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ギャラリー部屋

なぜだろう?

ミーテの顔が真っ青で、額から冷や汗をかいている。


大丈夫か?


「ハーフォード侯爵様は美しい物がお好きだとか。よろしければ我が家のギャラリー部屋を見ていかれませんか? 少ないですが良い物が揃えてあります。」


ジオルドがミーテの様子を察して助け船を出した。


「そうですね。折角ですからお言葉に甘えて。ミーテ嬢も参りましょうか。」


ミーテ嬢も一緒に、か。ジオルドのミーテへの助け船は呆気なく沈没した。


ミーテは俺を台座から下ろした。


あ、ありがとう、ミーテ。


良かった~。やっと動ける!


結局、そのままジオルド、ミーテ、エドワード王子、そして俺でギャラリー部屋へと向かうこととなった。


ギャラリー部屋の扉を開けると、そこはまるで小さな博物館だった。

壁にずらりと並べられた絵、壺、像、絨毯。


成る程。ギャラリー部屋って要するに好きなものを並べとく部屋かな?

プラモデルとか棚に並べる、みたいな?

俺も昔は集めてたな。肌色の消ゴムとか。


それが貴族ともなると十数万、数千万するようなものになるって感じだな。どれも高そうだ。


王子とジオルドが入りその後ろを俺とミーテがついていく。


エドワード王子の目線の先には濃紺の壺に細かい金細工でススキと満月が描かれている。


ああ、これぞ秋の定番って感じの風景だ。懐かしいなぁ。


「実に美しい。これはヒガリ王国の工芸品ですね。」


そう呟く王子にジオルドは説明した。


「おっしゃる通りで御座います。これは私の先代がヒガリ王国から買い付けた物です。」


「ヒガリ王国は滅んでしまいましたからね。今となっては昔の物しか見ることが出来ない。おや? そちらの壺はダラハット王国の? 」


隣には目も覚めるような青地に赤や緑で幾何学的な模様が描かれた壺が鎮座している。


「はい。こちらも先代がダラハットから買い付けた物で御座います。」


「ダラハットの工芸品もあるのですね。滅びた国の物は貴重だ。」


ん?

先代は買えたのに、今では滅びたって。

つまりヒガリもダラハットも結構最近に滅びたってことか?


「そちらは、英語で書かれた石板ですか? 」


あ、なんか英国博物館とかにありそうな黒い石板があるぞ。白い文字がびっしり彫られている。


「左様で御座います。これは私の初代当主の代に地中より掘り出された物で御座います。」


「大昔に使われていた言語ですよね。廃れてしまった言語ですが、最近では装飾文字として流行っているとか。」


英語がヒエログリフ的な扱いなのか。


「こちらは?」


王子は漆塗りの黒い箱を指した。


「こちらもヒガリ王国の物で御座います。オルゴールなのですが。宜しければ鳴らしてみましょうか? 」


「ええ、是非。」


ジオルドはオルゴールの蓋を開けて、固まった。


「どうされましたか? 」


「あ、その。中に嵌め込まれていた宝石が無いのです。昨日は有ったのですが。」


「盗まれたという事ですか。この部屋はいつから開けていたのですか? 」


おいおい、コ●ン君的な者が必要な展開になってきたぞ?


「つい先ほどルークに鍵を取りに行かせて、、、。」


そういえば、ルークは鍵を取りに行ってから戻って来ていない。じゃあ、ギャラリー部屋は何で開いているんだ?


その時ギャラリー部屋の扉が開き、ルークが息を切らして入ってきた。


「旦那様! もしかしてギャラリー部屋の鍵をお持ちですか? 」


「いや、私は持っていないが。君が開けてくれたのではなかったのか?」


「私は今の今まで鍵を探して、、、。」


ジオルドとルークは固まった。

エドワード王子はそんな二人を眺めて、穏やかに言った。


「犯人を探しましょう。」


「しかし、どうやって。」


「トマト君に犯人を当ててもらいましょう。」


皆の視線が俺に集まる。

お、俺えええ!?


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