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自己中心的に生きてみる。  作者: 南壬 創名
プロローグ~引きこもりの神様である自分~
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モラトリアム③

俺の名前は……、なんだったっけ?

……。

そうだ、そうだった。

俺の名前は琴見真ことみまこと

……名前というのは、呼んでくれる人がいるから覚えていられるものなんだな。

35年間使い続けてきたはずの自分の名前が出てこなくなるとは。

いつも通りに仕事場に出勤しようとしたら、自分がいつの間にか異世界にとばされていたなんて、ライトノベルなら楽しめるが自分の身に起きる現実としては笑えない。

自分の事を心配してくれる人は親ぐらいしかいないとはいえ、仕事を無断欠勤して迷惑をかけてしまったかな、とか思ったのだが、自分をこの世界へ連れてきたらしいニャルラトホテプという混沌の邪神が言うには、元の世界で俺が存在した事実をすべてを消してしまったらしい。

本人の許可もなしに勝手なことはしないでほしいものだ。まぁ、消してしまったものは仕方がないけども。

ニャルラトホテプという邪神、略してニャル邪神は、俺に新しく世界を作って欲しかったらしい。神の領域である神域にて世界の創造や自身の能力強化など様々な事が可能なシステムデバイスの神仕様パソコンや、俺自身への神属性の付与など色々なものをくれた。

ただ、世界を作るということは命を作るということに繋がるので、遊び半分でやっていいものではないし、何より異世界に行ったらチート的な強さを身に付けてみたいという願望が、俺を迷走へと導いて修行ばかりの日々を過ごしている今に至るというわけだ。

そういえば、最初に電話があってから何の連絡もないな。

いい加減に世界創造を始めなさい的な催促があってもおかしくはない気がするのだが。

この世界に来てすでに1年近く経っている。

今なお、世界創造どころかこの神域の広さもここに来てから全く変化がない。

それはとにかくとして。

『魔学教本』を読み終え、エクシスを使って魔術を使ってみようという俺の目標は、かなり難航している。

あれからエクシスを感じよう、目で見ようとしても、全く進歩がない。魔法のエクシス感知を使えば出来るのに、その効果が切れた瞬間に全く感知できなくなる。効果発動中のイメージをしっかり持ってもそれが現実にならない。

……やっぱり無理なのか?と、心が折れぎみだ。むしろ今まで飽きたり諦めたりしなかったのが不思議なくらいだ。

成長強化や感覚強化の魔法を使ってエクシス感知技術の習得を簡略化しようと色々してきたのに。

……うーん、でも、何となく分かってきたような分かってないようなそんな微妙な感じはするんだが。何というか、エクシス感知の魔法の効果をそのままイメージしているからダメなような気がする。

なんだろう、この中途半端な感じは。度忘れした事が、あぁ、喉まで思い出しているのに的な、そんな感覚。

今、俺は部屋の外にいる。無風の大気と土でも岩でも石でもない地面に大の字に寝転がっている。

目を瞑ってじっとしていると、自分が発する音以外に何も聞こえない。

……、そういえば、この世界はすべてがエクシスで出来ているんだよな?

俺は大きく深呼吸する。

俺が今、吸って吐いたのは空気じゃなくてエクシスということになる。

手のひらを下に向けて、地に触れてみる。

俺が触っているのは、土じゃなくてエクシスということになる。

……ただの勘違いかも知れないんだが、もしかして俺はもうすでにエクシスが見えているんじゃないか?

エクシス感知の魔法とは見え方が違っているから気が付かなかっただけなんじゃないか?

俺は目を閉じて、感覚を1つ減らしてみた。

何か確信があっての行動ではないが、何かの本で感覚が減ると残りの感覚が敏感になると書いてあったので、とりあえずやってみただけだ。

身動き1つしないでいると、この世界は無音になる。外部からの音声入力はなく、自分の内側から発する鼓動だけが聞こえてくる。

目を閉じても完全な暗闇にはならない。瞼の外側から光が透けて少し明るい。

……自分って何なんだろうか。

どれくらい時間が経ったのだろうか?

