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自己中心的に生きてみる。  作者: 南壬 創名
レオパルド編
12/14

レオパルド編その6

午前の訓練を終え、昼食を食べて少し間の空いた昼下がり。

俺はこの世界のことを勉強するために、神殿内にある座学堂といわれている部屋に入った。学校の教室みたいな所だ。

部屋には誰もおらず、机と椅子が綺麗に並んでいる。

アルケインさんとは昼食後別れて行動することになった。俺が座学を学んでいる間は、教導司の司長であるヒューズ司長とその部下?が俺の勉強と護衛を担当するらしい。

とりあえず1番前の席に座り待っていると、部屋の扉が開いてヒューズ司長が入ってきた。

そして彼に続いて赤い髪を真ん中で分けた中背痩躯の青年と、短身でぽっちゃりした金色の長髪をポニーテールにした女性がともに入室した。

彼らが部下?なんだろうか?

俺は知らない人の登場に緊張しながら3人が教壇に立つのを見守った。

「こいつらは司官のロドイツ・マーキュリーと、ビレッタ・シュアンだ。司官って言うのは、それぞれの司で活動する神官で、平たく言えば俺の部下ってことだ」

挨拶もなく、ヒューズ司長は二人の紹介から始めた。

赤髪の青年がロドイツさん、金髪の女性がビレッタさんのようだ。

「初めまして、勇者様。ただいまご紹介に上がりましたロドイツ・マーキュリーと申します。本日はヒューズ司長とビレッダ司官と共に勇者様にこの世界のことを知っていただくため、馳せ参じた次第でございます。以後、お見知りおきをお願いいたします」

……か、固いなロドイツさん。

一見にこやかで親しみ安そうな風貌をしているのに、喋ってる内容といい、お辞儀の角度といい、隙がない。

政治家の人とか、秘書の人っぽい。

もっと砕けた口調で良いのに。

「あー、これはご丁寧に……。こ、こちらこそよろしくお願いします」

俺は立ちあがり、軽く頭を下げる。勿論、ロドイツさんに比べたら全然下手なお辞儀だ。

しかも緊張で挨拶を噛んでしまった。恥ずかしい。

「は、は、初めまして、勇者様!私はビレッダ・シュアンです。今日はよ、よろしくお願いしましゅ!」

顔を紅顔させ、盛大に噛みまくりながら挨拶をするビレッダさん。

あー、癒されるわー。

何か微笑ましい気分になるわー。

俺はもう一度立ちあがり、にっこり微笑みながらこちらこそよろしくお願いします、と頭を下げた。

「それじゃ自己紹介も終った所で、早速だが座学を始めるぞ?」

俺に目で確認を取ってきたので、ヒューズ司長に頷き返した。

「座学もいっても特に難しいことしない。簡単に言えばこの世界がどんな世界であんたが向かう必要性が有りそうな国がどんな国かとを大まかに説明していくだけだ。気を楽にして聞いてくれ」

ヒューズ司長はそう言うと、堂内の隅へ移動して壁に寄りかかった。

その代わりにビレッダさんが教壇の中央に立つ。

「すー、はー、すー、はー。それでは勇者様。まずはこの世界の地理について説明させていただきましゅ!」

「……」

ビレッダさん、また噛んだなぁ。

滑舌が悪い人なんだろうか?

聞き取れるから別にいいんだけど、なんだか心配になってくる。

「……また噛んじゃった……がんばれ、私」

ぶつぶつと呟き、何やら気合いを入れるビレッダさん。

独り言が当たり前のように聞こえるんだが。

独り言聞こえてますよ、なんて言うのは野暮な話だと思うので、俺は聞こえてない(てい)でビレッタさんが再起動するのを待った。

「す、すみません!勇者様を放ったらかしにしてしまって。そ、それでは、この世界の地理についてお話しさせていただきます」

お、今度は余り噛まなかったな。少しは落ち着いてきたのだろうか?

「私たちが暮らしている大陸は『パレード』大陸といいます。主に大陸北部を魔族が、南部を人族が支配域としており、50年~120年の間を開けて魔王の復活と魔族の大侵攻が始まります。遥か昔、勇者召喚の秘術をノディオン神様より賜ってなかったこ頃は、私たちが今いるフェスナディア王国中央付近にまで攻め込まれた歴史もあるようですが、勇者様の召喚が行われるようになってからは、また魔族領に隣接するエリクスとシルベスタンに多層式砦郡が勇者様の手によって設置されてからは、両国に侵攻される事態はあっても、滅ぼされて突破されるようなここにはなっていません」

ビレッタさんは説明しながら教壇の後ろにある大きな木の板に羊皮紙を貼り付けた。

それには何やら衛星写真で撮ったような高々度からの地図の絵が描かれていた。

うまっ!

手書きとは思えない上手さだな。

魔法でも使ったのか?

