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マーリン学長視点、言えない秘密

マーリン学長視点



「うーーむ。」

わしは書斎机の上で頭を抱えておった。

部下から先程渡されたこの手紙。調査団を送って門前払いを受け、そして渡されたこのイスス共和国からの手紙に対して。


手紙にはこう書かれていた。




拝啓。侵略国家エマリカ王国のマーリン学長へ。


魔王が出たということでエマリカの調査団がイスス共和国に入国したいという件についてですが、断固としてお断りさせていただきます。


ヒガリ王国、エマリカ王国、シロリア王国による三国不可侵条約を20年前にあのような卑劣な形で破った貴国に対して我がイスス共和国は国民一同、不信の念を抱いております。


一応此方でマーリン学長の記した場所を調べさせましたが、大きな音と大規模な山火事があった事は近くの町の者が証言していました。

しかし、魔王が出たとの証言は得られていません。また、焼け跡から、何者かが住んでいた形跡は見つかりましたが、遺体などは見つかっておりません。


そこで、町で戸籍を調べましたところ登録がありました。住人はルドマン、ミーテ、サクラという一家でした。サクラは10年前に死亡しております。名字は無いとの事です。

今のところこの一家は見つかっておりません。


そもそも何故、エマリカにおられるマーリン学長がイススで魔王が現れたと分かったのでしょうか?

まさか、間者でも送り込んでいるのではないですか?

それともイススに魔王が出たと言って軍を乗り込ませる算段でしょうか?


マーリン学長がどこからそのような情報を得られたのかとても、とーーーーーーーっても興味があります。


イスス共和国代表長官 シースー・アルスフ




「情報元を言うわけにはいかんからの~。どうしたものか。」


わしは深いため息をついた。


言うわけにはいかない理由の1つは国家間での転送魔法の行き来は禁止されているから。もしミーテがそれを使ったことがバレたら、ただでは済まされないじゃろう。


2つ目は、現在のイスス共和国初の女性代表長官であるシースー・アルスフは先代の長官の孫にあたる。わしはその先代の長官と密約を交わし、ルドマンと桜をイスス共和国に亡命させた。


密約内容はこちら側の魔法に関する知識を一部渡す変わりに、亡命先の手配をしてもらうというものじゃ。先代は墓までその秘密を守ってくれたようじゃな。


イスス共和国に亡命させたのにも2つの理由がある。

エマリカで白銀の髪を持つのはヘッセン伯爵家の人間のみじゃが、イスス共和国では珍しくもない髪色の1つであること。

また、サクラという名前も向こうでは馴染みのある名前であること。


それにしても、ルドマンの死体が見つからないのは奇妙な事じゃ。

あの魔王のことじゃから問答無用で殺すと思っておったが。まさか、ルドマンを連れていったのか?

だとしたら、ミーテにルドマンが魔王に捕まったかもしれないと、報告することは控えた方がよさそうじゃ。


だが死体は見つかっていないとは言っておこう。

直ぐにでも伝えたいところじゃが、わしがあまり動きすぎると、陛下に目をつけられかねない。


伝えられるとしたら、入学手続きの時、つまり3月下旬じゃな。


ミーテは元気にしておるじゃろうか。

山育ちのようじゃったからいきなり貴族の環境に慣れる為には相当苦労するじゃろう。

丁度ジオルド・ヘッセン伯爵が養子を滅茶苦茶欲しがっておったから預けたが、心配じゃな。

妻のエリザベス夫人になんとか心を開いて欲しいと必死じゃったが、ミーテを迎えたことで良い方向に行くじゃろうか?


取りあえず3月末まで待つしかないの。

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