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養女としてヘッセン伯爵家へ

マーリン学長の後に続き、俺とミーテは再び階段を上がって学園長室の扉の前に着いた。

がチャリ

マーリン学長が扉を開けると既に男が一人ソファに座り、お茶を飲んでいる。

白銀の髪に灰色の瞳。なんかミーテの父親に顔立ちが少し似ている気がする。ただし、ミーテの父親より幾分か若い。

男は立ち上がり、此方を向いた。


「マーリン学長、この度は養子をご紹介くださり有難う御座います。君がミーテかい?」


ミーテは頷いた。


「始めまして、私はジオルド・ヘッセン伯爵。君の養父だ。」


ヘッセン? ヘッセンってたしかミーテの父親の姓だよな?

てことは親戚かもしれない。どうりでなんか似ているわけだ。


「始めまして。ミーテと言います。どうぞよろしくお願い致します。」


「そんなに畏まらなくてもいいよ。君はこれから家族になるんだし。私のことも、そうだなぁ。いきなりお父様と呼ぶは嫌だろうし、取り敢えずおじ様で良いよ。」


ミーテは暫く考えた後に

「ではおじ様、よろしくお願いします。」

と言った。


再びマーリン学長の後に続いて俺とミーテとジオルドは学園長室を出て階段を2階まで降りていく。

2階には長い廊下と中庭に面した大きな窓がズラリと並んでいる。

反対側には幾つもの大きな扉が並び、それぞれの扉の上に1ー1、1ー2、1ー3と書かれた金属のプレートが固定されている。


教室だろうか?

長い廊下の途中には中庭に続く階段と反対側に続く階段があった。俺達は反対側の階段を降りる。


降りた先には広いスペースと大きな玄関口が見えた。大きな扉の開いた玄関口を出ると、朝日に照らされた芝生と煉瓦を積み上げた高い塀、そして凝った造りの大きな金色の門が開いているのが見えた。門の外には馬車が停まっている。


「ジオルド殿、魔動物認定証と首輪を交換して欲しいのじゃ。屋敷に向かう前に役所によってやってくれんか? 」


俺の右端の数字が3、2、1カチッ。パッと俺の姿が現れた。


「わ! ビックリした。もしかして、その犬が魔動物ですか? 」


ジオルドは驚きに目を丸くしている。

ミーテは俺を持ち上げてジオルドの前に見せた。


「そうなんです。このトマトは魔動物なんです。」


「成る程。わかりました。」


ミーテはマーリン学長に向き直った。


「マーリン学長、この度は色々とお世話になりました。このご恩は忘れません。」


「わしは大したことはしとらんよ。来年の四月からそなたはこの学園に入ることになる。困ったことがあれば何時でもわしを頼ると良い。ジオルド殿、ミーテを頼みますぞ。」


「わかりました。」


俺達は馬車に乗り込んだ。


馬車はパカラッパカラッと駆けていく。

馬車の窓からはエマリカの町の景色が見えた。

赤レンガに白い木の窓枠の家や、白い壁に黒檀の窓枠の家など様々な建物が馬車の通り道に並んでいる。遠くに大きな時計塔が見えた。

煉瓦造りの役所と書かれた看板のところで馬車が止まった。


「ここが役所だよ。私は待っているから二人とも行っておいで。」


ジオルドに促され、ミーテと俺は馬車を降りて役所に入った。受付のお姉さんに魔動物証明書を提出する。


「こちらが首輪と取り扱い説明書になります。」


受付のお姉さんに渡されたのは紫色の紐に、幾つか文字が彫られた赤い石が通してある首輪と説明書だった。

俺はミーテに首輪を着けてもらった。

再び馬車に乗る。

馬車の中でミーテは説明書を読み上げると、俺の首輪の赤い石に薬指を置いた。


「クロウトシヌイカ。よし、登録完了。」


何の登録だ?


「これでトマトが何処に行っても居場所がわかるね。」


GPS⁉ GPS機能があるってことか?

ジオルドは馬車の窓の外に目を向けた。


「もうすぐで着く筈だ。」


やがて馬車の前方に大きな門が見え、更にその遠くにクリーム色の煉瓦造りのお屋敷が見えてきた。馬車が近づくと門の側の衛兵が門を開けてくれる。

馬車は門をくぐり抜け、そして暫く走り、屋敷に着いた。


俺達が馬車から下りるのとほぼ同時に屋敷の玄関の扉が開き、中から豊満なボディの金髪の女性が出てきた。


「ただいま、エリザベス。」


エリザベスと呼ばれた金髪にエメラルドグリーンの瞳の女性は此方をキッと睨んで、

「あなた、それが私達の養子ですの? 」

と刺々しく言い放った。

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