禍法
「マーリン学長、禍法とは何でしょうか?」
「嘗て魔王が良く使っていた方法でな。魔法が術者自身の中での魔力を使うのであれば、禍法は他者の魔力を使わせるものじゃ。未だに謎の多い方法でな。簡単に言ってしまえば、遠隔操作の魔法じゃ。虫や動物にも魔動物のように一部魔力の持つものがあるじゃろ。魔王は自らの言うとおりに動かせる魔動物を人工的に作りそれを攻撃や防御、更には目として使う。」
「目?」
「まあ、景色や音がその人工魔動物から魔王に伝わるという意味じゃ。ルドマンが送ってきたあれは今このエマリカの地下研究所で厳重に保管され、調査中じゃ。透明なカゲロウについて分かった事は、魔法を当てるとそれを吸いとる事と、火に弱い事じゃ。それ以外の動きは普通のカゲロウと同じじゃ。但し、たまに此方の動きを観察するような動きを見せよる。恐らく魔王と繋がった時にそういう動きをするのじゃろう。」
ああ、あのときの奇妙な動きはそういうことか。
「報告は以上じゃ。」
「あ、あの、イスス共和国に手紙を出すことは可能ですか? どうしても無事を知らせたい人がいるのですが。」
ジョナサンのことかな?
「それはならぬ。」
マーリン学長はぴしゃりと言った。
「実はのう、ミーテ。転送魔法での国家間の行き来は法律で禁止されておるのじゃ。そなたがイススの者だと知られたら大変な事になりかねない。すまんが耐えてくれ。」
「申し訳ありません。我が儘を言ってしまって。」
ミーテは項垂れた。
「魔王については1日も早く倒せるように此方でも尽力するから、そう落ち込むことは無い。全てが終わればわしからイスス共和国に掛け合いそなたを元の場所に戻れるようにしよう。」
「有り難う御座います。あの、あともう1つ。この首のは蓄魔はしなくても良いのですか?」
そういえば着けていたな。封印のネックレス。透明だから忘れていた。
「それは必要無い。封印ついでにそなたの膨大な魔力の一部を使わせてもらっとる。まあ、それでもその膨大な魔力は尽きることは無いじゃろうな。」
「そうなんですね。分かりました。」
「さてと。」
よっこらせっと、マーリン学長は席を立った。
ミーテと俺も席を立つ。
帰り際にマーリン学長は思い出したように言った。
「おう、そうじゃ。魔動物は学園に入ることはできるが、余り見せぬ方が良いぞ。」
「何故ですか?」
「魔動物を持つのはそなた以外は王族クラスの者達が殆どじゃ。魔動物認定証さえ発行してしまえば王族とて奪うことは出来ないが嫉妬の対象になりかねん。見せても良いが控えめにな。」




