モラトリアム①
自由は素晴らしい。
寝て、起きて、微睡んで、また寝て、起きて、微睡んでと、惰眠をどれ程貪ろうとも、誰に咎められるとこもなければ、誰に迷惑をかけることもない。
仕事に縛られて、時間を気にして、他人の顔色を伺ってなど、何にも気を使うことも必要ない。
好きな時に好きな事をして、したくないことは一切しなくて良い。
腐れ縁もしがらみも何もない。
イイ。自由ってとってもイイ!
フハハハハハハ!!
……。
少し我を見失ってしまった。反省。
どれだけの時間寝ていたのだろうか?
とりあえずパソコンの電源を入れて、時間を確かめてみる。
『0年1月2日20:09』
…おぉ。1日以上もだらだら寝てたのか。
普段だったら絶対にできないな。何より時間がもったいない。
明日のことを考えなくていいのは、とても楽だな。何というか、心が穏やかになる。
今だったら、世界平和について、前向きに考えられそう。
まぁ、そんなどうでもいいことはとにかく、思う存分寝たから、活動を開始しよう。
そういえば、パソコンとスマートフォンの年月日がずれてたな。
あれって変更とかできたっけ?
俺はあまり機械に詳しくないのでその辺もよく分からない。
とりあえず、スマートフォンの設定画面を確認してみる。
ん?何か見慣れない項目が。いや、設定画面はあまり見ないから、色々見慣れないものだが、『世界管理デバイスとの同期』というのは神仕様になってからの新機能っぽい。
『世界管理デバイス』というのは、恐らくパソコンのことだろう。それと同期ということは、パソコンでできることをスマートフォンでも出来るようにするということなのだろうか?
…まぁ、悪いことにはならないだろう。どうせ、今のスマートフォンは使い道ないし。中に入れた曲を聞いたり、オフラインのアプリ?のミニゲームで暇潰しする以外何もできないしな。
ポチっと。
『内容を大幅に変更するため、3000E必要ですがよろしいですか?』
問題なし。『はい』を選ぶ。
すると、スマートフォンがなんだか輝き出した。
え??何かしてはいけないことしてしまったか?
慌てる俺。
だんだん目を開けていられない眩しさになっていく。
思わず目を瞑るが、瞼ごしですら強烈な光を感じる。
冷蔵庫のバージョンアップの時は安い音が鳴っただけだったのに。
その光は10秒ほど続いた後、徐々に引いていった。
眩しくなくなったと感じた俺は、目を開けてスマートフォンに目をやる。
白の本体に黒のカバーをかけていたそれは、色が変化し、白というよりは銀色っぽくなっている。光の反射によって更にパステルグリーンとかイエローなどのグラデーションにも見えている。
軽く叩いてみると、なんだか金属のような感じがした。
…もしかして、魔法の金属とかしたりするのか?
鉱物に詳しくないのでよく分からないが、何となくミスリルという名が頭に浮かんだ。
……。
考えても分からないことは、考えても仕方がない。とりあえずスルーしておこう。
電源が落ちているみたいなので、起動ボタンを押してみる。
一瞬でデスクトップ画面に。
早っ!昔のテレビゲーム機並の早さだな…って、パソコンの時と同じリアクションしているな、俺。
気を取り直して画面を見ると、何もない茶色の大地が表示されている。今俺がいる世界だ。
パソコンのデスクトップと同じような画面だな。なら、同じように映像の移動とか拡大とか出来るのか?
指で色々動かしてみたら、予想通りに映像場所の移動や拡大が可能だった。
もしかして、パソコンと全く同じ機能を持っているのか?