ふと自分自身への疑問が浮かんできた。

琴見真という名は、俺を表す名称にはもはやならない。

琴見という苗字は親の家の名で、真という名は親が俺に着けた名だが、俺が存在しなかったことになった今では、親の家の名も受け継ぐことなく、親が俺に名を付けなかったことになるのだから。

なら、自分を表す名は自分で付けなければ。

……何がいいだろうか。

そういえば、この世界にも名前がなかったっけ?

俺の世界なんだから、俺と同じ名前にしてやろうかな。

……。

この世界は俺にとって理想に近い。

煩わしい他人がおらず、平穏で自分のペースで生活が出来る。生きるために働く必要もなく、何より自由だ。

楽園のような所だな。

……楽園か。

楽園は英語でパラダイスだったっけ?

……ないな。

似たような意味の言葉って何だっけ?

ユートピア。

エリュシオン。

……うーん、ユートピアは「ピア」の部分が男っぽくないな。

途中で区切ってユート・ピアみたくすると名前っぽくなるけど。

ピアなんて家名を付ける意味はないし。

なら、エリュシオンか。

エリュシオンって確かギリシャ神話の死後の楽園だったっけ?

確かに人間だった自分は元の世界から存在ごと消されてしまった訳だし、ある意味死後と言えるかもしれない。

エリュシオンなら愛称は『エル』とか『シオン』かなぁ。

……悪くないな。

中の中もしくは中の下の顔面の俺に似合う名前かはともかく、響きが良い。

それじゃエリュシオンということにしようか。

俺の名はエリュシオン。

神域しか存在しない神世界『エリュシオン』の創造神。

正確には『エリュシオン』の創造・発展を混沌の邪神、ニャルラトホテプから任された世界の代表者の神人。

この世界は俺そのもので、俺は世界そのもの。俺と世界は一心同体。

俺は自分の意識を世界に委ね、自我を少しずつ薄めていく。

眠るのではなく、自分の行動を世界の行動と同じものだと意識しながら認識を拡大していくのだ。

自分は人。

自分は神。

自分は世界。

ああ、だんだん意識が遠のいていく。しかし、何か得体の知れない感覚が自分の中に溜まっていく。

喜怒哀楽、恐怖、快感、充実感、満足感、苦痛、悪寒、色んな感情があるがどれでもない。

やがてその感覚が自分のすべてを満たし、意識が完全に無になった瞬間、俺の中で何かが割れるような音がした。

ハッとして閉じていた目を開けると、俺の視界に飛び込んだ来たのは、今まで生きてきた中で見たことのない風景だった。

純白の気体の様なものがゆらゆら揺らめきながら輝き、流れていく。地面から、自室から、俺自身から湯気のように沸いてきたそれは、時に融合して大きな塊となり、時に拡散して空へと煌めきながら消えていく。

すごく、きれいだな。

何となく、子供の頃に見た満点の星空を思い出した。

深夜、皆が眠る頃、屋根の上で寝そべり自分の視界を星空だけで満たしたあの時。

閑静な住宅街に住んでいたから、たまに通る車の音以外何もも聞こえなかった。

まるで世界に1人だけしかいないような寂しさと、無限に広がるような世界への憧憬が入り交じった感情が俺の心を支配する。

そして俺は理解した。

これが俺の見えるエクシスの姿だと。

ただ、エクシスのすべてが見えている訳じゃないだろう。

この世界のすべてがエクシスで出来ている以上、本来なら視界のすべてが白く輝いて見えなければいけないんだからな。

恐らく自己防衛のため、無意識に見える範囲を絞っているんだろう。

何がきっかけでエクシスが見えるようになったのかは、正直な所は分からないが、ようやく次の段階に進める。

俺は魔学教本に載っていたマーナ操作のやり方を思い出す。

自分から発生しているエクシスの方が操作しやすいだろうから、それをうまく操作出来るようになるならないとな。

まずは霧散して消えていく自分のエクシスを自分の周囲に停滞させられるようにしよう。

俺はとある漫画に載っていたオーラ的なものを操る修行シーンを思い出して、自然体で自分のエクシスが膜のように周囲を覆うのをイメージした。

最初は全く変化がなかったが、粘り強くイメージし続けると、徐々にエクシスの流れが変わってきた。

俺の身体から立ち上ぼり消えていくだけだった純白のそれは、少しずつ俺の周りに溜まっていき、視界を白く染めていく。

このままだと真っ白で何も見えなくならないか?