「こちらの地図は昔の勇者様の一人が作成したものを、魔道具によって複製したものなんですよ。この精密な地図は勇者様のお力によって作られたもので、神殿で厳重に保管しています。国に渡したら大変なことになりますから」

情報を制するものは世界を制するってやつか。下手したら戦争の元になるからな。国々に対して中立である神殿が持つのが妥当、といったことなんだろう。

「ただ、地図はかなり昔のものですからね。大まかな地形は合っていますが、それ以外の部分では多少のずれはあります。ですから、神殿でも勇者様の遺産といった意味合いで保管している部分が多いのですよ」

人同士の戦争とかで国の興亡が発生したり、魔法による地形の変化があったりしたんだろうな。

地図を作った勇者以外はそういうのには興味がなかったようだ。

「過去の勇者様がお作りになられた地図は複数あります。今見ていただいたものはパレード大陸南部、つまり人族の支配域の地図でしたね。次はこちらをご覧ください」

ビレッタさんは何処かからかもう1つ羊皮紙を出して先程の地図の横に貼った。

その紙には縦長の大陸の西に横向きの鳥に似た大陸が描かれていた。見ようによっては面長の化け物の顔が鳥を食べようとしているようにも、魔法使いが被りそうな三角帽子を被った人形が鳥を迎え入れようと手を広げているようにも見える。

……余計な想像を膨らませ過ぎか。

「東側にあるこの縦長の大陸は私たちが住んでいる大陸、パレード大陸です。こちらを境に北が魔族領、南が人族領というわけですね」

ビレッタさんはそれぞれ指を指して説明した。

「そして、こちら側の小さな大陸はイルド大陸。この地図をお作りになられた勇者様が発見した、私たちにとっては新大陸となる大地ですが、こちらには獣人族と妖精族が住んでいます。発見当初は違う種族ということもあり、様々な問題が発生しましたが現在では一部の国で貿易が行われているほどに友好的な関係を築いています。私たちが住むパレード大陸、そして妖精族と獣人族が住むイルド大陸。この二つの大陸を合わせてレオパルド双大陸と呼ばれています」

なるほど。これがこの世界なんだな。

大陸が2つしかないっていうのは、世界そのものが小さいからなのか、それとも海に比べて大地が非常に大きいのか。

それともまだ見ぬ大陸が海の向こうにあるけど、それを発見していないだけなのか。

神目線で見れば、まだ創造していないだけかもしれないが。

俺が色々想像している間にも、ビレッタさんの説明は続く。

他種族の領域については詳しくは分からないらしい。

魔族領は力のある魔族が適当に縄張りを作り、その空いたスペースに弱い魔族がテリトリーを築いているらしい。

妖精族はイルド大陸の北部に生息していて、中央には巨大な湖があり、それ以外の場所はほぼ全域が森となっているようだ。そのなかでいくつかの妖精族がキッチリとした境界線を作り、住み分けを行っているらしい。

妖精族自体は非好戦的な種族らしく、戦争などはほぼおこなわれることがないらしい。

それとは逆に獣人族は部族ごとに小さな集落を作っていて、奪い奪われるの争いは日常茶飯事らしい。性格も好戦的で、強い者を好み、何事も正々堂々と正面から立ち向かうのが流儀らしい。

魔族に比べて妖精族や獣人族の方が知っていることが多いのは、その2種族とは僅かながらに交流があり、その中から得た情報だそうだ。

そこまで話終えると、ビレッタさんはペコリとお辞儀をして教壇から降り立った。

すると、今度はロドイツさんが教壇に立つ。

「次に私から生活に関する知識をお教えさせて頂きます」

ロドイツさんはそう宣言すると、ピシッとした礼をした。

思わずこちらも頭を下げてしまう。

なんというか、角度が……。機械仕掛けか、とか心の中で突っ込みを入れてしまった。

「まず、生活に必須である通貨から。私達は『レア』という通貨を使用して売買を行っております。こちらをご覧ください」

ロドイツさんは懐から平らな石みたいなものを取り出した。

赤茶色のもので、小さいものと大きいものがある。

「こちらは1レアの銅貨と10レアの大銅貨です。安価な食材や消耗品、生活必需品などの購入によく使われており、国民の皆様が普段目にするお金はこれが殆どですね」

ロドイツさんは具体的な品物とその値段を例に挙げた。

次に銅貨より若干大きめの鈍く銀色に光る石を大小1個ずつ出した。

「こちらは100レアの銀貨と1000レアの大銀貨です。商人が物をまとめて購入する時や、傭兵ですと安い武具を購入するときや消耗品や食材ですとそれなりに質の良い物、後は宿に宿泊する時などに使用するでしょうか」

