生まれて愛を知って、、、①
目を開け、、、れない!目が開かないぞ!
俺は何かを探してはい回っていた。
感覚からしてこれだ!と思いしがみついて、、、空腹から満腹になったとき、ふと冷静になった。
そうか、俺は生まれたての犬にされたのか!
そして今母犬からミルクを頂いたのだ。
犬とわかったのは閻魔との会話を思い出したから。
生まれたてなので目はまだ開けることはできないのだ。
耳をすますと他にもどうやら何かがじたばた動いている。
恐らく、犬の兄弟達だろう。
とりあえず手足をじたばたさせてみた。
「クンックンッ。」
声を出そうとしたら可愛らしい鳴き声が出た。自分の声だと思いたくない。
鳴いたら母犬の気配が近づいてきた。俺の首辺りがくわえ上げられ、すぐさま兄弟達の元に運ばれた。
寝て起きて寝て起きてを繰り返してしばらくたったある日。
その日は俺がようやく目が開いた日だった。周りにはまだ短い茶色の毛の子犬達、恐らく俺の兄弟達と恐らく母犬、、、トイプードルじゃねぇか。
閻魔の嫌がらせか?
じゃあなんだ、これからトイプードルになるのか?
だが今日まで優しく育ててくれた母犬に対してなんだか不思議な気持ちが心を満たしていた。
なんだろう。この気持ち。
そのとき頭上から怒声が響いた。
「なによこれ!こんなに増えちゃって!」
見れば目を吊り上げたメイドさん?がいた。
しかも3人。
さらに向こうから箒を手にした執事?がやって来た。
「全く、困ったものだ。坊っちゃんが餌付けなんかするから。しかも子犬までうんでるじゃないか!あっちへ行け!」
執事は箒を勢いよく振り下ろした。
途端に母犬は
「グルルル!」
と唸り執事に飛びかかった。
その時、執事の後ろから赤い火の玉が飛び出し、母犬に直撃した。
母犬は火の中でもがきながら、、、ガクッと力尽きた。