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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔女も気まぐれに人を助ける


「殺せ!俺達人間を惑わせる魔女を!」

「焼き尽くせ!魔女の呪いが一つ残らず消え去る程に!」

「あんたのせいで、私達家族にまで魔女の疑惑があるのよ!ここであんたを殺せば、町の人も私達が魔女じゃないって分かってくれるわ!」


木製の十字架に貼り付けられた女性の足元には、燃えやすい藁が大量に積まれている。かなりボロボロになっているが、きっと綺麗な人なのだろう。魔女は総じて美しく、男を惑わすとされているので、美しい女性は魔女として蔑まれ殺される場合が多い。魔女に魅入られると国さえも傾く、と恐れられているからだ。


「私は・・・・・・人間です!」


貼り付けられた彼女が叫んでも、人々は耳を傾けようともせず、寧ろ罵声と石を投げ付けている。彼女がもし本物の魔女ならば、そこら辺の石を投げ付けられた所で傷一つ負わないだろう。魔女は魔力が溢れるばかりに、傷口がすぐに再生してしまうのだから。仮に指が無くなっても、三時間あれば元に戻る。ちなみに火で燃やそうが、火傷一つ負わないだろう。


「これは一体何の騒ぎだ?」


貼り付けられた彼女よりも、遥かに美しい女性。言葉で表せない程美しい彼女はそう、人間とは思えない美しさだった。


「綺麗・・・・・・」

「誰かしら・・・・・・」

「美しい・・・・・・」


人々の目が離せない程美しい彼女こそが、正真正銘本物の魔女だった。魔女は偶然この町を通り過ぎ、この騒ぎを目撃したらしかった。


「あ、あの女が人々を惑わす魔女で、これから殺してしまおうかと・・・・・・」

「あの女が魔女?ハハッ、笑わせてくれる」


一足早く正気に戻った青年が、頬を染めながら魔女に事情を説明する。当然、本物の魔女である魔女は、一般人が魔女と言われ殺されようとしている事に思わず笑ってしまう。魔女はその場を支配するような微笑みで、言葉を紡いでいく。


「あの女はただの人間だ。そもそも魔女は、燃やしたくらいでは死なない。確かにその女は人間の中では美しいのだろう。だが、分かるだろう?私達魔女の方がどれほど美しいか、とな。この場に居ない全ての人間に伝えておけ、魔女は人間の知識のみで殺しても死なないし、この通り人程の美しさでは私達には敵わないとな」


魔女は高らかに笑い、指先を貼り付けられていた女に向け少し指を上に向けると、その女を縛っていた縄はほどけ自由にしてしまった。人々はその一連の出来事に、口が開いたまま固まってしまった。


「あ、そうそう。一つ良い事を教えてやる。魔女は皆反射が使える。つまり、自分に来た攻撃をそのまま返してしまうのだ。くれぐれも死なないようにな」


そして魔女は再び高らかに笑い、この町を去っていった。数年後、この辺りの地域は魔女の迫害を行わず、とても平和な地域になったと言う。


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