今度は金色に光る物を取り出す。聞くまでもなく、金貨だろう。他の貨幣と同じように大小2種類ある。ただ、銀貨よりも大きめだ。

「こちらは1万レアの金貨と10万レアの大金貨です。普段の生活では余り目にすることはございません。商売としての大きな取引や実力のある傭兵が質の良い武具を購入する時、あとは質の良い家具を購入するなどでしょうか。貴族の方々ならそれなりに手にすることはおありだとは思います。他にも100万レアの宝貨や1000万レアの大宝貨がありますが、残念ながら持ち合わせていないためお見せすることは出来ません」

「まぁ、宝貨で買い物をするやつなんてほぼいないからな。あるとしたら国の宝物庫に貯まっているぐらいだからな」

腕組みして話を聞いていたヒューズ司長が口を挟む。

話を聞いた限りでは、日本円に変換するなら1レアでだいたい10円ぐらいの価値っぽいからな。1000万レアなんて1億円ぐらいだから、それだけの買い物をその場で現金払いなどするはずがない。日本でも分割にするか、後は手形とかか?

ロドイツさんは貨幣を片付けると、律儀に一礼をして教壇から降りた。

これで座学は終わりなのか?随分早いな。

と、思ったらビレッタさんがまた教壇に立つ。

理由は分からないが、どうやら交互に授業をするらしい。

ビレッタさんは地理、社会や政治、世界情勢を、ロドイツさんは生活に関する知識の他、いずれ俺が加入することになるらしい傭兵組合のことや神殿の利用の仕方などを話してくれた。

キャラ的に話す内容は逆の方が合っていた気がするが、まぁどうでもいいか。

座学を終え神殿を出ると、日が傾いていた。

4時間ぐらい話を聞いていたのだろうか?

ここには時計がないから不便だな。

そう思い、俺の護衛に戻ったアルケインさんに聞いてみたら、時間を示す鐘が神殿にあるそうだ。

といっても、キッチリと時間を計っている訳ではなく、日の出に1度鳴らし、それ以降は砂を使った装置で一区切りを付けその度に鳴らし、日の入り時にもう一度鳴らすという方法らしい。

夜はどうするのかいうと、一般の人たちは基本的に必要としないため、各個人で必要な人が蝋燭を使って時の長さを計るらしい。

裕福な貴族とかになると、時間を計る魔道具なども存在するようだが、かなりの贅沢品だそうだ。

城に戻り、夕食の後は自由時間だ。

特に出掛けたい予定もないので、部屋で昨日の続きを行う。

テレビとか、ライトノベルとか、ゲームがあったらそれで暇つぶしできるんだが仕方がない。

俺はベッドに寝転がり、目を閉じて昨日の夜と同じように目に集中する。

魔眼を発動させて、その上で不要な情報にフィルターをかけるイメージだ。

うん、昨日と同じようにできている。

目をつぶっていても物が見えるっていうのは変な感じだが、とりわけ問題があるわけでもないから気にすることでもないか。

魔眼を解除すれば普通に見えなくなるしな。

俺は魔眼の発動と解除を繰り返して発動速度を高めていく。

目をつぶった暗闇の中で発動させると、情報の世界が広がるがしばらくして自分が普段見えている世界に戻る。光のない状態で見えるのは色のない世界。

例えるなら暗視カメラの映像のような1色の世界。

そこからさらに不可視である魔力が色となって空間をたゆたうのが見えるようになる。

……まだまだ時間がかかるな。

まだ、慣れていないから仕方がないが、最終的には一瞬でできるようにならなければ使い物にならない。

特に戦闘中の場合は集中しなくても少し意識するだけでON・OFFを切り替えられなければダメだ。

……神域にいた時みたいに、学習能力強化の魔法が使えたらなぁ。

あの時はパソコンやスマホから魔法が使えたから、別に修得する必要はなかったけど、今となっては覚えておけば良かったと後悔している。

しかし、こんなことになろうとは誰が予測できたか。

……まぁ、考えても仕方がない。

無いものは無いんだから諦めよう。

俺は地味な訓練を毎晩続ける覚悟を決めて一連の動作を繰り返した。


召喚されてから3ヶ月が過ぎた。

午前中は戦闘訓練、午後は座学、夜は魔力を見る訓練。

5日ほどほぼ寝ないで暮らしたら、さすがに疲労が溜まったのか眠たくなってきたので寝たら次の日の昼前まで寝過ごしてしまった。

侍女のクレオラさんやアルケインさんに心配されてしまったので、反省して3日に1回は夜眠るようにした。

戦闘訓練では遅動訓練を続けているが、俺が打ち合いに慣れてきた頃に合わせて、徐々に速度を上げていっている。

ずっとアルケインさんと訓練してきたせいか、アルケインさんの動きを先読み出来るようになってきた。と、いっても6割ぐらいだが。

こう来たら、次はこう動くだろうと予測した攻撃に合わせてカウンターをやってみたら驚かれたな。

人間の頃の俺だったら、3ヶ月訓練したぐらいで大した成長などしないだろうが、神人だからなのか、勇者だからなのか、自分で思っているよりも覚えが早い。

午後から行っている座学も随分と進み、ビレッタさんはさんからは周辺諸国とフェスナディア王国との関係や教会における各国との関わりについてとか、ロドイツさんからは日常生活で役立つ知恵とか、この世界で使っている文字の読み方、書き方などを中心に教わった。