色々動かして試してみる。
その結果、出来ることと出来ないことがあると分かった。
『世界情勢確認』『自己情報確認』『自己改造』『術実行』は可能だったが、『世界創造・改変』『道具生成』のこうもくがなかった。さらに、『自己改造』は体力な筋力等の肉体的なステータスの上昇と、取得済みのスキルのレベル上昇しかできず、術実行も、取得済みの術か一度使用したことのある術しか使えないようだ。
機能的にはパソコンの劣化版といったところか?しかし、電話出来るところや持ち運びに便利なところは、パソコンよりも優れているといっていい。
スマートフォンについてはこのぐらいでいいか。当初の目的だった日付もパソコンと同じになったし。
…そういえば、20時過ぎってことは、今は夜のはずだよな?
俺は世界の情報を確認していた時に、この世界の属性が秩序と光しかなかったので、昼と夜の概念ってあるのか疑問に思っていたことを思い出した。
窓の方を見ると、開かずのカーテンの隙間から光が射し込んでくる。
カーテンを開けると、寝る前と同じ明るさだ。
やっぱり夜はないのだろうか?
この世界、闇属性ないみたいだしな。
まぁ、暗がりが欲しかったらカーテン閉めればいいだけだし、特に問題ないか。
さて、話が脱線したが、今から何をしようか?
一応、目的としては世界の創造をしなければならないのだが、何となくそんな気分じゃない。今すぐしないといけないわけではないだろうから、後回しでいいと思う。エクシスもそんなにあるわけではないからな。
それ以外だと…、そうだな、運動したいな。
元々運動はあまり好きではないが、今の体型を何とかしたいとずっと思っていたし。
でも、仕事の時間以外は、どうしてもストレス発散のためにだらけモードになってしまう。
休みの日とかも、明日また仕事があると思うと、疲れたくないのでのんびり過ごしてしまっていた。
しかし、今はそんなことを気にする必要はない。現状、ストレスなんて何もないから、動くだけ動いて、疲れたら気が済むまで休めばいい。
…出来たら細マッチョぐらいになりたいなぁ。
スレンダーで引き締まった自分の肉体を妄想し、にへらとだらしなく口許が弛む俺。
あー、何かやる気が出てきた。
ただ、時間があるといっても、自分なりに頑張って運動したはいいが、効果のほどは大してなかったりすると飽きてしまいそうなので、効率よく効果的な方法でやりたい。
俺はパソコンの電源を入れて『自己改造』のメニューを開いた。
これを使えば、肉体改造なんて簡単にできそうなものだが…。
ただ、『力』の項目を上げたときに、この体型のままだったりしたら意味がない。俺は筋肉質の身体になりたいのであって、筋肉のないぶよんぶよんな身体だけど不思議な力で力持ち、なんて望んでいないからだ。
そして、それ以前の問題として、このゲーム的な自身の強化というのがあまり好きじゃない。
なんというか、ゲームじゃあるまいし、ポイントを振り分けたぐらいでそう簡単に強くなったりしてたまるか、という反骨精神がむくむくと沸き上がってきてしまうのだ。
もちろん、ゲームなら問題ないし、自分が普通の人間で、訳もわからす弱肉強食の異世界に放り込まれたのなら、生き抜くために有効利用するだろう。
しかし、俺は不老不死の神人。自分がいる世界は自分しかおらず、非常に安全な世界だ。
なら時間をかけて努力して鍛えたっていいはずだ。
そういう考えに達した俺は、『自己改造』のメニューを閉じて、変わりに『術実行』のメニューを開いた。
運動して自分を鍛える即ち修行。修行と言えば重力負荷による自己鍛練だな。
俺は重力の魔法の項目を探し始めた。
…見当たらないな。重力って、何となく黒いイメージだから闇属性なんじゃないかと思ったのだが。
なら、検索で探してみようか。
キーワードを入れてみると、『術実行』『星』『重力操作』の順にウィンドウが開く。
…重力って星の属性なのか?
いや、そもそも星属性がなんなのか分からないんだが。
とりあえずスルーしよう。
『重力操作』の項目を選ぶ。
すると、『現在、星属性はこの世界に存在しません。秩序属性を擬似変換して星属性魔法として使用しますか?』と表示された。
??どういうことだ?
