マキマキsideマキマキ最後
マキマキ視点
ミーテのお父さんは魔法陣でミーテ達を転送したあと、その魔法陣の書かれた紙を暖炉に放り込み、燃やした。
万が一、魔王に魔法陣を読み取られてミーテがどこに転送されたか悟らせないためだ。
ミーテのお父さんは僕を見た。
「マキマキ、すまないけどミーテの身代わりになってくれないか。」
僕は黙ってミーテのお父さんの方に歩いて行き、目の前でお座りをした。
「すまない、マキマキ。」
ミーテのお父さんは僕の額に薬指を当てた。
「ンヘイカニテーミ。」
僕の体が蜃気楼の様に揺らいでいく。
数秒後、僕はミーテそっくりに変身した。
「Wow凄いね! 俺ミーテになっちゃった。」
僕はミーテの声で答えた。
「恐らくここに魔王が来る。マキマキ、君は魔王に殺されるかもしれない。」
「OK。僕はもうすぐ寿命だしね。大好きなミーテの為に死ねるなら、構わないよ。」
ミーテは、いや僕は笑顔で答えた。
ミーテのお父さんは僕の頭を撫でた。
「マキマキ、ありがとう。」
ミーテのお父さんは僕を家の外に連れ出し、トンキーの背中に乗せた。
「トンキー、今まで荷馬車を引いてくれたり、その背に乗せてくれてありがとう。魔王が来るからここからミーテに変身したマキマキを背中に乗せて逃げてくれ。」
「ヒヒーン!」(わかった!)
トンキーは僕を乗せた。
ミーテのお父さんは小屋の方に向かった。
小屋の鍵を開ける。
「ピクルス、毎年毛をくれてありがとう。ミーテは君の毛で今年はマフラーを作らしてもらったね。ルンルン、君のお陰で魔力のこもったチーズを作れたよ。ありがとう。今から魔王が来て大変なことになるからここから離れてくれ。」
「メエーーー。」(炎の壁が来たときは驚いたけど、つまり緊急事態だということだね。)
「メエエエエエ。」(なんだい、なんだい。急に。全く。とりあえず離れればいいんだね。わかったよ。)
トンキーは家の東からルンルンとピクルスは西から走り出した。
僕はトンキーに乗ってdescend a mountain山を下っていく。暫くするとトンキーの蹄の音に混じって頭上から羽音が聞こえてきた。上を見上げると硝子の様に透明な虫の大群が僕達についてきている。だが、襲ってくることは無い。ただ監視している。
「ヒヒーン!」(痛っ!)
突然トンキーがこけた!
僕はトンキーから投げ出される。
ヒュッ
風を切る音が聞こえた。
僕の胴体は真っ二つに裂け、魔法は解けた。犬と変わった僕の前に誰かの黒いブーツを履いた足がある。
「ちっ! 犬の囮じゃないの! やってくれるじゃない、ルドマン! 」
そう呟いて、黒いブーツの足の人は空に飛んでった。
「ヒヒーン! 」(マキマキ! くそ!どうすれば!)
僕の体からは大量の血液が出てしまっている。
「ワン。」(トンキー、足から血が出てるね。Are you all right?大丈夫?)
「ブルルル。」(俺のこと心配してる場合か!)
「ワン。」(トンキー、僕は無理だから。元々寿命だし、血がこんなに出てるし、、、トンキー、listen聞いて。)
「ヒヒーン!」(遺言みたいな始まり止めろ!まだ助かるかも知れねーだろ!)
「ワン。ワン。」(とりあえず山を下りて、もしまたミーテとトマトに会えたら、助けてあげてね。じ、、、じゃあGood luck)
僕はパタリと動かなくなった。
ヒヒーン!
トンキーの嘶きが聞こえた。