会話ができても文字の読み書きができないのは随分と不便なんだなと、改めて思った。

それと同時に魔法語の読み書きも習った。こちらの方は、ヒューズ司長から直接教わったが、魔法をほぼ使えないであろう俺にとっては意味があるかどうかは微妙なところだ。

覚えておいて損にはならないと言われて学びはしたが、いつか役に立ってくれるのだろうか?

そして魔力を見るについては完全にマスターすることができた。訓練時間の長さこそ日によって変更があったが、毎日訓練した甲斐があったな。

今では目を凝らすだけで魔力の流れをみたり、存在情報の世界を見たりできる。

俺はその能力を使って次の段階の訓練へと進めた。

すなわち、世界に満ちている魔力を自分の魔力として使用する訓練だ。

魔力というのは同じように見えて、実はそれぞれが違う質を持ったエネルギーのようだ。

存在情報として見ても、俺の魔力と他の人の魔力、例えばアルケインさんの持っている魔力には細やかな点でいくつもの違いが確認された。

魔力とは精神存在エネルギーであるマーナだから、人それぞれの精神の違いが魔力の違いとして現れているんだと思う。

他人の魔力を勝手に使うことができないのは、人と人との間に心の隔たりがあるように当たり前のことだ。

しかし、『魔』を行うには世界との同調が必須だ。魔法はそれを法則に従っていれば自動で行ってくれるのだが、俺がやろうとしているのは魔法ではなくて、魔術の類いのものだろうから、自主的に同調しなければならない。

ややこしい話だが、魔力が極端に少ない俺がそれなりの魔法もしくは魔術を行うには、世界に満ちている魔力を1度自分の魔力として取り入れた後、その魔力を使って世界と同調、魔を行使するといった行程が必要になる。

神域で読んだ魔学教本には、一般的に魔力と呼ばれているものは精神存在エネルギー『マーナ』の塊である心だか精神と呼ばれるものから漏れ出した余剰エネルギーのことを指すらしい。

例えるなら、心という器をバケツとして、その中に水がつるつる一杯に入っており、その中で新たに湧き出た水によって溢れて漏れた水を別の用途に使用するようなものだ。

人によっては涌き出る量に違いがあり、器そのものにも違いがあり、更に漏れた水をどれだけ使用できるかにも違いがある。

それが才能であり、俺は水が漏れる量そのものが非常に少ないようだ。

俺の能力に『封印』というものがあったが、もしかしたらそのせいで漏れにくくなっているのかもしれない。

という訳で、俺が扱える水の量を増やすためには、世界の水を俺の水と混ぜて変異させることで俺の水として使えるものにしなければならない。

これが結構難しい。というか、明確なやり方のイメージが出来ない。

自分の魔力なら、少ないながらも自分で制御・操作できるようになったが世界の魔力は自分とは違うものだから自由に出来ない。

神域ではあんなに自由自在にエクシスを操っていたのに、と少しむくれてしまったが、よく考えてみればあの神域は俺自身の神域であり、言い方を変えれば俺そのものとも言えるからそれほど難しくなく制御できるようになったのだろう。

そんな訳で、苦労している現在。

少し遠回りなことになるかもしれないが、俺は世界との同調から始めることにした。

まずは小規模でもいいから魔術を使えるようになる。

自分の魔力を形状・属性変化させ、世界との同調を行う。

しかし、手動で行う同調には失敗して術が発動しない。

やはり、そこを何とかしないとダメなようだな。

俺は視界を存在情報の世界と魔力の世界にちょくちょく切り替え、世界の魔力の情報を読み解く作業を始めた。

世界の魔力と思われるモノと自分の魔力を見比べる。

魔法を使って魔力の動きを確認する。

魔法には自動で世界との同調をする機能がついているから、その変化の流れを知ることができれば、自分の魔力を世界の魔力と繋げるようになるはずだ。

……うーむ、自分の魔力の少なさが恨めしい。

小さな魔法では魔力の流れ自体が少ないため、変化の見極めが難しい。

大きな魔法を使えるほどの魔力があればいいのに。

しかし、それほどの魔力があれば、わざわざこんなことをする必要がないというジレンマ。

当然1日や2日などでマスターできるわけもなく、さらに2ヶ月の時を費やすことになった。

「お?おお!?」

与えられた自室で、俺は一人で声を上げた。

魔法を使ったときに起きる魔力の同調現象。

それの手動化の目処がようやく立った。

右手には俺の魔力を変質させたモノを浮かべている。

存在情報を見ると世界の魔力とほぼ同じになっている。

具体的には魔法を発動させた時と同じ、と言えるが。

俺の手のひらで漂うそれに、俺は球体という形状と光の属性を与える。

魔力という精質のみで物質世界に干渉していなかったモノが、新たに与えられた情報によって物質世界に具現する。

小さな光球が俺の顔と部屋を薄く照す。

その光は十数秒ほど経つと、魔力が消費されてしまったようで音もなく消滅した。

キ、キターーーー!!

