めんどい魔法
家につく前にミーテは小包を持って家の近くの一本の木に近づいた。
どうしたのかと思ったら、木の根本には子犬一匹入れる洞がありミーテはそこから鉄の箱を素早く引っ張り出したのだ。
そして蓋を開けて貰った小包を入れ、箱をもとの位置に戻した。
まさか、隠してるのか? 何で隠すの?
そっか。彼氏のことは父親には内緒なのかな?
でも手紙は隠してないよね?
「お父さん、ただいま。」
「お帰り。魚とって来てくれたんだね。ありがとう。そういえばポストに寄ったんだよね。何か入ってたかい?」
え!? なぜポストに寄った事がわかった? まだ手紙見せてないぞ。
「ジョナサンから手紙が来てたの。」
「そうなんだね。」
「ワン。」(マキマキ先輩、おかしくないですか?朝行くときとかポストに寄るなんて言ってないし、手紙もまだ見せてませんよね? 何でミーテの父親はポストに寄ったってわかるんですか?
)
「トマトもマキマキもお帰り。」
「ワンワン!」(ただいま! Becauseそれはねミーテのペンダントには結界を通れる魔法だけじゃなくて居場所もわかる魔法がかけられているからだよ。何となくわかるんだって。更にミーテが危険な状態に陥ったら回復魔法を自動でかけてくれるんだ。お父さん言ってた。あ、因みに一日5回はちくましなきゃいけないけどね。)
まさかのGPS機能付きだとは知らなかった!
ちくま? 竹輪のことかな?
「ワン。」(ちくまって? 食べ物ですか?)
「ワン? ワンワン。」(What? 違う、違う。 魔力を溜めることを蓄魔というのさ。どんな魔法も魔力は蓄魔してから使えるんだ。ミーテのお父さんは魔力草を集めたり、魔力を持つ動物のミルクを煮詰めたものを食べて消化して魔力を体に蓄えてから魔法を発動する。因みにミーテのペンダントなどの魔道具は魔力草を煮詰めたものを入れることで蓄魔をしてるんだ。)
この世界の魔法って、魔力を補充してから使えるってことか。
食べてからって、消化に何時間もかかるんじゃなかったっけ?
「ワン? 」(魔力草を食べてから魔法を使うまでに結構時間がかかりますよね? あと、魔力草ってどんなのですか? )
「ワン。」(朝食べたらお昼位に発動って感じだね。魔力草は、正直僕もよくわからないんだ。魔力の宿る草ってのは、あるときはTomatoだったり、あるときはCarrotだったりするからね。種類とかは決まってないんだ。ただお父さんはどれが魔力が宿ってるかわかるらしい。)
「マキマキ、トマト、ご飯できたよ。」
ミーテに呼ばれて俺たちは会話を中断した。