…あ、そういえば世界情勢を見た時、属性は秩序と光以外0だったな。もしかしたらそれが関係しているのかもしれない。
まぁ、よく分からないが、気にしないで選ぼう。
『条件を設定して下さい』
なるほど、威力、効果範囲、発動時間を任意で選ぶことができるらしい。威力は倍率設定、効果範囲は単体、複数体、範囲の3つから選べ、発動時間は効果終了の時間設定か任意による魔法取り消しから選択するようになっている。
威力の倍率設定って、恐らく重力を現在の何倍にするか、だと思う。小数点第一位まで登録できるようだが、さて、どうするか?
マンガとかだと重力を10倍で修行したりしているものがあったが、 リアルで考えて見るとどういうことなのだろうか?
重力10倍になると、体重も10倍になるんだっけ?だとすると、自分の体重が80㎏だとして、その10倍だから800㎏?つまり720㎏増えるということになる。
…そんなことになったら死ぬんじゃないか?
俺は720㎏の重りにのし掛かられて潰れ、全身の骨を折って死んでいる自分を想像して身震いした。
…一応俺は神人とやらで不老不死らしいから、もしかしたら死なずにすむかもしれないが、永遠に指先すら動かせず、死にたいと思っても死ねず、最終的に考えるのを止めたなんてバッドエンドはごめん被るので、倍率設定はかなり気を付けなければならない。
2倍として考えても、80㎏増えるのでかなり厳しい。
となれば、1.1倍とかなら8㎏増ですむので、問題なさそうだ。
ということで、倍率を1.1倍に、効果範囲を単体に、発動時間を任意で決定する。
すると、『効果を与える対象の指定を行いますので、対象をイメージしてください』という表示が現れる。
自分自身に効果をかけたいので、自分を姿を脳内に想像する。
『対象の指定が行われました。正しく指定されていますか?』
『はい』
『いいえ』
??
正しく指定されているかどうかはどうやって判断するんだ?
疑問に思って自分を見下ろすと、何やら身体がほのかに光っている。
これが指定されているってことなのか?
服を着ている部分は光が確認できなかったので、服を脱いでみると俺の肌から直接光っているようだ。
恐らくこれでいいはずだ。
俺は『はい』を選択した。
『現在の設定では、毎分約1E消費しますがよろしいですか?』
1分に1E使用するのか。何か少ないような気がするが、そんなものなのか?
1分に1Eということは、1日使い続けていたら1440E消費するのか。
えーと、今の残りエクセスは…、え!?6万4千近く!?
前に見たときは、3万5千ぐらいだったから、1日で3万近く増えたのか。
何もせずに寝ていたから、なのだろうか?
まぁ、いいか。それなら1日1440Eぐらい全然問題ないな。
俺は『はい』を選択した。
『重力操作が発動しました。次回同条件で使用する場合、設定を省略化して発動できます』
…。??
あまり効果が感じられない。
俺は立ち上がって、軽く動いてみる。
何となく重くなったようにも感じるが…。
8㎏って結構な重さだと思ったのだが、よくよく考えてみれば、8㎏といってもどこか一部に集中して重さが加えられているのではなく全身に分散しているのだから、体感的にはそんなにないようだ。単純計算として、全身を頭、胴、両手足に5分割したとすると、一部分に加えられる重さは1.6㎏になる。
これならすぐに慣れそうだ。
いや、もっと倍率を上げて、自分に負荷を掛ける方がいいか?
…うーん、とりあえず様子を見てみるか。
今日1日動けなくなるくらいに走って、腕立て、腹筋、スクワットして、1回寝て、特に負荷が辛くないようなら上げることにしよう。
俺はそういう風に自分のこれからの行動を決定して、ジャージに着替えると外へ出た。
さぁ、自分が人間ではなくなったと自覚できるぐらいに鍛えようじゃないか!頑張るぞ!