霧に覆われたように視界を遮られると困るので、俺はエクシスの色を薄くするか透視出来るようにならないか強く念じながら集中する。

ん?なんか先程より色が薄くなったような気がする。

だが、濃度というか、滞留しているエクシスはどんどん増えていっているのは感じるな。

俺が留めているエクシスはだんだん透明度が増していっているのに、それ以外のエクシスは変化なく白く輝いている。

なるほど、イメージ次第で色の濃度を限定的に変化させることも出来るのか。

……いやいや、いくらなんでも学習速度が早すぎないか?

エクシスが見えるようになってからまだ1時間ぐらいしか経っていないのに。

何か怖いんだが。

……ああ、もしかしてあれか?成長強化や感覚強化を使用し続けている影響なのかもしれないな。それとも肉体の最適化の効果でエクシスを扱うのに適した身体に変化していっているのかもな。

ゲームのイージーモードじゃあるまいし、こんな速度で成長するのには何か違和感があるんだが、余り気にしすぎても良くないな。

余計な心配事は考えないようにして、俺はエクシスの色の変化と拡散させずに留めておく練習を続ける。

2時間ほどさらに練習したら、ほぼ完全にマスターすることができた。

色の変化については、色を付けるか消すかなら瞬間的に切り替えが可能になった。濃度を濃くするか薄くするかは多少時間がかかるが。

色は相変わらず白く輝いて見えるが、まぁ自分にとってはそう見えるのがスタンダードなのだろう。

留めておく練習は、ある一定の範囲・量までしか留めておけない事が分かった。

その範囲・量を超えると、容器に穴が開いたように漏れ出して空に消えていってしまう。

恐らく、それが俺の上限値なのだろう。現在の、だろうと思うが。

溜めておくことは出来るようになったので、次の段階へ進むことにする。

エクシスの濃度を部分的に濃くしたり、薄くしたり。

自分の身体を覆っているエクシスの範囲を1部分だけ多くしたり。

自然発生しているエクシスだけではなく、任意に自分のエクシスを自分の中から取り出してみたり。

寝る暇も惜しんで、というか寝る必要のないこの便利な身体は、強化魔法の影響もあってか、エクシスの球体を作り出せるまでの技術の習得をたった1日で可能にした。

ああ、楽しい。

目に見えて成長が分かると、成長することが快感になってやめられないし止まらない。

形状変化は覚えたから、次に習得するのは属性変化だな。

俺は手の平の上にエクシスの球体を作り出して色々な属性をイメージした。

しかし、これがなかなかうまく行かない。というのも、この世界には秩序と光の属性しか存在しておらず、火属性や水属性に変化させようとしても存在しないものには変化できないのだ。

そのかわり光属性への変化は1回目から出来た。秩序属性については、秩序というものがしっかりとイメージ出来ていないためか上手く変化させらせなかった。

仕方がないので、光属性だけでも上手く使えることが出来るように訓練する。

3時間程でスムーズに光球を作り出せるようになったので、他のことも試してみる。

光属性に強弱を付けたり、光球を破裂させて目眩ましの閃光を作ってみたり。

熱を持っていない光なので、巨大な光球を目の前で作っても全然火傷もしない。

他には小さな光球を沢山作り空へ飛ばして見たら、すごくきれいだった。

そういえば、光って確か幻術系に使われている属性でもあったな。目に見えているものはすべて光の屈折によってというか、目に届く光の種類?によって見える色が違うとか何とか。

球体は作り飽きたから、今度は幻術みたいなのを作ってみようか。

まずは形が固定されていない流体や気体状の形状変化からだな。

今までと同じように球体を作り出した後、試行錯誤してみたがなかなかうまくいかない。

いきなりレベルを上げすぎか?

