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エリザベス視点、大変ですわ!

エリザベス視点



昨日の出来事は夢だったのかしら。

自分があの犬になってしまうなんて。

いくらあの犬が魔動物でも、入れ替わる魔法なんて聞いたことがありませんわ。

それに朝起きたらベッドで私は眠っていましたし。

メイドのマーサに昨日の事を聞いても、犬が脱走したことは覚えていましたけど、私はベッドに戻っていたと言われましたわ。

「エリザベス!」

「はっ!」

いけない! 今はお食事中でしたわ!

私としたことが、ぼーっとするなんて。

「な、何かしら?」

「大丈夫か?エリザベス。」

「ええ。何でもなくってよ。」

慌てて返事を返す。

「そう言えば昨日エリザベスの、、、いや、いい。」

昨日? 何かしら。私の?

「エリザベス、後で私の部屋に来てくれないか? 話したいことがある。」

「話したいことって何ですの?」

「食後に来て欲しい。とても重大な話だ。」

一体どんな重大な話なのかしら。

まさか、離婚!?

でも仕方ありませんわよね。ついに愛人と結ばれる為に、私を捨てる決断をしたのかしら。

私はちらりと養子の方を見た。今、目玉焼きの白身をナイフで丁寧に切り取っている。

今までこの養子に私が冷たくしている事に業を煮やしたのでしょう。でも仕方ないじゃありませんか。愛人の子に優しくなんて、私には絶対に無理です。

「、、、わかりました。」



食後にジオルド様のお部屋を訪れると、ジオルド様は私にソファに座るように促した。

そして自分はその向かい側のソファに座る。


「エリザベス、どうやら君はミーテを僕の愛人の子だと勘違いしているようだね。」

ギクッ。

「だ、だったらなんだと言うの、、、 あれ? 勘違い? 」

「そうだよ。ミーテは愛人の子じゃないし、そもそも私は愛人なんか作っていないよ。」

「そ、そうでしたの。」

私はホッと胸を撫で下ろした。

「いやでもまさか、君が私に愛人が出来ることを心配するなんて。嫉妬してくれて嬉しいよ。6年間待った甲斐があった。」

ジオルド様は、ハハッと笑った。

ん?

「な、何の事ですの?私、 別に嫉妬なんかしておりません!」

すると、ジオルド様は紙を2枚ポケットから取り出して、私に見せた。

「これはなんだと思う?」

紙に顔を近づけると、それは、、、破られた私の日記!?

私は慌ててその紙を取ろうとすると、ジオルド様は素早く立ち上がり、紙を持った手を伸ばして日記を私から遠ざけた。

「ちょっと! 何をなさいますの!? 返して下さい!」

私が日記を取ろうと立ち上がり手を伸ばすと、サッとジオルド様は避けてしまう。

そして、ジオルド様の顔は何故かニコニコしていらっしゃる。

遊ばれているようで、非常に腹立たしい!

羞恥と腹立たしさとで、私は顔から火が出るような気がした。

「えいっ!」

サッ

「やっ!」

サッ

ぐぬぬ! こうなったら!

私は助走をつけてジオルド様に飛びかかった。

「わっ!ちょっとエリザベス!?」

よしっ! 日記を掴んだ!

と思ったのもつかの間。

バランスを崩して私はジオルド様にぶつかり、更にジオルド様もバランスを崩して、二人で後ろに倒れこんだ。

ジオルド様は床に直撃。私はジオルド様の上に倒れた。

「痛っ!」

「ご、ごめんなさい。」

慌てて上体を起こすと、何故かジオルド様はハハハっと笑った。

「君に押し倒される日が来るとは。」

「え? あ! こ、これは! そ、そそそ、そういう意味じゃありませんことよ!」

「そういう意味ってどういう意味?」

「そ、そういう意味ってことですわ!」

「だから、もっと具体的に。」

な、何を言わせようとしてますの!

私は慌てて立ち上がり、ジオルド様から離れようとした。

すると、ジオルド様も素早く立ち上がり、私の腕を掴んだ。

「な、ななななな! 」

行きなり私の許しもなく腕を掴むなんて、今までのジオルド様はしなかった。

「ねえ、エリザベス。私はもう、6年も待った。確かに私の兄上は君の元婚約者だったが今は違う。今は私がヘッセン家の当主で、君は私の妻だ。何時までも兄上の影を引き摺られては困る。養子を君に相談も無しに引き取ったのは、10年以上エマリカ学園に魔法の素質のある子を入れてない家は爵位を下げられる、という国の魔法兵強化法の為でもあるが、君の為でもある。君が養子を見て、子供が欲しくなるんじゃないかと思ったんだ。」

そ、そうでしたの。なのに私は勘違いして。私ったら何て事を。

「てことで、今夜君の部屋に行っても良いよね?」

「え! 待っ。まだ心の準備が! 」

「それじゃあ、今夜行くから。」

そう言い残して、ジオルド様は部屋を出ていった。


今夜!?

どどどどどどどどうしましょう。


私は暫くジオルド様の部屋でオロオロとしていた。

と、取りあえず、私は私の部屋に戻りましょう。

どうしよう。そうだ! マーサに色々聞かないと。確かマーサは子供が二人いるのでしたわ。夜の事とか、知ってますわよね。

私はジオルド様の部屋を出て、急いで自分の部屋に向かった。

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