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他の魔動物に会えたけど

食べ終わったあああああああ!

俺がそう思った瞬間。

カチッ

と音がして元のトイプードルの体に戻った。


ぐうーーー。

俺の腹の虫が鳴った。

さっきあんなに食ったのになぁ。

まあ、でもいっか。

味は堪能させてもらった。

旨かったなぁ。久しぶりのチョコ。

そう思いながらソファからピョンッと下りると、ソファの側に俺の犬用の皿が置かれ、中には魔動物用クッキーが入っていた。

ミーテが置いてくれたのかな?

頂きます。

それをガリガリと食べていると、保健室の扉がガチャリと開いた。

そこには苦しそうなミハエル先生が先程食堂で囲んでいた3人によって担ぎ上げられていた。

え、な、ミハエル先生、どうした!?

3人はミハエル先生を保健室のベットに寝かすと、暫く心配そうに様子を見た後に保健室を出ていった。

俺はトコトコと歩いてミハエル先生のベットに近づいた。

苦しそうにしている。

「うっ、何て酷い胸焼けなんだ。」

そして、ミハエル先生は実に苦しそうに呟いた。

そういえばミハエル先生の体って細かったよな。普段から余り食べないタイプだったのかな。

だとしたら今回の量は、、、。

ごめーん、先生。完全に俺が原因だわ。

俺の食べ過ぎが原因だな。


ガチャリ

保健室の扉が再び開かれ、今度はミーテが顔を出した。

「ミハエル先生、失礼します。トマト、いる?」

「ワン。」(いるよ。)

トコトコとミーテの側に行くと、ミーテは屈みこんで俺の頭を撫でた。

「よしよし。お利口にしてたね。」

、、、ごめん。全然お利口にしていなかった。

思いっきり人の体でやりたい放題していました。反省はしていますが、後悔はしていません。

「実は今から中庭に行くんだけどそこで他の魔動物に会うことになったの。トマトも行こうね。」

え、他の魔動物?

そういえば俺以外で始めてだな。

でも何でミーテの表情は心配気なのだろうか?

不思議に思いつつも俺はミーテと共に保健室を出た。


俺とミーテは二人で中庭に出た。

そして、中庭の東に向かった。

中庭の東には白い丸テーブルと白い椅子が4つ置かれている。

わざわざ用意したのかな。

でも、誰が?

「あら、ミーテさん。此方にいらっしゃい。」

ベレニケじゃないか!?

その隣は、

「おや、ベレニケ。君が彼女を呼んだのですか? 」

エドワード王子もいるんですけど!?

ど、どういうことだ!?

「そうですわ。エドワード様。私がミーテさんをお誘いしましたの。魔動物を持つもの同士お友達になれたらと思いまして。」

ミーテを見上げると、ミーテは狐に摘ままれたような顔をしている。

話の流れからしてベレニケがミーテを呼んだのだろう。だが、ミーテはエドワード王子がいることをどうやら知らなかったみたいだ。

「ベレニケはいつも美しいものを持ってきてくれますね。」

「ふふ、エドワード様の目には美しいものを入れたいと思うのは婚約者として当然ですわ。それに、私も美しいものは好きですから。」

う~ん。ミーテを美しいものと表現するのは、何だろう。ミーテを美術品扱いしているようでなんか嫌だな。

そういや、魔動物は。


「ゴォォォ。」(こんにちはー、あなたが魔動物?)

音の方を見ると、白い大きな石かと思っていたものが実は、、、白いワニだった。

ワニだよな。どう見ても。

「あら、サニーも嬉しがっていますわ。」

サニーって名前なのか。

「ワ、ワン。」(は、始めまして。魔動物のトマトです。)

「ガウッ!」(おい、貴様、本当に魔動物か?)

いきなり吠えられて誰かと思えば、エドワード王子の側に座っていた狼だった。

でかい! 狼ってこんなに大きいのか?

そして此方を青い目の鋭い眼光で睨んでいるんだが。

なんか勝手に俺の体がプルプルと震え出した。

「ク、クーン。」(は、はい。そうです。)

「シーザー、いきなり大声を出さないように。トマト君が怯えているでしょう。」

どうやら、狼の名前はシーザーのようだ。

すると、シーザーはキッとエドワード王子を睨んでグッと黙った。

なんか、険悪だなぁ。

よく見るとサニーもシーザーも俺と同じ首輪をつけている。

こいつらも魔法を使えるのか。

どんな魔法が使えるのかというワクワク感よりも、正直今はワニと狼を目の前にした恐怖の方が勝っている。

「さぁ、ミーテさん。此方にお座りになって。」

ベレニケが自分の隣を示した。

「はいっ。」

ミーテはぎくしゃくしながらも座った。

緊張してるな。無理もない。

すると、シーザーが動いて此方に来た。

こここここここ怖い!!!

再び体がプルプル震え出す。

これはもはや小型犬の本能だろう。震えを抑えようと努めてはいるが、やっぱり震えてしまう。

シーザーは俺の前まで来るとクンクンと俺を嗅ぎだした。

「ガウッ?」(貴様、使える魔法は?)

「ワ、ワン。」(と、透明化です。)

ラッキードックという入れ替わりの魔法は、まだ登録した覚えはないので言わないことにした。

「ガウッ。」(他には?)

「ワン。」(それだけです。)

「ガウッ?」(たった1つか?)

なんだよ、1つじゃダメなのかよ。

「ゴォォォォ。」(1つしか使えないなんて不思議ね。それも透明化だけに特化しているなんて。)

そ、そうなんだ。珍しいのは知っていたけど。

「ワン。」(じゃあ皆さんは?)

「ゴォォォォ。」(私は火、水、木、土ね。)

「ガウッ。」(俺は火、水、風、回復だ。)

「ワン。」(へぇ。皆さん色々と使われるんですね。)

「ゴォォ。」(あなた、面白い目の色をしているのね。)

「ワンワン。。」(はい、右目だけ緑色になってまして。)

そういえば、この目の色になってから魔法が使えるようになったよな。

「ワン?」(皆さんは何時から魔法が使えるように? )

「ガウッ。」(生まれたときからだ。)

「ゴォ。」(同じく。)

「ワン?」(生まれたときから右端に文字が見えるんですか?)

すると、シーザーは首を傾げた。

「ガウッ?」(文字?)

「ワン?」(え、だって、 皆さんどうやって魔法を発動しているんですか?)

「ゴォォォ。」(そりゃあ、この指から出すのよ。)

サニーは片方の前足を上げて5本の指を見せ、その内人間の薬指に相当する部分をくいっくいっと動かして見せた。

「ガウッ。」(これ以外にどうやるって言うんだ?)

シーザーも片足を上げる。そして端から二つ目の肉球を動かした。

ぱっと見ると肉球が4つあるからてっきり4本足かと思ったがよく見ると離れたところに親指のような爪を発見した。

今動いているのはやっぱり人間の薬指に相当する部分だ。


え、じゃあ、俺ってなんなの?

魔動物の狼の名前をシーザーに変更しました。

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