俺は心の中で絶叫した。

それだけでは収まらず思わずガッツポーズをとる。

よ、ようやくだ!

ようやくだよ!

小躍りしたくなったが、一人で踊っている自分を想像して気持ち悪そうなので止めた。

使用した魔術は俺が唯一教えてもらった小さな光を灯す魔法と同規模出しかないけれど、ようやく一歩前進できた。

俺は先程の魔力の変質を忘れないように何度も繰り返す。

4日ほどで覚えることができたので、次のステップへと移る。

いよいよ世界の魔力を貰えるようにする技術の修得だ。

以前はイメージすらできていなかったが、幾ばくかの時を経て何となくのイメージは掴んでいる。

方法はいくつかあるが、とりあえず先に思い付いた方法から試してみる。

俺は魔力を視る視界にしてから、世界の魔力を空気と仮定して息を吸うように魔力を吸い込む。

もちろん、ただ単に呼吸をしても魔力は吸えないので、同調させた魔力を使って世界の魔力を自分の体内へと誘導する。

体内へ入れた魔力を変質させて自分の魔力として使用できるようにする。

魔力の変質は、出来るだけ息を吸い、吐くと同程度の認識でほぼ意識しないで自動的にできれば最高だ。

今までは俺と世界の魔力の質の違いを目で確かめながら行っていたが、今やろうとしているのは感覚で魔力を、しかも自分の魔力ではなく世界の魔力を変質させることだ。

自分の魔力を変質する訓練はしたが世界の魔力を変質する訓練を全くしていなかったことに気付いたのは、世界の魔力を取り込むことはできたが自分の魔力として使用できなかった理由について考えていた時だった。

全く、自分の愚かさが嫌になる。

お陰で1日無駄にしてしまった。

落ち込んでいても仕方がないので、世界の魔力を自分の魔力に変質する訓練を始めることにしよう。

と、その前に同調させた自分の魔力を元に戻す訓練から始める。

……うん、問題ない。

それじゃあ世界の魔力を集めて……って、俺は今どうやって世界の魔力を集めた?

……そうか、そういうことか。

何故世界の魔力を自分の魔力として使えなかったのかの原因が見えた気がした。

俺が世界の魔力を集めたとき、同調させた俺自身の魔力を操ることで世界の魔力を移動させていたのだが、これはあくまで移動させていただけで世界の魔力そのものに干渉したことにはなっていないんじゃないか?

どうやら俺がやらなければならないのは、世界の魔力を直接制御する技術こ修得のようだ。

更に言えば、世界に直接干渉する必要が出てくるのではないだろうか?

俺はふとパソコンとインターネットが脳裏に浮かんだ。

例えるなら世界との同調とはパソコンをネットに繋げるということだろう。

同調しない状態はオフラインの状態で、自身には色々干渉できてもそれ以外には不干渉となる。

同調させるという状態はオンラインの状態で、様々なサイトにアクセスして自己表現をオンライン上で行うことができる。

同調までは出来ているので、サイトを見たりそこにコメント入れたりすることは出来ている。

しかし、直接干渉ということはそれだけではなく、サイトそのものの内容に変化を与えることだと思う。

いわゆるハッキング、というのだろうか?

そう、俺はハッカーとなって世界に干渉して望むものを得られるような技術を手にできれば良いわけだ。

それくらいならそんなに難しくはないと思うんだが。

別に世界を支配してやろうとか、世界の深淵まで見定めてやろうとかではなく、ちょっとだけ魔力を拝借したいだけなのだから。

まずは世界と同調するための魔力を作る。

いつものように手のひらに球体としてまとめた魔力を変質させて同調させる。

これで世界との繋がりができた。

ここからどうするかだな。

手のひらに集めた魔力を見ながら考える。

魔法や魔術というのは、魔力に形状と属性を与えることで具現する。

属性とは魔力の性質を定める条件のことだ。

例えば『火』なら熱・燃焼・運動エネルギーの強化・猛る・攻撃的等が挙げられる。

火の玉を射出する魔法の場合は、魔力を球体という形状を与えて、熱や燃焼という『火』の性質を与えることで成立する。

それなら、世界の魔力を俺が使用できるように取り込む魔術というのはどのような形状と属性を持ったものなのだろうか?

