魔鬼は私達魔法使いに比べて何倍の魔力を体内に溜めることができますか?」

「正確な数値は分かりません。今のところ確認されている最大値は約1億7000倍とされています。私達が体内に溜めることのできる魔力は自然界から摂取するものに限られますが、彼らは人間からの摂取が可能なためこれ程多く溜めることができると考えられています。

では、次に私達魔法使いが体内に魔力を溜めるための道具を紹介します。」

そう言って先生は教卓に並べ出した。

左から液体の入った注射器、次に緑色の小さなブロック状の物体、そしてチーズや草を並べる。

そして、沢山の紫色の指輪を取り出し、一人一人に配り出した。

「皆さん薬指に指輪を填めてください。」

指輪を填めるとあちこちから驚きの声が上がった。

「あの草、光っているわ。」

俺の目には普通の草にしか見えないんだが。

「皆さん、指輪を填めると分かりましたね? チーズも注射器の中身も緑のブロックも光っているでしょう。」

「凄い。凄い。虹色に光っているのね。」

隣のミーテも嬉しそうに興奮している。

虹色、綺麗だろうなぁ。

「この指輪は魔力のある植物、魔力を含む動物の乳を見分ける事が可能です。なぜなら、それらは魔力を溜め込み凝縮しているからです。」

「先生、なら私達も光るのでは?」

ベレニケが質問した。

「私達の魔力は摂取した後、体内で分散されるため薄まってしまい見ることはできません。」

先生はチーズと草を持ち上げた。

「かつて、魔力事態がまだ解明されていない時代、命の魔力を削って魔法を使用していた為、魔法使いは短命と考えられていました。しかし、魔力を摂取し、そこから使うことで今では寿命が縮まることはありません。

魔力を摂取する方法はひたすら魔力をもったこれらの物を食べて消化するしかありませんでした。その為、魔法の発動は摂取後三時間以上経たないと発動できませんでした。

更に時代が進むと。」

先生は隣の緑のブロック状のものを掲げる。

「このように魔力草等を凝縮した物が作られました。」

さ、サプリメントみたいな感じかな?

「更に時代が進むと注射器に入れて体内に注射できるようになりました。

この注射器で摂る事で、今まで摂取後発動に三時間以上かかっていたのが、摂取後即座に魔法の発動を行うことが出来るようになりました。」

あれは! ミーテの父親がミーテを転送する前に使っていたやつじゃないか?

懐かしいなぁ。あの時から3ヶ月以上経っているのか。

ミーテの父親、生きているかな。

「指輪は無くさないようにしてください。今夜は夕食時にこの指輪を着けて見てください。エマリカ学園で出される料理の殆どは魔力のこもった食べ物で作られています。」

そうなんだ。

俺は常に魔動物用の餌を食べて消化後蓄魔100%に回復するけど、ミーテ達も同じ様に蓄魔するのかな?



授業が終わり俺達は学園の東門を通って女子寮に戻った。

寮は赤レンガ造りの六階建。階が上がるごとに部屋は広くなり、住む人の身分も高くなる。

壁には金の燭台が取り付けられている。赤い絨毯が階段や廊下へと続いていた。俺とミーテは4階まで上がり、住む部屋へと向かった。

「ただいま。」

「ワン!」(ただいま。相変わらず広いなぁーー!)

トコトコトコトコ

とりあえず俺は其処らを走り回る。

5つも部屋があるんだよな。

あ~。解放感が心地よい。

朝食と夕食は部屋に運ばれる。

時間は各々決めることが出来る。

お昼も頼めば運んでくれるが、大抵は学園の食堂を利用するらしい。

コンコンコンッ

ノックされた扉を開けるとミネルバともう一人は誰だろう?

「遊びに来たよ、ミーテ。」

「お邪魔しま~す。」

「いらっしゃい、ミネルバ、イスカ。」

イスカ?誰?

「あ、トマトはイスカと初対面だったね。この子はイスカって言うのよ。」

俺はイスカを見上げた。

活発そうな子だな。

何でだろう?

コンコンコン。

再びノックされた後ろからメイドが料理を運んできた。

「ミーテ様、ミネルバ様、イスカ様、夕食をお持ちしました。」

ああ、3人で食べるんだな。

それにしても、、、。

料理を並べ終わったメイドは去っていった。

ミーテは俺の魔動物用の餌を皿に入れて俺の前に置いた。

「さぁ、頂きましょう。」

「頂きます。」

「頂きます。」

3人仲良くテーブルを囲んで夕食を食べている。

うん、やっぱり違和感あるよな。

ミネルバもミーテも大人しめの見た目なのに、何故イスカみたいな快活な子が友達として入ったのだろうか?

まぁ、ミーテもお転婆なところはあったが。

でも普通、友達って似たような趣味とか見た目とかでより集まったりしないだろうか?

まあ、別に気にするほどの事でもないか。

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