……そんなこんなで半年が過ぎた。
限界まで走って、腕立て、腹筋、背筋、スクワットを繰り返して、寝る。
重力の負荷に気が付かなくなるくらい当たり前になったら、倍率を0.1倍増やす。そしてまた運動。
1.1倍の時は全然平気だったが、倍率を上げて行くと中々慣れてこなくなったので、効率よく鍛える魔法とかないかと探してみたら、『成長力強化』という無属性の強化魔法が見つかった。
強化魔法には筋力強化系や感覚強化系、物質強化系、魔法強化系などの魔法があったが、この『成長力強化』は特殊で、通常の『術実行』画面の項目には見当たらなかったのだが、『検索』を使い『成長』『強化』とキーワードを入れたら出てきた魔法だった。
あれか?もしかしたら隠し要素的なやつなのだろうか?
まぁ、普通に『自己改造』を使えば鍛える必要などないので、主な画面には表示されていなかっただけかもしれないが。
ちなみに『成長力強化』の魔法は、文字通り生物が持つ成長するという機能を底上げする魔法で、筋トレしたら筋肉がつきやすくなったり、ジョギングすれば体力が増えやすくなったりする。また、学習力も上がり物覚えがよくなったし、身体に害あるもに対しての耐性力も増えるらしい。
さらにそれら総合した成長力そのものも強化されるので、使用し続ければ続けるほど成長速度が上がっていくのには驚いた。
この魔法の消費Eは1分につき2Eと重力操作の倍だったのだが、両方の魔法を使用し続けても1日4320Eなのでずっと使い続けていたら、3ヶ月たった頃には重力倍率が4倍を超えてしまった。
…結構なハイペースのような気がする。
自分が人間ではなくなったと自覚できるぐらいに鍛えることを目標のひとつに掲げていたので、ペースが早いのは望ましいことではあるが。
4倍といえば、自分が80㎏だとすると320㎏になるということだ。その状態で普段と同じ感覚で動けるというのは変な感じだな。魔法を解除したら、そのすごさが分かるのだろうが、俺の目標値は10倍だから、まだ我慢しよう。
でも現時点で、人間の外側に足を一歩踏み出せた気がするのが何よりだ。
そういえば、この世界には昼夜の概念がないため、気がついたら3週間飲まず食わずで鍛えていたことがあった。
その時に、以前思っていた『不老不死なんだから食事をとらなくてもいいのではないか?』という疑問が解決できたが、だからといって食事ができないわけではないらしい。
調べてみた結果、神に属する存在にとって食べるという行為は、味を楽しむという趣味的要素と、その料理が持つエクシスを吸収するという回復効果が目的らしい。
回復効果については自身の所有エクシスが不足している時以外には意識することはないので、大半は趣味で食べるのが主流だそうだ。
あと、料理の存在ごと吸収しているので、トイレに行く必要がないのは嬉しい。
そんな風に自分の人外っぷりを感じるようになってきた俺だったが、更にそれが顕著に感じられた出来事が、久しぶりに風呂に入ろうと浴室に行った時だった。
俺が浴室に入り、鏡に写った自分の姿を見た時、思わず声を上げるほど驚いた。
鏡に写った自分はすっかり若返っているというか、体を鍛えていたため余分な脂肪がなくなって引き締まっているだけならまだしも、なぜか薄かった頭髪はフサフサに、小じわが見え隠れしていた肌はツルツルになっていて、見るからに10代後半から20代前半といった風貌になっていた。
自分が覚えている自分とは違う、見違えるような変化にしばし鏡に見とれる俺。
もしかして重力操作による運動は、かなり効果の高いアンチエイジングの方法なのだろうかなどとバカなことを考えてしまったが、色々調べてみたらこれが俺が所有しているスキル『肉体の最適化』の効果らしい。
『肉体の最適化』は、スキル所有者の身体を全盛期に維持する、状態異常における身体の異常及び能力の低下を無効化、もしくは速やかに回復するなどの効果があるらしい。
神様って便利なんだな。
そんなこんなで、半年が過ぎた訳だが、ずっと一人だったのに全く寂しく思わなかった。
このままぼっちを極めてもいいのかもしれないな。
まぁ、それはさておき、自分のステータスをあらためて確認する。
おお、上昇率が半端ない。
身体能力、しかも、筋肉が関わる項目と体力値が前回とはけた違いになっている。
前があまりにもダメだったというのもあるが、こんな風に成果が数字で実際に表示されると、テンションが上がるな。単純に嬉しい。
ただ、精神力というか、恐らく魔法に関するステータスであろう項目が前とほぼ変わらない。
これは魔法の習得を始めた方がいいか?
