第二話 番外 白い化け物
何か白い物が空を飛んでいる。あれはなんだろう。
「くきょー!くっけー?」
「クキョークケー?」
ママでもわかんないんだ。なんだろうあの白い物?
あ、動き出したくるくる集落を回ってる、
白い雨も降ってる、なにこれ?
「ククー、クケー?」
「クッキョ?ククルーケー?」
ママが白い雨粒をポイって捨てる。
バキキィバグア!
白い雨が全部大きな白い木になった!
えええええ!すごい!
「くっきょうー!きょー!きょー!」
「クッケェエエ!?」
どうしたんだろ。お母さんが叫んでる。
お母さんもすごいって思ってるのかな?
……え?パパが降ってきた白い木に潰されている。
緑の破片が飛び散っていて、パパの身体が白い粒子を上げて消えていく。
そうだ。白い光は怖いんだ。おばば様が言ってた。
触れちゃダメだって、
身体が溶けてなくなっちゃう怖い光なんだって。
じゃあこの白い木に触れて白い粒子を上げているパパはどうなっちゃってるんだろ。
溶けちゃう?
……やだやだやだやだ!?
「くぅぅうっけぇえ!くけ!くけぇ!?」
「クッケ!クゥゥア!」
なんで?なんでママ!
パパが溶けちゃう!消えちゃうよ!
集落から出た。
……何か聞こえる。なんだろ?
振り向いた瞬間、白い光が目を灼く。
「くあああ!?」
目のチカチカが治らない。ママに手を引かれる。
歩く歩く。
集落の方を振り向く。
いた、白い物がいた。空を飛んでいた白い何かだ。
今なら見える。
暗い夜なのにあの白い物だけは一つも影がさしていない。
ただただ白い。目も髪も肌も翼も白い。
その白い何かは足を踏み込んだ。
その瞬間、引かれていた手が落ちる。
なんで?横を振り向く。
ママが白い何かに刺されてる。
白い何かは腕を捻る。
ブシャッ
緑の血が飛び出す。
「ク……ケ……ェ」
その声に弾かれるように逃げ出す。
なんでなんでなんでなんで!?
なんでママが!
白い何かが怖い。化け物だ。
空を飛んでいたかと思えば、
木を降らして、みんなの家を壊してパパを溶かした。
怖い。怖い!……でももう走れない。
足が痛い。死んじゃうのかな?
バチュッ
頭が殴られる、吹き飛ぶ。
ママに殴られたみたいだ。なんで?