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一方ジョナサンは

イスス共和国

それは北方に位置する広大な山々に囲まれた小国である。30年程前に第13代目にして最後のイスス国王オンジ三世自らが、君主制から共和制に変えた国である。

非常に高い軍事力を誇り、小国ながらも独立を保っている。


白い雪山をジョナサンは登っていた。今年で17歳となった彼は今、イスス共和国での初期兵役義務についている。

イスス共和国では17歳になると初期兵役義務、20歳では中期兵役義務、25歳では後期兵役義務が課せられる。週に2回それぞれ3か月間ずつ行う。

男性は基本全員参加だが、税金を通常の2倍近く払うことで免除することも可能である。女性は希望者のみ参加できる。


「なあ、未だにミーテは見付からないのか?」

隣で共に登っている男がジョナサンに囁いた。

「そうなんだ。時間を見つけては探しているのだけど。」

ジョナサンは深いため息を吐いた。気温が低いため吐く息は白い。

「あれからもうすぐで、2ヶ月経つな。」

「そうだね。」

「まだ探すのか?」

ジョナサンはフッと笑った。

「勿論探すさ。たとえ何年、何十年かかろうともね。」

「流石、見上げた根性だな。」


ふと、男は呟いた。

「もしかして、国外にいたりして。」

「まさか、国外に出たなら門に出国登録名が残っているはずだろう?」

「そうか、それもそうだな。」

そのまま二人は黙々と歩き続ける。

ジョナサンはハッとした。

そうだ、ミーテの父は確か魔法が使えるはずだ。もしかして門を通らずに国外に出たのかもしれない。

「いや、成る程。国外。あり得なくもないか。有り難う、サムソン。」

「え、いや、ごめん。今のは冗談半分で言ったことなんだ。」

「、、、そうか。」

取りあえず隣国のエマリカの方も探してみよう。ジョナサンはそう決心した。

「ちょっとサムソン! こんな時に冗談とか言わないでよ!」

後ろの女性が注意した。

「へいへ~い、分かったよ、マデリーン。」

「サムソン、返事は一回よ。」

「へい。」

マデリーンは深いため息をついてジョナサンの方を向いた。

そして小さく呟く。

「やっぱり。ミーテじゃないと駄目なのね。」

「何か言ったかい? マデリーン。」

「何でもない!」

3人は隊列に沿って歩いていく。


マデリーンはジョナサンの後ろを歩きながら、思った。

私の方がずっとジョナサンと一緒なのにほんの数十回しか会っていない、1年に1度しか会っていないあの子の方が好きなんて。

こうして私はジョナサンと一緒にいるのに何であの子を選ぶの?


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