マーリン学長の報告
仮面舞踏会以降は特にトラブルもなく、平和なヘッセン家での生活が過ぎていった。
仮面舞踏会の日から、凡そ1か月が経とうとしていた。
この1か月間で、俺とミーテが住む予定のエマリカ学園での寮の下見と、俺の首輪の蓄魔を役所で行ってもらった。
そして、明日はエマリカ学園入学式という日まできた。
俺とミーテは今エマリカ学園の学園長室にいる。
何故かと言うと、学園でサインしなければならない書類が有るらしい。
「久しぶりじゃのう、ミーテ。それにトマトも。」
「お久し振りです。マーリン学長。」
「ワン!」(久しぶりだな、マーリン学長。)
「ミーテ、少し痩せたか? ヘッセン家での生活は大丈夫か?」
「はい、とても良くしていただいております。」
始めはヤバかったけど今は解決したもんな。夢遊病以外は。
マーリン学長はホッと胸を撫で下ろした。
「それは良かった。良かった。それでじゃが、今日来て貰ったのはこの紙にサインする事と、後で色々と報告したいことがあるからじゃ。」
「父の事について何か分かったのですか!?」
「まあ、のう。それは後で話すから先ずはこの紙にサインをしておくれ。」
マーリン学長はテーブルの上に厚手の紙を置いた。
ソファから俺も乗り出して其を見る。
紙にはこう書かれていた。
同意書
私は、エマリカ学園で学園生活を送るにあたり、この確認書に記載されている条項(以下エマリカ学園を学園と記載する。)をよく読み、危険性、学園の権利などを理解し、了承し、同意した上で、自筆の署名をいたします。
1. 魔法の実習訓練はその性質上、死傷する危険があることを⼗分に認識しています。
4.私は、学園が設けた規則やその教員の指⽰に従い、安全を⼼がけなければならないということを⼗分に理 解しています。私は、教員が設けた規則や指⽰を無視して⾏った⾏動に対しては、応分の責任を負わなければならず、学園が、規則や指⽰に従わない生徒に対し、学園から永久追放する権利を有していることも、理解しています。
5.私は、学園で起きた事故については、学園に対してして、責任を問うことはしません。
6.私は、故意により、または学園が設けた規則もしくは指⽰に反した⾏動により、学園の管理する施設や備品 などに損傷を与えた場合、その修理費を負担することを了承します。
7.私は、学園で怪我や病気になった場合、教員の判断により医療機関での治療を受け、緊急の 場合には学園または医師が応急処置を施すことに同意いたします。
9.私は、天災、天候不良等不可抗⼒の理由により、魔法の実習訓練の実施に⽀障があり、 または安全確保に⽀障があると判断した場合、魔法の実習訓練が中止となることに同意いたします。
3月31⽇
住所 〒
署名(自筆)
いや~本格的な同意書だな。学園って結構危険な所なのかな? それとも単に保険のため一応書いて貰ってるってことかな?
ミーテはサラッと一読した後にサラサラとサインをした。
書き終わった同意書を、マーリン学長は執務用の机に鍵で閉まった。
「さて、先ずはルドマンにについてじゃが、、、。イスス共和国に訊いたところ未だに死体が出てこないそうじゃ。」
「ほ、本当ですか!?じゃあ、生きている可能性が有るのですね!!!」
ソファから転げ落ちんばかりにミーテは驚いた。
良かったな、ミーテ。てか、俺達がいたところはあの小さなイスス共和国なんだな。
ん? 死体が出てこないから生きているかもしれないのはわかるが、それって魔王が連れ去った可能性もあるんじゃあ、、、。
「それともう1つ! ルドマンが送ってきた透明なカゲロウについてじゃが。」
え、ちょっとマーリン学長。話しを早々に次の話題に持っていっていないか? ルドマンが魔王に連れ去られたかもとか、、、言わない方がいいのかな。
ミーテが魔王の元に直ぐ様向かおうとか言い出しかねないもんな。
「あれは、禍法が使われとる。」
禍法?