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ミーテ視点、王子という名のダイナマイト

ミーテ視点



何故、エドワード王子がここに!?

仮面で半分隠されてはいるがあれはエドワード王子だ。間違いない。


【過去に囚われた Heavenly Maiden】攻略キャラ。

名前はエドワード・ブーレン・グレー・キングブカム。

エマリカ王国第1王位継承者。

その美貌もさることながら文武両道、完全無欠の王子キャラ。


前世の私の一番の押しキャラでもある。


常に周りから尊敬と羨望と熱い視線を集めていて、どこへ行っても気品に溢れ、堂々とした立ち振舞いを崩さない。

美しいものを見ることが好き。


ロイヤルな身のこなしから突然積極的に迫ったりするギャップを持ち、それはもう前世での私の心は何度も弾けさせられた。


そして、今、私は衝撃を受けた。

思い出した。

保健医のミハエル先生の時は思い出せなかったが、エドワード王子を見た瞬間、私は自分がとんでもなく楽観的に考えていた事に気づかされた。


エマリカ学園に入って魔王をやっつけてジョナサンの所に戻るという計画が、いかに難しいかという事に考えが及ばなかった。


すっかり忘れていた。バッドエンドがあることに。


【過去に囚われた Heavenly Maiden】はたとえどのルートを辿っても基本的には誰か一人と結ばれる事になっている。


結ばれる人の間の好感度によって様々なハッピーエンドが用意されている。

しかし、殆どハッピーエンドの中に1つだけバッドエンドがある。

それは全ての攻略対象を振り続け、好感度を全キャラ0にする事で発動する。

通称、軟禁バッドエンド。


攻略対象4人が結託し、主人公ミーテを塔に囲うのだ。


王子が資金を、保健医が軟禁状態の主人公の体調管理を、癒しワンコが私有地である山奥の塔の場所を提供し、秀才君が周囲の情報操作と揉み消しを行う。

見事な連携プレーによる最悪のバッドエンド。


画面の向こうの2次元ならまだ良いが、3次元だと嫌に決まっている。

恐すぎる。冗談じゃない‼


この4人の攻略対象の言葉にひたすら【いいえ】を答えたら良いわけではない。それをすると軟禁バットエンドまっしぐら。


かといって1つでも【はい】とか、肯定的な答えを出せば4人の内1人と結ばれてしまう。


ジョナサンの元へ戻るには、【はい】でも【いいえ】でもない第3の答えを自分で探さないといけない。

だけど、ここで王子の出現により最悪の状況となってしまっている。


ゲームイベントでは仮面舞踏会に王子が襲来する、というイベントは存在しない。

そもそもゲームは学園に入るところから始まっている。


予備知識のないこの状況はとんでもなく危険。言った言葉が何に繋がるか分からない。



今、彼はトマトの頭を撫でている。


ふと、トマトが私の方を見た。

エドワード王子もつられて此方を向く。


私は咄嗟に目を逸らした。

条件反射だと思う。


その時、調度7曲目のワルツが終わった。

お父様が終わりの言葉を述べる。

招待客は次々と帰っていくが、何故か王子は帰らない。お父様と話し込んでいる。


「ミーテ、また会いましょう。」


私の隣に座っていたミネルバも両親に連れられて会場を出ていった。

王子以外の招待客が出ていくと、会場の楽団も片付けに入り始めた。


「ミーテ、此方においで~。王子、、、じゃなくてハーフォード侯爵様が君にトマトの事を色々と訊きたいそうだから。」


お父様に呼ばれたなら行かないといけない。


私はソファから立ち上がり、お父様と王子の方へ向かった。

王子もお父様も私もまだ仮面を着けたまま。


王子の青い瞳が此方を捉えた。


「はじめまして、ミーテ嬢。私はハーフォード侯爵。こちらの魔動物の飼い主は貴女ですかな? 」


どどどどどうしよう。


「はじめまして、ハーフォード侯爵様。はい、そちらのトマトは私の魔動物でございます。」


これぐらいなら言っても大丈夫よね?

多分、、、。

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