形状を言えば、『糸』のようなものが頭の中に浮かぶ。

自身から伸ばした魔力の糸で世界の中に忍び込み魔力を貰うイメージだ。

では属性は?

火・水・地・風……、どれもイメージが湧かないな。

何となく犯罪チックな感じがするから、闇とか?

………うーん、何か違う。

他の属性ってなんだったっけ?

えーと、確か氷・木・雷・溶・光とか?

ああ、他にもあったな。聖・邪………、邪とかあり得そうな気がするな。

後は星・月・秩序・混沌だったな。

秩序と混沌は違うか?秩序のイメージは不変とか安定とか正常とか。他には創造もそれっぽいよな。混沌は逆に無常、曖昧、崩壊とか?

どちらも神が使用する属性ってイメージなんだけど。

一応、自分も神属の端くれだから、使えないこともないというか、秩序に関しては神域で使いまくっていたけど。確かエクシスって秩序属性じゃなかったっけ?

神域ではエクシスという秩序属性のエネルギーを他の属性に変換して色々遊んでいたから、秩序属性を使えれば魔力そのものにも出来そうな気がするのだが、この世界にはどうやら秩序属性の力が働かないらしい。

うーん、少し違うかな。

使用そのものが制限されている感じなんだよな。

というか、俺自身の体も神属っぽくないというか。

神属はエクシスで出来ているはずだからエクシスが使えてもいいのに、この世界に来てからエクシスの発生というか自分から揮発している感じすらない。

恐らく、この世界へ召喚された時により人間に近い存在に成るように俺自身が変異してたんだと思う。

でなければ、食事を必要とする理由も睡眠を必要とする理由もないからな。

その変異が自己なのか意図的なのかは分からないが。現時点では混沌は勿論、秩序の属性は使用できない。

なら、星と月の属性か………。

月の属性ならゲームを参考にすると狂奔、反射、吸収のイメージがあるな。

吸収なら魔力を吸収するみたいなイメージだから、魔力を得るのに適しているっぽい気がするけど。

星は………、そういえば星って何の性質だ?

俺は星をイメージしてみる。

夜に瞬いているモノ。

つまり恒星ってことか?

『星』という文字だけ見れば惑星も星だよな。他に隕石は流れ星的な意味合いで星とも言える。

隕石の魔法と言えば、あの有名なヤツがあるな。隕石落とし的な。

惑星といえば俺が元いた地球も惑星。別の言い方をすれば『世界』とも言うな。

ん?なら月もそこに住む人がいるのなら『世界』ということになるな。

地球という世界。

月という世界。

………もしかして、月と星は世界そのものに干渉する属性なのか?

空間に干渉する属性とも言い換えれそうだ。

俺は手に魔力を宿して星の属性をイメージする。

以前見せてもらった地図。それがこの世界。

その世界に干渉する力。

空間に影響を与える力。

物理的にではなく、直接的な現象ではなく。

世界という空間に干渉し、影響を与える力。

俺は何日も何日も夜の自由時間になると星属性の属性変化のイメージを繰り返した。

そんなある日の深夜。

背中にゾクゾクする感覚が走った。

俺は目を見開いて手に宿った魔力を見つめる。

………今、変化しなかったか?

あ、霧散してしまった。

俺が宿した魔力量が非常に少なかったため、驚いて気を抜いたのが原因だ。形も無形だったし。

今度は手のひらに球体として魔力を集め、それに星属性をイメージして属性変化を与える。

魔力球は次第に与えられた属性によって変質し始めた。

………ぐっ、手が痺れる感じがする。

属性色はない。無属性の魔力は無色だが、属性をつけるとその属性によって色が付くようになる。

例えば火属性は赤、水属性は青とか。

これはあくまで魔力の色であって、具現化した時には別の色で見えることもあるのだが、星属性は無属性に近い無色透明だった。

………いや、少し光ってる?

ピンポン玉ほどの大きさの魔力球が輝きを帯びている。

でも実際に光っている訳じゃないな。

部屋は暗いままだ。

魔力そのものが光っているようだ。

これが星属性の色、のようだ。

ここで俺は一旦魔力球を解除して、もう一度同じものを作ってみる。

反復練習は大事だしな。

再度星属性の魔力球が作れたのを確認すると、日を置いてまた試してみる。

うん、問題ない。

ようやくここまでこれた。

後は魔術としての型を決めよう。

星属性で、形状は糸。世界との接続を行うことで、世界が所有しているものに干渉するという干渉系魔術。

ただ、世界を支配するわけでもなく改変するわけでもないから、干渉する内容を魔力を俺が使用できる形で譲受するのみに固定する。また、自動ではなく、俺の意思で譲受のON・OFF及び譲受量を決定できるようにする。

機能としてはこんなものか。

後は詠唱文と、宣誓言葉だな。

絶対に必要な訳ではないが、馴れるまではあった方が使いやすいだろうし。

中2っぽいヤツだと格好いいし。

何が良いだろうか?

