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ミーテの夢遊病

ヘッセン伯爵家に来たときから、ミーテは夜中によく魘されて

「お父さん!! 」

と叫んで飛び起きたりしていた。


お陰で俺も起こされた。


しかし、一週間もすると魘されることは無くなり、俺は安心していた。

だが、2日前。魘されなくなった変わりに現れたのが夢遊病だ。


2日前の夜中。


その日、俺はガチャリというドアの音で目覚めた。

ソファで寝ていた俺は起き上がり、ドアの方を向いた。

窓から微かに差し込む月明かりに目が慣れると、ミーテが白いネグリジェ姿のままドアを開けているのが見える。


喉でも乾いて水でも取りに行くのか?


ソファから下りてミーテの後を追う。


ミーテは廊下に出た。


そこで、俺は違和感を感じた。ミーテの首が左に傾いたままなのだ。歩き方もゆっくりでフラフラしている。

そもそもスリッパを履いていない。裸足だ。さながらゾンビの様な動きで歩いていく。


慌ててミーテの前に回り込むとミーテの目はうっすらと開いている。

ミーテはそのまま階段の方にフラフラと向かった。

慌てて俺はミーテの服の端を噛んで止めようとしたが、避けられてしまった。


ミーテはいきなりジャンプして、階段の手摺の上に着地。

首は今度は右に傾いた。

その姿のまま器用に手摺の上を歩いていく。


ヒエエエエエエ。


人間離れした動きが怖いが、俺はついて行くことにした。


そのまま1階まで下りるとミーテは手摺から飛んで床に着地。行きなり走り出した。

そのまま目の前の扉を開けてサロンの広間に飛び出し、サロンを突っ切って広い方の食堂の扉を開けようとした。

しかし、食堂の扉は鍵がかかっている。

そのままガチャガチャとドアノブを回し始めた。


慌てて俺はミーテの服の袖を噛んで引っ張る。


すると、行きなり回し蹴りがとんできた!


サッと避ける俺。此方を薄目で見るミーテ。


ヒタッ。


ミーテが此方に一歩近づく。


俺は一歩後ろに下がる。


ヒタッ。


ミーテが此方に近づく。


嫌な予感がしたので俺は方向転換をして、元来た道をトコトコと歩きだす。

ミーテもついてくる。


ヒタヒタヒタ、

トコトコトコ、

ヒタヒタヒタタタタタタタタタタタタタタタタタ!

突然ミーテは俺に向かって走り出した。


ギャアアアアア! 怖い!!!


俺は無我夢中で走り、サロンを突っ切り、そして階段を全力で上る。

俺が階段を10段位まで上ったところで、後ろからの足音が聞こえないことに気が付いた。


振りかえると、ミーテは階段の前でぼーっとしている。

俺は息を整えた。


なんだよ、脅かしやがって。まじでビビるわ。怖かった~。


そう安心した俺がバカだった。


ミーテは膝をグッと曲げると、此方にジャンプして飛んできた!


一気に階段を10段飛び越え、俺の真横にミーテの足が着地。

俺は恐怖で固まった。


だが、ミーテはそのまま階段を上がり、何事もなかったかのように部屋に戻った。


俺はミーテが閉じ損ねたドアの隙間から部屋に戻った。


そして、昨日。

ソファで寝ていた俺は気配を感じ目覚めた。


恐る恐る横を見ると、ソファの肘掛けに裸足が見える。

ミーテが肘掛けに立っていた。


怖かった。


ミーテは手元で何か所作を行っている。

そして、肘掛けの上でくるりと向きを変えると、左に手を振って、左に捻って何かを投げる動作をした。


もしかして、投網を打ってる夢なのか?


更に引っ張る様な動作が続く。

引き上げてんのか。


「今日の、、、昼食、、、。」


そう呟いて、ミーテは俺の方へと倒れてきた!


間一髪、俺はソファから飛び降りる。


ミーテはソファでスヤスヤと寝始めた。


そして、今日である。

ミーテは今、お昼の家庭教師の授業が終わったようだ。


ミーテが眠る前になんとか対策を考えねば、俺がミーテに潰されかねない。

どうすればいい?

夢遊病の原因のストレスを取り除く?

どうやって?


それにしても眠いな。この2日間ろくに眠れてない。

眠いなぁ。


空には雲は少なく、青い空を通してキラキラの太陽がよく見えた。

今日の芝生は冬にしては珍しくポカポカの日差しが降り注いでいる。

空は山でも町でも似たようなもんだな。やっぱり晴れの日が一番心地よい。


だんだん瞼が重くなってくる。


俺は睡魔に勝てなかった。

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