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黄色と黒のしましま模様は警告の色

「今日は皆様にとって初めての授業となりますね。それでは先ずは魔法の歴史についてを勉強していきましょう。メモしてください。」

1時間目。

ここはエマリカ学園南の建物の三階だ。

ミーテは真剣にノートをとっている。

俺はミーテの机の横に引っ掛けられた手提げの中だ。


「魔法が発見されたのは今から40年前。ジェイフ・ナフという科学者が初めて発見したと言われています。

ジェイフは列車事故遭遇時、何とか止血しようと傷口を押さえた際、偶然魔法が発動し傷を治すことが出来たと言われています。

また、ジェイフは魔法を使える才能を持つ者の条件は薬指だけを挙げることが可能な者で、それは遺伝することを発見しました。」

カッカッと黒板に書かれていく文字と先生の解説はスピーディーで淡々としていた。

俺はメッシュ加工の穴から覗いている。

「35年前、先代国王アーサー1世により魔法強化政策が打ち出され、時代は剣の強さから魔法の強さへと変わって行きました。30年前にはルビーを使った初の魔道具が作られましたが、この頃はまだ本格的に魔道具の研究はされませんでした。」

暇だな。眠たくなってきた。朝ごはん食べた後だし、今4月だし程よい気温なんだよなぁ。

ブーーン

なんか、、、今羽音が?

「25年前、現国王アーサー2世が国王となられます。この頃シロリア王国はエマリカ王国国境にあったダラハット王国を取り込み、シロリア王国とエマリカ王国は緊迫した状況となりました。しかしその後シロリア王国国王アレクセー3世の代となった時に和解し、現在は友好的関係を築いています。」

ブーーンブーーンブーーン

なんだなんだ。

めっちゃ羽音うるせぇ。

「23年前、初の魔動物として発見されたのはエマリカ王国北方の農村で見つかった緑色の牛であり、この時初めて動物にも魔法を使用できるものがいることが分かりました。そして20年前、ヒガリ王国がシロリア王国と共に共同で統治されることになり。」

ブーーンブーーンブーーンブーーーーン

どこだ、この羽音の主は?

ふと足元のメッシュ加工の部分を見ると、メッシュ加工の隙間から飛んでいる蜜蜂が見えた。

こ、こいつか。

蜜蜂が俺の手提げ袋の下でぐるぐると飛び回っている。

「19年前、魔道具の開発が盛んになりました。中でもエマリカ王立研究所は魔道具開発に力を入れ、次々と新しい魔道具の理論が確立されていきました。」

ブーーン、ピタッ

飛んでいた蜜蜂は何を思ったのか手提げの底に止まった。

つまり、俺の足元だ。

蜜蜂はメッシュ加工の編み目の間から、、、頭を押し込んで入ろうとしている。

「16年前突如として他人の魔力を吸い盗り、魔法を使う才能を得た吸魔鬼と呼ばれる輩が現れました。魔王と名乗る闇の魔法使いの仕業だと判明後現国王は魔王を討伐しました。吸魔鬼についてはまた別の時間に習います。」

スポッ

ひいいいいいい!

なんと、蜜蜂は手提げの中に入ってきやがった。

俺の前足の方に近づいてきたので片足を上げるが今度は別の足に近づいてくる。

あっ、

慌てて足を上げようとして思わず俺はバランスを崩した。

ドサッ

鞄の中で倒れた俺に驚いたのか、なんと、鞄の中で蜜蜂が再びブーンと飛び上がった。

そして、

チクッ

「ギャィン!」(痛い!)

さ、刺しやがった。 この蜜蜂! しかも俺の頭を。

痛いいいい! 俺のせいじゃないだろう!

しまった。思わず声だしちゃったけど、ヤバイよな。

その時バッと手提げの蓋が開かれた。

咄嗟の事で俺は透明化し忘れたが、見上げるとミーテの顔があった。

「トマト!! 大丈夫!?」

蓋を開けると蜜蜂が出ていった。

ミーテは素早く手を挙げた。

「先生! すみませんが、蜜蜂に刺されたようなので保健室へ連れていっても良いですか?」

「え、あのそれ、あ、魔動物? でも何でそこに? 」

行きなりの事に先生は少しパニクっている。

「先生。死んでしまいます! 行かせてください!」

「あ、はい。」

ミーテの剣幕に押されて先生は頷いた。


タタタッ

ミーテは素早く俺の入った手提げを抱えて教室を出る。

教室を出た先には中庭に面した大きな窓があった。

窓は開いている。

ミーテは窓から中庭を除き込み、中庭に面した保健室の扉を目で探した。

「あそこか。」

そして、、、何を思ったのかミーテは、窓枠に足を掛けた。

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