俺は腕を組んでう~ん、と唸った。

魔力を貰う訳だから、『魔力譲受』とか?

………ダメだ、分かりやすいけど格好よくないし、ちゃんと世界から魔力を貰う感じの意味合いを付けないと。

う~ん、だとしたらなんだろう、世界といえば自然とかか?

そういえば何かの物語で魔力をたくさん生み出す時に『泉』って言葉を使ってたな。

なら、『魔力の泉』ってのはどうだろうか?

いや、規模が小さいな。

それだったら『海』の方が大きさ的に世界に合っている。

とすると。『魔力の海』ということか。

いやいや、どうせなら『魔力の大海』にした方が規模の大きさが分かりやすくていいな。

それじゃ宣誓言葉は『魔力の大海』でいいとして、次は詠唱文か。

う~ん、何が良いだろうか?

まずは世界との接続を意味する言葉だな。

私は………あー、私は世界と繋がりを持つ。

え~、それから………、あなたの恵を譲り受ける。

………。

おしまい。

文章が短すぎるな。

単調だし。

こんなんじゃテンションが上がらないじゃないか。

想像を具現化するのが魔術なら、詠唱は想像をより強く喚起させるようなものでなくては。

はっきり言ってしまえば、自分の世界に陶酔してしまう程の格好良さが欲しいところだ。

別に他人に聞かせる為のものではないのだから、意かに自己満足できる文を作れるかが重要だ。

俺は知恵を絞り、5日程かけてようやくそれっぽいものを考え出すことができた。

これで準備は整った。

俺は自分以外誰もいない部屋で自然体の立ち姿で集中力を高めた。

俺が初めて作る魔術だ。成功するとは思うが、何があるか分からないからな。

………待てよ?ここで使ってもいいのか?もっと安全な場所で、例えば神殿内の教練場とかの方が良くないか?

う~ん、でもなぁ。魔力がないのに魔法みたいなことが出来るのは知られてもいいのか分からないんだよな。

話を聞いた感じだと、世界の魔力をどうこうするとかっていうのは知られていないようだし。

勇者録を見ても、魔力がない勇者は魔法は使わずに武器とか、後は魔法的なものは他の人や魔道具で代用していたりしてたみたいだし。

もしかしたら俺が人間じゃないってことがばれてしまうかもしれないからな。

余計な疑いをかけられるのは手間だから、やはりここでやるか。

実際、使用する魔術は単に魔力を集めるだけの効果しかないし。

爆発とか部屋がぐちゃぐちゃになったりなんて有り得ないか。

そうと決まれば、と俺は改めて集中力を高めて魔術に備える。

まずは自分の少ない魔力を心臓付近に集める。

その魔力に星属性を与えて、糸を伸ばす用に魔力を世界へと伸ばした。

目を閉じ、これから使用する術の効果をイメージしながら詠唱する。

『私ハ世ノ深縁ヲ望キ視ル。

産ミノ巡ミ大キ汝ナレバ、

イトカ細キモノ、識意ニ値セズ。

故二私ハ其ヲ密ヤカニ貰イ受ケル。

魔ノ道筋ハココニアリ』

因みに俺は日本語で詠唱文を作成した。

一番馴染み深いし、魔術において詠唱文や宣誓言葉は術の型や効果をより強固に決定付ける為のものでしかないので、何語でも問題ない。

いずれは無詠唱・無宣誓で行うようになるだろうが、術の効果が固定されるようになるまではやった方が失敗しにくくなるから、暫くはやり続けるだろう。

ちなみに詠唱文の解説をすると、一行目の『世ノ』の『世』は自分を表す『余』という意味も含んでいる。

同じ言葉で複数の意味を持たすことで文章を短くすることができ、更に言葉の力を強めることが出来る。

同じように『深縁』は『深淵』という意味でもあり、『望キ』は『覗キ』の意味を含んでいる。

『視ル』は意識するという意味合いもあり、要約すると『自分は自分と世界の深い繋がりを望み、お互いの内側を意識する』という解釈になる。

二行目の『産ミノ巡ミ』は『海の恵』であり、『海の恵』とは魔力の比喩、世界から発散され揺蕩う様を『産ミノ巡ミ』と表現している。『大キ』は『王器』の意味も含み、『大きい』とは生み出される魔力量や世界に満ちている魔力濃度、『王器』は世界を統べるモノを指す。それで要約すると『魔力をたくさん持っていて、魔力を生み出す量も非常に多い、世界の頂点に在る世界そのものであるあなたであれば』となる。

