表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/109

ミーテ視点、私の正体と後悔

ミーテ視点


そんな、こんなはずではなかった!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



本来【過去に囚われた Heavenly Maiden】では主人公ミーテは15歳の夏に魔王に襲われ、ミーテの父親が命を懸けて守りミーテはエマリカ学園へ送られ、そのまま転校生として編入するはずだった。


私はまだ14歳。あと8ヶ月の猶予があるはずだった。なのになぜ!?


実は私はこの世界とは別の世界の記憶をもって生まれた。元々私は日本という国にいた。元の名前は都舟山乃みい。


憧れの東京で充実した人生を歩むつもりだった。

しかし、ある時から占い師というか詐欺師に引っ掛かり、私の人生は最悪なものへと変わった。


五年付き合った彼氏とは彼の浮気のせいで結局別れることになり、占い師につぎ込んだ為に貯金も底をつき、更には借金をしてしまい、住んでいたマンションを追い出された。


でも実家では従兄が既に家庭を築いてるから邪魔をしたくないので帰れない。更には、会社をクビになり、私は解雇通知をもってふらふらと東京の町をさ迷っていた。


雨が降っていた。


濡れそぼり自暴自棄になっていた時、私は見つけた。

私を騙して引っ越しして行方をくらましていたあの、憎い占い師を!

普通に新たな占いの館から出てきたあいつを!


マンションを出る際、私はトランクに生活用品を詰め込んでいた。まな板も、包丁も。トランクから包丁を出しタオルで巻いて隠して、占い師の跡をつける。


そして、横断歩道の赤信号の前で占い師は止まった。

私は占い師の背中に包丁を突き刺した。


周りの人は異変に気付き皆一斉に逃げ始めた。


私は、、、笑っていた。


占い師はバタリと倒れた。赤い染みが広がっていく。私は笑いながら、自分の首に包丁をつきたてた。



死後、私は閻魔大王に会い、記憶をもって別の異世界に転生するという刑罰に処される事となった。

但し、情状酌量の余地があると言われ、生まれ変わる際、何になりたいかを訊かれた。


私は正直に【過去に囚われた Heavenly Maiden】のミーテみたいになりたいと答えた。


転生後、成長した私は鏡を見たり家の二階の本を読み漁ったりしてこの世界の事を調べた。そして、ここは本当に【過去に囚われた Heavenly Maiden】の異世界なのかと驚いた。


だから15歳になったらエマリカ学園でイケメンに囲まれて暮らせると愚かにも夢見ていた。


だけど私はジョナサンに出会って、そして両親に育てられて目が覚めた。

そして、この山での暮らしを続けたいと思った。


ジョナサンに初めて会ったのは私がまだ3歳の頃。


お父さんとお母さんと一緒に町へ行った時だ。


お母さんが買い物を終えるまで、町の図書館でお父さんと待っていた時だった。図書館でより詳しくこの世界の事を学ぼうと本を探していると、お目当ての本が随分高いところにある。梯子は周りに無く、お父さんは受付の男の人と話し込んでいた。


そこで私は本棚に足を掛けてよじ登った。


あと少し、と目当ての本に手を伸ばそうとしたが思わず足を踏み外してしまった。落下した私はたまたまそこに居合わせた少年の上に落ち、少年は私の下敷きとなった。


お父さんが異変に気付き慌てて少年に回復呪文をかけ、私は土下座して謝った。


ジョナサンは「本棚は登っちゃ駄目だよ。」と私に言って「どの本が取りたかったの?」と私に聞いた後にその本をとってくれた。


お父さんと私とお母さんでジョナサンのお父さんに謝りにいったら、あっさりと許してくれて、更には夕食をご馳走になってしまった。それ以来、ジョナサンと親しくなった。


ジョナサンは努力家で、だけど表に出さなくて、温かみのある性格を内に秘めている人だった。

現世で私は1度もこんな人に会ったことはなかった。

あの頃の私は周りが見えていなかったのかもしれない。同僚が次々に結婚し、焦った末に出来た彼氏にただひたすら媚を売っていた。


私はジョナサンに会えば会う程、、、好きになっていった。

好きになるという感情を初めて知った。


このまま【過去に囚われた Heavenly Maiden】のルートに乗れば私はエマリカ王国に行かされる。

ジョナサンとお別れしなくてはならない。


何よりあの優しいお父さんが死んでしまう。私は育てられるにつれ、両親への情が深いものに変わっていた。


エマリカに行けば、戻ることは出来ない。

なんとしても山での暮らしを死守せねばと考えた私は山を走り回り体を鍛え、魔法の勉強もした。


そして、現世での私の欠点、何かにすがらないと生きていけないこの根性を自分で叩き直す事を考え、何があっても自分で生きていけるように、訓練することにした。


現世で昔、私は農家で手伝いをしていた。その為作物を育てることは成功した。

次に、魚を捕る時は従兄達や近所の子供達と川で投網をしていたのを思い出し、網を買って重りを付けて投網用として使ってみたら成功した。


但し、魔法は中々できなかった。

お父さんもお母さんも教えてくれず、図書館でやり方を学んでも魔力草がどれかわからず、見極めるためにはエマリカ学園でもらえる指輪が必要で、魔力を溜めることができない。


だが【過去に囚われた Heavenly Maiden】ではミーテは体内に魔力を既に持っていることになっているはず。


私は試行錯誤の末、何とか魔法を使えるようになった。


今思えば、自己中心的な考えだったのかもしれない。


今日のジョナサンとの会話を思い出す。


「ミーテ、僕は、君の事が好きだ。結婚を前提に僕と付き合ってくれませんか。」


現世ではこんな言葉、誰からも、元カレからでさえも1度も言われたことが無かった。

私は、、、泣き出してしまった。あまりにも嬉しかったから。


「はい! 喜んで! 」


涙で酷い顔になってしまっていただろう。

だがジョナサンは私を抱き締めてくれた。


その後私達はお互いがお互いのために作ったものを交換した。


ジョナサンは去年の私のリクエストに答えて腕時計を、私はピクルスの毛で作ったマフラーを渡した。

あとジョナサンから「ジョナサンと呼んで欲しい。」と言われてジョナサン兄さんから卒業し、ジョナサンと呼ぶことにした。


この国では、結婚は男性が18歳から、女性には制限は無い。

ジョナサンは今16歳。2年後にお互いの両親に結婚の許しを貰いにいこうと私達は約束した。



私は自分勝手な努力をして、山での暮らし、ジョナサンとの未来、そして何よりお父さんの寿命を縮めさせたのだ。


お父さんに話せばよかった。

私は、何て事をしてしまったんだ。

まさか私の魔力が魔王を呼び寄せることになるなんて。



知らなかったではすまされない。

私の責任だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