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ミーテ視点、環境の変化

ミーテ視点



朝起きて、メイドのミリッサさんに身仕度を整えてもらう。


「今日は何色になさいますか? 」


「では勿忘草色のドレスで。」


「畏まりました。」


コルセットを閉めてもらい、ドレスを着る。ドレスといっても普段着様なので、スカートをふっくらさせず後ろには何も付けない。

エマリカ王国の公式用ドレスはバッスルスタイルというものらしい。後ろに綿や羽の入った袋を付け、その上からドレスで覆うと後ろの腰が膨らんだ形となる。

ダンスの練習中に何度か着たが少し動きづらい。

しかし、エマリカの歴史の授業で習った古い時代のクリノリンという傘のような骨組みのドレスよりはましだろう。


ドレスを着終わった私は、朝食に向かった。


今日も睨まれるんだろうなぁ。


私は心の中でため息をつき、食堂へ向かう。


この家に引き取られた事は、ありがたい事だと思っている。

でも正直、山の暮らしが恋しい。

毎晩山での暮らしの夢を見る。それも鮮明に。

最近では寝れば山に帰れる様な気がしてきた。夢を見た後は疲れるけどなんだか気分はスッキリする。

山での生活からガラリと変わった今、死ぬ気で貴族の生活に順応するように努めているつもりだけど、まだまだ至らないことは多い。

マーリン学長の厚意を無駄にしないためにも頑張らなくてはいけない。

今の私の目標は早く学園に入り、力をつけること。

そして、魔王をぶっ殺す。

なにもかも終えて、ジョナサンに会いに行こう。


そう言えば、ゲーム【過去に囚われた Heavenly Maiden】のミーテも貴族の養子になっていたっけ。あれは学園に入るためだったのか。

ゲームでのミーテは学園に入って直ぐに他の貴族の令嬢から「まあ、何て下品な振る舞い。身分が低い所の出身でしょうね。」とか「どこの馬の骨ともわからないわね。」とか色々と言われて虐められていたけど、、、。

もしかして、ゲームのミーテは学園に入って直ぐの寮生活だったから、今のように色々と教わることが出来なかったのかもしれない。


そんな事を考えているうちに、食堂に着いてしまった。


食堂の窓からはこの家の庭が見える。冬なので朝にしてはまだ暗い。

そう言えば私はここ数週間、お屋敷から一歩も外に出ていない。


長いテーブルには朝食が美しく並べられている。

ベーコンと目玉焼き、マッシュポテト、ブロッコリー、そして胡桃のパンとフランスパン。この後はデザートのヨーグルトとミルクティーが出るだろう。


ジオルドおじ様、エリザベス様が座り、次に私が座る。

この際、背中は真っ直ぐで。背もたれに背を預けてはいけない。

三人で同時に「いただきます。」

この世界でも普通にいただきます、ごちそうさまと言う。食べる前のお祈りとかは無い。


さて、ここからが睨み開始だ。

なるべくエリザベス様の方は見ないようにしているのだが、ジオルドおじ様が此方に話しかけてくる際、どうしても目に入ってしまうのだ。


「さて、ミーテ。昨日トマトが部屋から脱走したと聞いたが本当か? 」


来た!

ジオルドおじ様の方に顔を向ける。


「はい。トマトはどうやらドア開けを覚えてしまいました。以後気を付けます。」


あれ?

エリザベス様が此方を睨んでいない。

それどころか、疲れきった表情で黙々とナイフとフォークを動かしている。


「一応、南京錠を用意しておこうかな。ねえ、エリザベス。」


「、、、」


エリザベス様は珍しくぼーっとしている。


「エリザベス、エリザベス? 」


「はっ!」


慌ててエリザベス様は此方を向く。


「な、何かしら? 」


「大丈夫か? エリザベス。」


「ええ。何でもなくってよ。」


明らかに狼狽えている。


「そう言えば昨日エリザベスの、、、いや、いい。」


ジオルドおじ様は何か考え込む表情をした。


「エリザベス、後で私の部屋に来てくれないか? 話したいことがある。」


「話したいことって何かしら? 」


「食後に来て欲しい。とても重大な話だ。」


「、、、わかりました。」


なんだろう。


その後の食事は重苦しい雰囲気で終わった。

でも睨まれるよりは心はまだ楽になったと思う。

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