サバイバル娘ミーテ
翌日、朝食を食べ終わった俺とミーテとマキマキ先輩は家を出て森の中に入っていった。暫くすると森がひらけた場所に出た。
そこには硝子の様な壁をした大きなかまぼこの形のものがいくつもあった。
さしずめビニールハウスの様な、、、。
「これは結界をはって野菜を育ててるの。」
めちゃ便利だな、結界って。
「あっちはトマトと茄子と胡瓜でこっちがジャガイモ、そっちはニンジン、あそこは大根、向こうはキャベツ。」
その後さらにミーテは説明を続けようとしたがマキマキ先輩が先に行こうとしたので中断して歩いた。
俺もその後に続いた。
更に山をおりると川に着いた。さらさらと穏やかに川が流れている。
何故か俺の心はすくんだ。
多分、川に捨てられた記憶がトラウマになっている可能性があるな。
ミーテは枯木を集めてから、白っぽい石と鉄板を取り出し、カチッカチッと鳴らしてあっという間に火を着けた。
火打ち石、、、使えるんだ。
テレビとかで見たことあるけど結構力とテクニックがいるんじゃなかっただろうか?
因みに、今日のミーテの服は緑のズボンと白いTシャツだ。
シンプルだが動きやすそうだ。
そして首に赤いペンダントをしている。
これがミーテの言ってた結界を通れるペンダントか。なんかよく分からない記号がたくさん彫られている。
ミーテは次に円錐形の網を手元でごそごそとした後に、それを左に振って、さらに左に捻って、グンッと勢いをつけて、シュッっと川に放り投げた。
網は川の上でパラシュートの如くバサッと開き、川に着水した。
ぐいぐいと網を引っ張ると、中に10匹ほどの小魚が入っていた。
すっげー。これが投網か。釣りよりは一気に魚が捕れそうだ。
ミーテはポケットから折り畳みナイフを取り出し、魚の腹に突き刺し内臓を取り出し串に刺して、焚き火の近くに串を刺した。
この一連の動作はあまりにも手慣れていて、俺は呆然とそれを見ていた。
正直思った。こいつは乙女ゲームの主人公に見えない。
ミーテは見た目儚い容姿をしているが、その実畑仕事や魚釣りのできる逞しい娘さんだ。
恐らくその気になれば一人でも自給自足サバイバルできるだろう。
二週間様子を見てて思ったが、ミーテは父親よりもアクティブだ。
ミーテはよく食べ物をもって家に帰って来るのに対して父親は家で料理作って待ってたりミーテの手伝いとして行く事が多い。
恐らくあのビニールハウスは父親から行ったわけじゃない。
多分ミーテからだろう。
何故ならミーテの方が「そろそろ肥料やらなきゃ。」とか「次に植えるべきは。」とかぶつぶつ呟く事が多い。父親はそれに従ってるだけのように見える。
結界は父親が家の二階から作動させているとマキマキ先輩が教えてくれた。
因みに犬は二階に上っちゃダメと教えられた。
俺1回上っちゃったよ。
釣った魚を火の側に刺した後、ミーテは魔法の練習をし始めた。