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ジオルド・ヘッセン伯爵をおじ様と呼ぶのは間違っていない

メイドは螺旋階段をどんどん下りていく。

この螺旋階段は、デザイン性の欠片もない無機質な鉄で作られている。


そうか! これは使用人用の階段だな!


階段を下りていく途中で1階が見えた。テーブルの上に完成された料理が並んでいる。配膳室だ。


地下に下りると、下りた先には湯気と食べ物の匂いが充満していた。料理場だ。白いコック帽をしたコック達が世話しなく昼食の準備をしている。


料理場の隣に廊下があり、俺は一番手前の部屋に連れていかれた。

部屋の中には洗濯物が積まれている。

何人かのメイド達がシーツや服等をじゃぶじゃぶと洗っている。


俺はその部屋の金属の盥の中に入れられた。

メイドは手に石鹸を持って俺の体を洗い始めた。


俺って、洗濯物扱いなんだ。そりゃそうか。犬だもんな。

いや別にミーテと一緒に風呂に入りたいとか、そんな疚しい事は考えてないぞ。

山で過ごしてた時も一度だってミーテの裸は見てない。ミーテは俺を洗う時は必ず服着てたし。

それにしても、結構な力だなメイドさん。


ゴシゴシとメイドは俺の毛を洗っている。


どうか俺の毛が抜けませんように。


すると、隣で靴下を洗っていた別のメイドさんが此方を向いた。


「あら! 可愛いわんちゃん! メリッサ、どうしたの? その子。」


「ほら、旦那様が養子を迎えたじゃない? その養子の子が連れてきたのよ。可愛いでしょ? それに結構大人しいのよ。」


「へ~。あら? この首輪、もしかして魔動物? 」


「あ、本当だ。気づかなかった。そうか。魔動物だから旦那様は許したのね。」


「で? 養子の子は? どんなだった? 」


「女の子だったわ。髪が白銀で可愛い子よ。」


「元平民のはずよね? 白銀なんて珍しい。もしかして、旦那様の隠し子だったりして? 」


「あり得なくもないわ。白銀なんてヘッセン家ぐらいよ。それにエリザベス様は未だに旦那様と一夜を過ごされてない。もう6年もよ! 」


「ほんと、エリザベス様は未だに旦那様に心を許せないでいるのよねえ。どうせまだ元の婚約者の事を引きずってるに決まってるわ。」


「元婚約者って確か旦那様の兄よね? 十数年前に失踪したっていう。」


「そうそう! 元々ヘッセン家の跡取りはそのお兄さんだったんだけど、失踪したから家督も婚約者のエリザベス様も今の旦那様が引き継いだってこと。でも、エリザベス様としてはねえ。大好きだった婚約者は消えるし、その弟に嫁がされるし、弟はエリザベス様より年下だしで気に食わないみたいよ。」


「旦那様が愛想つかして愛人作っても不思議では無いわね。」


おいおいおい! 大変な事聞いちまったよ!

失踪した奴ってどう考えてもミーテの父親の事だよな? てことはあのジオルドはミーテの叔父ってことか! 愛人の子とか間違えられてるぞ。

マーリン学長、ちゃんと下調べしたのか? 何でミーテをこの家に、、、。


いや、待てよ。むしろ良かったのか?


白銀の髪がヘッセン家特有だから。それに未だに子供がいない。

外から見たらミーテは養子に見えにくいのでは?


そんな事を俺が考えている間にメイドは俺の体を洗い終わった。

サッパリした俺は乾かされ櫛でといてもらい、フワフワの巻き毛にしてもらった。

そして近くにいたメイド達にめっちゃ頭撫でられた。


俺は再び持ち上げられ螺旋階段を上がり2階に出た。

ミーテの部屋に着くと、ミーテはまだ隣の部屋で身仕度を整えているところだった。

暫く待っていると、レモン色のドレスに身を包んだミーテが現れた。


きゃわいいい!


パーティーじゃないから装飾品とかはあまり身につけていないがまるでヒヨコの様に可愛らしい。

ミーテはメイドに案内されて食堂へ、俺はメイドに阻まれて部屋で待つことになった。

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