仕方がないから球体以外の立体を先に作れるようにしようか。

俺はそう判断すると、直方体や円筒、3角錐、4角錐など、思い付く限りの立体作成に勤しんだ。

想像した以上に難しく、1日経過したぐらいで何とかものにすることが出来た。

……歪みのない立体を作るのがこんなに難しいとは思わなかったな。

球体は中心点となる場所から均等に膨らませればある程度楽に作ることが出来るのだが、それ以外の立体はそれぞれの面を一定の大きさにしなければならず、その調節にかなりの神経を使うはめになった。

しかし、そのおかげで細かい形状変化技術を習得することが出来たので良しとしよう。

次は流体だな。

イメージはアメーバ辺りか。

俺は手の平の上にエクシスを放出して球体にする。そしてうごうごと蠢くアメーバをイメージして球体に変化を与えていく。

しばらくしたら、今まで球の形を保ち続けていたそれが時折波打ち始めた。

俺は柔らかそうに見えた球体を両手を使って餅を引き伸ばすように広げる。

おお、イメージ通りに伸びた。

ビヨーンという擬音が聞こえてきそうだ。

そこから更に伸ばしたり広げたりして一枚の布のような形状にしてみる。

とりあえず、これに光属性を加えてみるか。

属性付与をしてみると、キラキラ輝くマントみたいになった。

ここからが問題だな。幻術なのだから自分の姿を隠蔽したり全く別の幻像を見せたりしないと。

ただ、どうイメージすればいいのか。

姿を消すのは、光を透過させればいいんだっけ?

俺はマント状エクシスの属性を少し弄ってみた。

実際に属性付与してみて分かったのだが、同じ光という属性でも色々な要素があり、それらをON・OFF、または強弱の変化を与えていくことで様々な効果を与えることが出来る。

今回は光の性質の中にある『輝く』という部分を限りなく小さくし、また、『反射』を歪めて外部からの光を素通りさせる。しかし、ただ素通りさせるだけだとエクシスが透明になるだけなので、『屈折』を使って背後の景色を映すように調節する。

その状態で自分を覆うようにエクシスを周りに展開させる。頭だけは覆わずに出したままにしたが。

お?上手くいったか?

下を向いて確認してみると、自分の身体が見えず景色が映っている。が、よく見ると若干ズレがあり、エクシスが周りの空間と一体になっていない。

微調整が難しいな。

しかも、自分の後ろがわがどうなっているのか分からないから、後ろがわの調節をどうしようか?

待てよ、まずは自分を覆うんじゃなくて、忍者が隠れるときに使う布のイメージでやってみるか。それと、上手く隠れているか確認するために、鏡的なやつも作った方がいいな。

色々遠回りなことしている気もするが、時間は沢山あるんだ。ゆっくりやろう。

俺は色々苦心しながらエクシスを放出し、調節、検証を繰り返す。

かなり細かい作業が続き精神的に疲れたりしたので、昼寝したりストレス解消に重力を上げてくたくたになるまで走ったりした。

そんなこんなで10日ほど過ぎた頃、ようやくエクシスを自分の姿を隠す布?マント?のようなものに属性付与することが出来た。

平行制御している鏡的なエクシスで自分の姿を見ると、まるで生首が中に浮かんでいるように見える。

うわっ、気持ち悪っ!

何だか生々しくて思わず顔をしかめた。

隠蔽効果のエクシスを身から放すと、全身が現れる。

また身体がを覆うと、生首状態になる。

よし、問題ない。

……今、ふと思ったのだが、これ魔術か?というかそうだ、俺は別に自分を隠蔽する魔術を作ろうとしたのではなくて、幻術を作ろうとしていたんだったな。すっかり忘れていた。

当初の目的を思い出して、俺は改めて考える。

とりあえず、今作った魔術は『隠蔽の術』『姿見の術』と名付けるとして。

今までしてきたのは、実在するものを反射と屈折を利用して別の場所に映すための技術だ。俺が作りたいのはのはまるで絵を描くように想像上の画像を現実に見えるようにする魔術だ。名付けるなら『幻像の術』ってところか。

