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目と目で見つめ合えば分かりあえるかもしれない

目が覚めると俺は部屋のソファで寝そべっていた。

辺りは暗い。


あちゃー。結構眠ってしまった。


誰かが庭で寝ていた俺を、ミーテの部屋に持って行ったのだろう。


非常にヤッバイ! 何も対策を思い付いていない。


ミーテは今ベッドでスヤスヤと寝息をたてている。


あ、寝返りをうっ、、、!?

ゴロゴロゴロ、スチャッ。

そのままベッドから転げ落ちたミーテは、四つん這いで床に着地した。

そして、のっそりと立ち上がる。


俺はソファの下に隠れた。

ミーテは一昨日と同じく部屋を出て行く。


どうしよう。追いかけるべきか?

でも、今度こそ踏まれるかも、、、。

まあ、階段の方ならサロンに出るし。この時間なら使用人も起きてないだろう。

食堂の扉は閉まってるし。

あれ?

じゃあ、ジオルドやエリザベスの部屋は?

閉まってるよな。そりゃ夜だもん。


でもドアノブをガチャガチャ回されたら、起きるよな?

いやいやまさか、幾ら夢遊病だからってそんな事ミーテがするわけが、、、。


俺は恐る恐る扉の隙間から廊下を覗いた。

ミーテが、、、エリザベスの部屋の前にいる。


ヤバイヤバイヤバイヤバイ! 流石にマズイって!


慌ててミーテの方に走る。


ガチャガチャガチャガチャ!

ミーテがドアノブを回し始めた。


ミーテに追いついた俺はすかさずミーテのネグリジェの裾を引っ張る。

だが、ミーテはドアノブから手を離さない。ガチャガチャと回し続ける。


「、、、ん~。煩くってよ。」


オイオイオイ! エリザベス起きましたよ!?


ミーテは構わずガチャガチャと回し続ける。


「だ、誰ですの? 」


中からエリザベスの震えた声が聞こえる。


怖がってる。止めてさしあげろ。


ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

「だ、誰かー!」

チリンチリン。エリザベスが使用人を呼ぶための鈴を引っ張った。


最早一刻の猶予も無い。

俺はミーテの前に回り、できる限りジャンプ。そして、ミーテの腕に巻き付いた。


俺の重みでミーテはドアノブから手を離し、俺は素早く床に着地。

そしてミーテの服を引っ張る。


ミーテはくるりと向きを変えると、スタスタと元来た廊下を歩きだした。

丁度その時、エリザベスの部屋の隣の壁が開き、メイドが顔を出した。


メイドはエリザベスの部屋に向かうとコンコンッとノックをする。

「お呼びでしょうか? エリザベス様。」


ガチャリ


僅かに開けた扉の隙間から、エリザベスがそろりと顔を出した。


「今、誰かが、(わたくし)の部屋の前にいませんでしたか? 」


メイドは辺りを見回そうとした。


今、ミーテは廊下を歩いている途中だ。

見られたらマズイ。

取りあえず、俺に注意を向けるしかない。


「ワン! 」


「あら、エリザベス様。犬がいます。」


「犬? 」


エリザベスは扉を大きく開いた。


「クーン、クーン。」


甘えた声で鳴いてみる。

こういう事は、正直ヘドが出る程やりたくなかったが、仕方がない。


「ああ、魔動物の。この子がさっきドアノブを回したのかしら? 」


「クーン。」(ミーテの方を見るなよ~。)


「エリザベス様、もしかしてこの犬は遊んで欲しくて音をたてたのかもしれません。」


「、、、」


エリザベスは俺をジッと見つめる。

俺も見つめ返す。

ん? なんかいつもと視界が何か違う。

なんだろ?


あ! 右端の文字が変わってる!

蓄魔99%

1ラッキードック(可能)

2透明化


可能になってる!

カチッ。

あ、ラッキードック見つめちゃった。


視界の右端に600と数字が出る。そして、599、598、と減っていく。


「あ~、作動しちゃったよ。」


あれ?

俺の声が!?

人間の声になってる! ワンじゃない!?

てか、何で俺の声がエリザベスの声!?


ちょっと待てよ。


斜め下にトイプードルの俺が見える。


そもそもなんで(トイプードル)の姿が見えてんだ?


自分の方を見ると、ネグリジェの上にガウンを羽織った女性の体が見える。


もしかして、俺がエリザベスになってる!?


「如何されましたか? エリザベス様。」


どうしよう。あ、向こうでミーテが自分の部屋に入ったぞ。良かったー。

じゃなくて!

取りあえずエリザベスっぽく振る舞うしかない。


「えっと、、、何でもなくってよ。」


そういえば、俺はエリザベスになってるけど、目の前のトイプードルは?


元の俺、トイプードルはキョロキョロと周りを見渡している。

メイドがトイプードルを持ち上げた。すると、行きなりトイプードルは暴れだした。


「ワン! ワン! 」(何ですの? 無礼者! (わたくし)を誰だと思っているの!? 離しなさい!! は!? 私、もしかして犬になってる?

)


あ、人間になっても犬語わかるんだ。目の前のトイプードル、エリザベスだよな?


つまり、ラッキードックとは俺と目の前の人との中身を交換する魔法なのか。


でも、何で今まで発動しなかったんだ?

もしかして、目を合わせたからか?


メイドは(トイプードル)となったエリザベスをミーテの部屋に持っていく。


「扉が開けっ放しじゃないの。ミーテ様! ミーテ様! 」


「はい。」


ミーテが起きた。


「戸締まりはちゃんとなさってください。犬が逃げてしまってましたよ。」


「すみません! 」


慌ててミーテは犬となったエリザベスを部屋に入れた。

そして、ガチャリと扉の鍵を閉めた。

中でワンワンワン! と叫ぶ声が聞こえる。

メイドが此方に戻ってきた。


「エリザベス様、他に御用はありませんか?」


「大丈夫よ。もう、おやすみあそばして。」


あ、ちょっと言葉使いミスったかな?


「、、、はい。畏まりました。」


メイドは少し訝しげな顔をしたが、壁の扉に帰っていった。


さて、どうすっかな?

取りあえずエリザベスの部屋に入るか。

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