身体を鍛えるのは現状維持して魔法の訓練をするか、それとも目標と掲げていた重力10倍まで達成してからにするか?
…うーん、悩む。時間はたっぷりあるから、急がなければならない理由はないのだが、意識しはじめてから魔法を使いたいという欲求が押さえきれなくなってきた。
…どうしよう?
…どうしようか?
我ながら優柔不断だな。
ここは間?をとって、重力倍率を5倍にして身体を慣れさせつつ、魔法の勉強を始めようか。
そうと決まれば、ということで、俺はスマフォを使って重力操作5倍を使用する。
ところでこの重力操作だが、対象を単体にすると周囲に対する影響はないということが分かった。何が言いたいのかというと、重力を上げることで自身への負荷は上がるが、その負荷は他の対象にはかからず、椅子に座った時に俺の重さで椅子が潰れるなどといったことはないらしい。理屈はよくわからないが。
…ぐ、かなりきつい。
重力の負荷には慣れたつもりだったが、倍率を一気に上げると、結構辛いものがある。
しかし、しばらく運動しないつもりだから我慢しないとな。
俺は牛歩のようなゆっくりとした速度で自室へ向かい、パソコンの前に座った。
とりあえず、魔法について色々調べないとな。魔力がどうの呪文がどうのと言われても、何も知らないので基礎中の基礎から学ばないといけないし。
パソコンの検索機能を使って、『魔法』『基礎』と検索してみる。
すると『各属性魔法の基礎魔法一覧』という項目が現れた。
これじゃないな。
一応確認してみると、内容はただの初歩的な魔法の一覧表だった。
今度は『魔法』『チュートリアル』と打ってみる。
…ダメだ。パソコンで魔法を使ったり覚えたりするやり方が表示されるだけだった。
何て打てばいいのだろうか?
…『魔法』『学問』『教科書』でどうだろう?
『魔法の学び方』『魔学教本』というものが表示された。
最初に『魔法の学び方』を開いてみる。
『『魔法の学び方』
魔法は以下の方法で学ぶことができます。
一つは世界管理システムから習得する方法です。あなたが代表者であるなら、世界管理システムの『自己改造』からエクシスを使用して習得してください』
と、ここで俺はウィンドウを閉じる。
…何か違うな。
とりあえずもう一つの方を選んでみる。
『『魔学教本』
ようこそ!魔の世界へ!』
いきなりテンション高いな。
『この本は魔というものがいかなるものかを学び、それによって魔の扱い方を習得することを目的としています。
※あなたが神人であるのなら、この本を目にしているあなたはかなりの変人です』
いきなり変人扱いされた。何でだよ!?
『通常、魔法を習得するのであればシステムから習得することができます。それを拒む、もしくはそれ以外の方法を探っているあなたは、偏屈なのかあまのじゃくなのかは分かりませんが、普通ではないということです』
普通じゃなくて悪かったな。ほっといてくれ。
『ただ、だからこそ常識に囚われず、自由な発想で常識を超えた力を選ることができる…かもしれません。それができるかどうかは、あなた次第ということです』
そういうのはいいから、魔について教えてくれ。
『さぁ、限りなく広い魔の世界へ、レッツゴー!』
レッツゴーって…。そんなテンションにはなれないんだが。
まぁ、俺が求めていることが載っていそうだから、読み進めてみるか。