三行目の『イト』は自分と世界の繋げているモノの比喩であり、また『とても』という意味も含まれている。そして『カ細キモノ』とは繋げているものの小ささと俺という存在の矮小さを表し、『識意二値セズ』に関してはそのままで、まとめると『自分のような小さき存在の放つ糸のような繋がりなど気にする程ではないだろう』という意味になる。

四行目と五行目はストレートな表現でまとめてあり、そうすることで発動する予定の効果に余計部分を省き、消費魔力の節約にもなる。

色々と表現が難しくなったが、通常の魔術と比べると非常に特殊な効果の発動のために必要であろうと俺は考えた。

詠唱が終わった。

後は宣誓文を口にするだけだ。

俺は閉じた目をスッと開いて魔術を発動する。

『魔力の大海!』

………。

………。

何も起きない?

まさか、失敗か!?

と、思ったら自分の中に万能感が一瞬走る。

ゾクゾクして鳥肌が立った。

キたのか?

俺は魔眼を使い魔力の流れを確認する。

………流れている。

俺が伸ばした『糸』を伝って俺のではない魔力が流れてきている。

『糸』っていうよりは『管』のようなものなのか?

流れてきている量が非常に微量のため初めは気がつかなかったんだな。

『糸』改め『管』は非常に細い。

俺自身の魔力が少ないため細くせざるを得なかったのだが、そのせいで貰える量が少ない。

時間を掛ければ大量の魔力を得ることは出来るだろうが、戦闘等では使えないかもしれないな。

そう思いながら、溜まってきた魔力の操作を試みた。

俺の魔力として使えるのなら操作も可能なはずだからな。

他にも属性変化や形状変化など、俺の魔力であればできそうなことを試していく。

その結果、ほぼ俺の魔力として使用することが可能であった。

ほぼ、と表現したのは、流れてきている魔力を俺の中に吸収することはできないようだったからだ。

魔力は基本的に当人の中にある部分のみ貯めておくことが出きる。

そこから溢れたものは留まらせようと制御しない限りはそのまま霧散してしまう。

つまり、俺が今溜めている魔力は制御をやめた時点で霧散してしまうということだ。

これでは普段から大量の魔力を溜めておいて好きなときに消費する、といった真似事ができないということになる。

う~ん、どうしようか?

自分の中に入れようとしてもすぐに出てきてしまうし。

どうしても無理なら、俺の外で保管する方法を考えないとな。

………そろそろ魔力も増えてきたようだし、『管』を大きくしてみるか?

俺は溜まってきた魔力を消費して管を大きくしてみる。

………念のため、『管』の強化もしておこうか。流れてくる魔力が多くて『管』が切れたとか裂けてしまったら術が解除してしまうだろうし。

実行すると、流れてくる魔力量が多くなった。

上手くいったな。そうだ、流れてくる魔力量の増減も試してみよう。

俺は水道の蛇口を捻るイメージで、流れてくる魔力量を増やしたり減らしたり出来るか試した。

良し、問題なく出来るな。

ただ、上限はあるようで、出来る限り増やそうと試みたら、ある一定まで増やした後、それ以上は増やせなかった。

なるほど。これが今の『管』の限界か。

恐らく『管』を強化していけば、増やすことも出来るだろう。

しかし、そのためにはある程度の魔力が必要になるだろうから、始めから強化した『管』は作れない。

結局、魔力吸収量の非常に少ない『管』を始めに作り、徐々に強化していくしかないか。

………ふと思ったんだが。

今も集まり続けているこの魔力、どうしよう?

とりあえず吸収を停止させるか。

俺は蛇口を閉めるイメージで魔力の吸収を止めた。

魔眼で魔力量を見たら部屋が魔力で満たされたような位に魔力が貯まってしまった。

本来は自分に薄い膜が出来る程度の量しか持っていないから、何十倍の魔力をキープしているんだろうか。

『魔力の大海』を解除したらどうなるんだろう?

一応、『魔力の大海』の効果として集めた世界の魔力を自信の魔力として使用できる、というのも含まれているから、解除した時点で使用できなくなる可能性はあるな。

まぁ、試してみればいいか。

俺は軽い気持ちで『魔力の大海』を解除した。

どうせ霧散して世界の魔力に吸収されるんだろうからな。

………そう思って解除したのがいけなかったのか。

解放された魔力は本来持ち得ない物理性を発揮して、部屋中を暴れまわった後、部屋の外へと飛び出ていった。

轟く爆音。

破壊される家具。

粉々に割れる窓。

吹っ飛ぶ扉。

廊下では悲鳴やら怒号やらが響き渡る。

金属鎧を着た人達の足音が近づいてくる。

………。

「え、えぇーーーーー!?嘘だろ!?」

全くの想定外の出来事に、俺は思わず絶叫した。

や、や、やってしまった!

ど、どうしよう!?


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