俺は薄く伸ばしたエクシスをキャンパス替わりに光の反射や吸収を駆使して絵を描く。

元々絵を描くのがすごく苦手だったので、最初に出来た絵はそれはそれは酷いものだった。幼稚園児が書くような不思議と理不尽に満ち溢れたその絵は、自分で書いたものにも関わらずかなりの精神攻撃を仕掛けてくる。

出来上がりの酷さによる自己嫌悪と羞恥心が半端ない。

しかし、それぐらいで凹んでいるわけにもいかず、試行錯誤を繰り返す。

普通の絵を描くのとは違い、間違えたときに修正するのが楽な点は良い。

1日程頑張った結果、ようやくドット絵のような絵なら描けるようになってきた。

ようやく8bitの絵師になれたか。

最新ゲーム並の絵を描けるようになるまでどれ程の時間がかかることか。

行き先不安だが、時間ならたっぷりあるから地道に進めていこう。

あと、運動不足にならないように、たまにトレーニングしないとな。



初めて魔術を作ってから、早くも3ヶ月が過ぎた。

俺は辺り一面の花畑をにこやかに眺めながら散歩している。

色とりどりの花は季節その他様々な法則を無視して無規則に咲き誇っている。

と、いっても本物の花ではないが。

これらは、俺が光の魔術『幻像の術』で作り上げた幻だ。

俺はその幻の花を1つ摘み取ると、花びらを鼻に当て薫りを楽しむ。

通常の幻術なら触れることはもちろん、匂いがするこもあり得ない。幻術とは光操作による錯覚なのだから。

しかし、使い続けている成長力強化と感覚強化の効果もあり、3ヶ月という月日は俺に著しい成長を与えてくれた。

今では、俺はすべての属性を使用することが出来る。

この世界『エリュシオン』は秩序属性と光属性しか属性が存在しない特殊な世界だ。

この世界では、火属性の魔術は使えない。『火』という属性が存在しないからだ。

しかし、色々調べていくうちに興味深いことが判明した。

『秩序』という属性は『創造』という性質を持っている。それは存在しないものすら創ることが出来るというもので、属性すら創造可能だ。つまり、秩序属性の魔術を擬似的に別の属性の魔術、例えば火属性の魔術として使用することも出来る。

そうえいば、この世界には秩序と光の属性しかないはずなのに、蛇口からは水か出るし、電気も使えるし、変だなと思っていたのだが、そういう理由からだったんだな。

そんな訳で秩序と光の属性以外の魔術も使用することができ、

すべての属性を使えるようになった。ただ、魔術として使いこなせるかは分からないが。

この世界には自分しかいないので、争いが起きることがない。

テンションが上がって戦闘用の魔術も色々開発してみたのだが、まず自己満足の一発芸以上の意味を持たない。

楽しいから問題ないが。

ついでに魔術だけではなく、体術というか肉体運用技術にも手を出してみた。ただの我流だからかなり無駄な部分が多いと思うが、中年のおっさんだった頃には不可能でしかなかった動きが色々できてとても面白い。

自身にかけ続けていた重力負荷の魔法は、とうとう10倍に達したので一度解除してみたのだが、身体が信じられないくらいに軽く丈夫になっていたので驚いた。

バク宙、全宙、ムーンサルトなど、体操選手や一部のプロレスラーしかできないようなことが馬鹿みたいに簡単にできて、時間も忘れて1日ほど動き回ったのも良い思い出だ。

現在では俺自身が魔術として重力負荷を自身に使用し続けている。

自分のエクシスを沢山使い続けていたせいか、はたまた成長力強化の魔法のせいか、俺が所有するエクシス量が分かりやすいほどに増加していて、更に自然回復量もかなり早い。

その結果、消費するエクシスよりも回復するエクシスの方が多く、無理なく使い続けることができてしまった。

この手の負荷トレーニングは継続しないと劣化してしまうから安心した、といったところか。

この世界へ来てしたかったこと、魔法の使用と肉体的なトレーニングはある程度目的を達することができた。

……まぁ、世界作りは置いといて、のんびり引きこもり生活しながら、更にしたいことばかりをやって暮らしていこう。この世界は俺を中心に出来ているのだから。

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