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ヘッセン伯爵のお屋敷は広~い

何で睨むんだよ? まだ、何も悪い事してないじゃん!


「エリザベス、何でそう睨む? ミーテが怯えてしまうじゃないか。」


「養子なんて、別に欲しくありませんでしたもの。」


エリザベスはプイッとそっぽを向いた。

ジオルドはミーテの方を向く。


「すまないね、ミーテ。彼女は私の妻のエリザベスだ。エリザベスはああ言ってはいるが気にしないでくれ。君の面倒は私が責任を持って見るから。」


「は、はい。有難う御座います。」


ミーテは困惑気味に頷いた。


気にしないでって、そりゃ無理だろ!

ちゃんと夫婦間合意の上で養子を迎えやがれ!


エリザベスは不機嫌な態度のまま屋敷の中に入って行った。

ジオルドがその後に続き、俺とミーテも渋々ついていく。

屋敷に入ると先ず玄関スペースがあり、メイドと執事が並んでいる。

手前の執事が此方を向いた。


「お帰りなさいませ、旦那様。」


「ただいま、ルーク。今日はこの子にこの家を案内してやってくれ。」


「畏まりました。」


その横で、エリザベスはスタスタと右手の扉に入っていった。ジオルドは左の扉に向かう途中で此方を振り返った。


「ミーテ、ルークについていくと良い。」


ミーテは頷き、俺達はルークについていった。

ルークが目の前の扉を開けると吹き抜けの広々としたダンスホールが現れた。天井から大きなシャンデリアが5つも下がっている。


スッゲー! これが貴族の家ってやつか!? ここでパーティーとかすんのかな? ここだけで既にミーテの住んでいた家がすっぽりと入ってしまいそうだ。


「ここは大きい方のサロンです。パーティー等ではここを使われます。」


ふーん。サロンって言うのか。

ルークは左に向かった。


「左にパーティー用の食堂が、その隣に普段用の食堂があります。」


食堂が2部屋あるのか!

左のパーティー用の食堂の扉を開けると長~い焦げ茶のテーブルが現れた。重厚感のあるテーブルの上にもまたシャンデリアが下がっている。その奥には扉があった。


「その奥の扉を開けると配膳室と階段があり、地下の料理場と使用人の部屋へと繋がっております。」


再びサロンに戻り次に右に向かった。

右の扉を開くと廊下が続いている。


「廊下の右手前の扉はギャラリーに右奥の扉はお手洗いに、そして左手の扉は2階に向かう階段が続いております。先程通られた玄関スペースの左右にも2階に続く階段があります。」


ヤバイ。もう既にどこがどこだか覚えれきれなくなってる。


俺達は左の扉を開き、階段で2階へ上がった。

2階には長い廊下と幾つもの扉がある。


「階段近くの扉は書庫へ、その向こうは旦那様のお部屋へ、あなた様のお部屋は旦那様とは反対側のこのお部屋、途中の4部屋はゲストルーム、廊下の突き当たりにはエリザベス様のお部屋があります。お部屋にはそれぞれ浴室がついております。」


階段は更に上に続いている。

ルークは再び上りだした。

3階に上がると、廊下と部屋がまだある。


「階段近くの扉は1つ目のバルコニーへ、反対側の向こうの扉は親しい方々と使用される為の小さめのサロンへ、廊下突き当たりには二つ目のバルコニーと2つのゲストルームがあります。」


部屋多すぎないか?


再び2階に戻るとルークはミーテの為に用意された部屋に俺達を案内した。


ミーテに用意された部屋は広くてお姫様のお部屋の様に可愛らしい部屋だった。ピンクと花柄で彩られた壁や家具。

ベットにはピンクの天蓋が掛けられている。


「暫く此方のお部屋でおくつろぎ下さい。」


そう言ってルークは出ていった。

ミーテは取り敢えず花柄のソファにちょこんと腰をおろす。

俺は部屋を走り回った。薄いピンクの絨毯は草程サクサクしない。

なんだか物足りなく感じる。


まぁ、後で外に出たときにまた走るか。


俺は助走をつけてソファに飛び乗りミーテの隣に座った。

ミーテは俺の頭をなでなでし始める。


「トマト、私達これから上手くやっていけるかな。」


ミーテがポツリと呟いた。


「ワン。」(食う寝る所があれば希望はある。)


「そうだよね、心配だよね。」


ちくしょう、犬語って伝わらない。


「でもちゃんと家の人の言うことを聞いて、今度こそ失わないようにしないとね。」


ああ、父親と住む家の事かな?

でもまだ父親は失ったとは限らないと思うぞ。

そういえば、マーリン学長が救援を送ってくれてたみたいだけど、どうなったのかな?


「ワン。」(まだ失ったとは言いきれないぞ。)


「そうだね。私がしっかりしないと駄目ね。」


コンコンと扉がノックされる。


「入ってもいいかい? 」


ジオルドだ。


「どうぞ。」


ガチャリと扉が開いた。

ジオルドとその横に2人のメイドが立っている。このメイド、双子かな?顔がそっくりだ。


「やあ、ミーテ。この部屋は気に入ってくれたかな? 」


「はい。とても可愛らしくて素敵なお部屋を用意してくださりありがとうございます。」


「それは良かった。あと二時間位で昼食だから身仕度を整えると良いよ。メリッサ、ミリッサ、ミーテの身仕度の手伝いをしてくれ。」


「はい、畏まりました。」

「はい、畏まりました。」


二人のメイドは同時に答えた。


息ぴったりだ!!


片方のメイドはミーテを隣の浴室へと案内した。もう片方のメイドは俺を持ち上げて、廊下へ出た。


え、ちょっと。

俺は何処につれてかれるんだ?


俺は廊下の先のエリザベスの部屋の横にある壁の前まで連れていかれた。

メイドが壁を押すと壁の一部が扉の様に開く。


隠し通路!?


扉の中には鉄の螺旋階段が上下の階に続いていた。

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